Netflixは今が一番アツい!!【2021年配信】ネトフリオリジナル映画ベスト20
一昨年に続き2021年も映画業界は新型コロナウイルスに苦しめられた1年だったと思います。昨年日本で公開された映画は全部で959本と、パンデミック前の2019年と比べると233本減で9年ぶりに公開映画が1000本を下回ってしまったそうです。
一方そんな状況下で我々映画ファンの味方となってくれたのが各種動画配信サービスたち。お陰様で観たい映画が尽きる事なく1年を過ごすことが出来ました。本当にありがとうございました。
配信サービスの中でもオリジナル作品の数が桁違いに多かったのがNetflix。
昨年Netflixが日本で独占配信した作品はなんと約330作品。想像以上に多いですね。日本で劇場公開された新作映画の1/3以上の数をほぼ毎日の様に配信していた計算になります。これはNetflix史上最多。
勿論(何だこの映画は…)と言いたくなる様な擁護できない作品もありましたが、以前と比べると全体的なクオリティは確実に上がっています。
色々観た上で断言しますがNetflixは間違いなく今が一番アツいです。
本項ではそんな2021年の数多あるNetflix作品の中で自分が特に好きだった傑作・名作・珍作をランキングで紹介していきます。
これからNetflixに入ろうと思っている方、既に会員で観る映画に悩んでいる方は是非参考にして頂けると幸いです。
※各作品のタイトルをクリックするとNetflixへ飛びます。
==========================
1.ミッチェル家とマシンの反乱
原題:The Mitchells vs the Machines
製作国:アメリカ 上映時間:113分
監督:マイク・リアンダ 出演:アビ・ジェイコブソン
ジャンル:アニメーション/コメディ/アドベンチャー
アカデミー長編アニメ映画賞を受賞した『スパイダーマン:スパイダーバース』や『LEGO(R)ムービー』のフィル・ロード&クリストファー・ミラーがプロデュースした傑作アニメーション。
これは文句無しの一位でしょう!何ならNetflix映画史上ベスト作品といっても過言ではありません。エンタメ作品としての面白さが凝縮された笑って泣けるストーリーは勿論、誰しもに愛されるキャラクター造形や素晴らしく技巧的で楽しい映像、笑顔を誘われる音楽の数々、隠れたメッセージ性等々…筆舌に尽くし難い魅力に溢れた作品です。
2.ドント・ルック・アップ
原題:Don't Look Up 製作国:アメリカ
上映時間:145分 監督:アダム・マッケイ
出演:レオナルド・ディカプリオ、ジェニファー・ローレンス
メリル・ストリープ、ジョナ・ヒル、ケイト・ブランシェット
ジャンル:コメディ/SF/風刺
『バイス』『マネー・ショート』のアダム・マッケイ監督による強烈な風刺を交えたSFディザスターコメディ。レオナルド・ディカプリオはじめ主役級スターたちが矢継ぎ早に出てくる事で話題にもなりましたが、シナリオの面白さもそんなキャストの強さに負けていません。
隕石衝突により地球が滅ぶまでもう間近…というifに擬えて、気象変動やパンデミック、SNSでの中傷、格差社会や思想の分断、政治の腐敗といった現代に蔓延る社会問題をこれでもかという位に皮肉りまくります。本作で出てくる出来事や人物等はおおよそ実際に存在するものと置き換え可能というのがまた面白い。最高に笑える作品ですが、トンデモながら妙に有り得る展開続きで途中でこれは笑って良いのか…?と不安になる事間違いなし!
3.Tick, tick... BOOM! : チック、チック…ブーン!
原題:Tick, Tick... BOOM! 製作国:アメリカ
上映時間:121分 監督:リン=マヌエル・ミランダ
出演:アンドリュー・ガーフィールド
ジャンル:ミュージカル/ドラマ/史実
名作ミュージカル『RENT/レント』の生みの親である作曲家、ジョナサン・ラーソンの伝記ミュージカルを映画化した本作。監督を務めるのはミュージカル『イン・ザ・ハイツ』や『ハミルトン』を手掛け、現在楽曲が大ヒットしている『ミラベルと魔法だらけの家』の音楽をオールプロデュースした事も記憶に新しいリン=マヌエル・ミランダ。
様々な葛藤を抱えながらも夢に情熱を注ぎ、懸命に今を生きる青年をアンドリュー・ガーフィールドが熱演。映画のレベルを引き上げる素晴らしい楽曲の数々は必聴です。ラーソンは何故『RENT』を作ったのか、本作を観ると少し理解出来た気がします。映画版『RENT』もNetflixで観れるので合わせて是非。
4.パワー・オブ・ザ・ドッグ
原題:The Power of the Dog
製作国:オーストラリア/ニュージーランド/イギリス/カナダ
上映時間:128分 監督:ジェーン・カンピオン
出演:ベネディクト・カンバーバッチ、キルスティン・ダンスト
ジャンル:ドラマ/スリラー/西部劇
昨年から賞レースの大本命として世界中の映画祭を賑わしている本作。
男らしさの象徴とも言えるカウボーイの世界をこれ程までに繊細に描くジェーン・カンピオン監督の手腕には驚かされます。雄大な自然の美しさと厭な空気感のコントラストが不協和音の様に押し寄せてきて、静かな作品にも関わらず観ている間一瞬も心が休まりません。有害な男らしさを振り撒くフィルの前半と後半でガラリと印象が変わる脚本が本当に見事。
ベネディクト・カンバーバッチの嫌なや奴っぷりは圧巻で、アベンジャーズ仲間のトム・ホランドに「ベネディクトをはじめて嫌いになった」と言わしめるほど。
ちょうどジェーン・カンピオン監督が語る舞台裏も公開された様なので合わせてリンクを貼っておきます。
5.ビーボ
原題:Vivo
製作国:カナダ・アメリカ 上映時間:95分
監督:カーク・デミッコ 出演:リン=マヌエル・ミランダ
ジャンル:アニメーション/ミュージカル/アドベンチャー
主人公ビーボの声を演じたのは上述の『Tick, Tick... BOOM!』の監督を務めたリン・マニュエル・ミランダ。本作には楽曲も提供しており、魅力的な歌声で愛らしいキンカジューを好演しています。
色鮮やかな映像とノリノリなラテンミュージック×ラップの応酬で冒頭から一気に惹き込まれる本作。導入からこの手の作品としては珍しい悲劇的な展開が待ち受けていますが、それがあるからこそ爆発的に輝くラストは涙無しでは観られません。どんな苦境でも音楽は人を癒し、奮い立たせてくれる、そんな''音楽の力''を改めて思い知る素晴らしいミュージカル作品です。
6.ザ・ハーダー・ゼイ・フォール:報復の荒野
原題:The Harder They Fall
製作国:アメリカ 上映時間:137分
監督:ジェイムズ・サミュエル
出演:ジョナサン・メジャース、イドリス・エルバ
ジャンル:西部劇/アクション
主要キャスト全員がアフリカ系、JAY-Zプロデュースにより古典の西部劇に現代的な音楽や要素を吹き込んで生まれた新時代のブラックスプロイテーションです。無法者が親の仇を取るため仲間と協力し強大なギャング団に挑む!というプロットは至ってシンプルですが、豪華キャストの見事なアンサンブルや洒落た映像、エネルギッシュな音楽によりかつてないスタイリッシュな西部劇に仕上がっています。
素晴らしいキャスト陣の中でも敵役が本当に魅力的。イドリス・エルバの存在感は言わずもがなですが、ラキース・スタンフィールドが卑劣な役どころにも関わらず滅茶苦茶格好良い。また本作を彩るHip Hopやレゲエ、ソウルをはじめとした音楽も最高で、中でもシーロ・グリーンの「Blackskin Mile」は昨年自分が聴いたソウルミュージックの中でも有数の名曲です。是非サントラも合わせてどうぞ。
7.隔たる世界の2人
原題:Two Distant Strangers
製作国:アメリカ 上映時間:29分
監督:トラヴォン・フリー、 マーティン・デズモンド・ロー
出演:ジョーイ・バッドアス
ジャンル:SF/ドラマ/短編
2021年アカデミー短編映画賞受賞作品。タイムループもののSFの雛形を使い30分という短い時間でBlack Lives Matterを描く衝撃作です。
「息が出来ない」というのは言わずもがなミネアポリス警察に理不尽な取り調べ、拘束を受けた後に命を落とした故ジョージ・フロイドのオマージュ。そこからも分かる通り本作は幾度も白人警察に殺されるタイムリープを描く事で、アメリカ各地で昔から今に至るまで起こり続ける人種差別による黒人殺害事件の連鎖から抜け出せずにいる米国社会を表しています。その発想も見事ですが根深い問題を抉るようなシナリオが本当に凄い。一瞬安堵しかけた観客をぶん殴るような展開でこれが現実だと突きつけます。
主人公カーターを好演したのはラッパーJoey Bada$$。音源も最高に格好良い上に役者としてここまで華があるとは。是非これからも二足のわらじで活躍して欲しいですね。
8.シルバースケート
原題:Serebryanye konki
製作国:ロシア 上映時間:130分
監督:ミハイル・ロクシン 出演:ヒョードル・フェドートフ
ジャンル:ラブロマンス/ドラマ/アクション
氷に覆われた19世紀末のサンクトペテルブルクを舞台に身分の異なる二人の恋を描くラブロマンス。''立場の違う若者2人の許されぬ恋''といわゆるロシア版『ロミオとジュリエット』とも言える内容ですが130分の大長編、それだけでは終わりません。
迫力満点のスケートアクション有り、息が詰まるサスペンス展開有り、''女性の自立''という現代らしいメッセージ性も有り...ととにかく内容が盛り沢山。近年のロシア映画といえば日本でもスマッシュヒットを記録した『T-34 レジェンド・オブ・ウォー』を思い浮かべる人が多いかと思いますが内容の濃さでは本作も負けていません。あらゆるジャンルの全部載せのような作品なのでラブロマンス好きは勿論、そうで無い方にもお勧めしたい良作です。
9.バッド・トリップ ~どっきり横断の旅~
原題:Bad Trip
製作国:アメリカ 上映時間:86分
監督:キタオ・サクライ 出演:エリック・アンドレ
ジャンル:コメディ/ドッキリ ※R18+作品
『ジャッカス』の監督、ジェフ・トレメインがプロデュースした知性皆無のドッキリコメディ。主要キャスト以外は全員一般人で、メインプロットを進めながら一般人にドッキリを仕掛けていく…という『ジャッカス/クソジジイのアメリカ横断チン道中』と同じ手法の作品です。
最初からフルスロットルでギャグが展開されていく訳ですが、中身は下ネタ、ドラッグや暴力ネタなど下劣も下劣。物凄く人を選ぶ作品である一方ハマれば最後、最初から最後まで爆笑しっぱなし。一般人を巻き込むドッキリは洒落にならないのも多々ありますが引っ掛けられた人が皆んな善人すぎて嫌な気分は残りません。エンドロールのネタバラシがまた最高なので最後までお見逃しなく。
10.ロスト・ドーター
原題:The Lost Daughter
製作国:アメリカ・イギリス・イスラエル・ギリシャ 上映時間:121分
監督:マギー・ギレンホール 出演:オリヴィア・コールマン
ジャンル:ドラマ/サスペンス
マギー・ギレンホールの初監督・脚本作品にして昨年の映画祭を大きく賑わした本作。
多くの作品で絶対的に揺るがないものとして描かれる''母の愛''ですが、この映画ではそれはまるで呪いのように描かれます。母親だから子供には無償の愛を注がなくてはいけない、母親だから自分より子供を最優先に考えなくてはいけない…という''母親だからこうあらねば''という想いが呪縛となって主人公の首を締め付けていく様が非常に生々しくて苦しい。そりゃ母親であることが嫌になることだってあるでしょうよ。簡単に否定することが出来ない罪の物語は観賞後深く考えさせられます。
レダを演じたオリヴィア・コールマンの心の機微を映し出す演技は素晴らしいの一言。そして何気にレトロソウル感のあるオリジナルスコアも凄く良かった。書きながら思いましたがどう考えても『バッド・トリップ』の後に紹介する作品じゃなかったです。
11.ラブ&モンスターズ
原題:Love and Monsters
製作国:アメリカ 上映時間:103分
監督:マイケル・マシューズ 出演:ディラン・オブライエン
ジャンル:犬/アドベンチャー/モンスター
モンスターに支配され文明が崩壊してしまった世界を舞台にヘタレな主人公が旅を通して成長していく...という笑いあり涙ありの王道冒険譚。
本作の最大の魅力はその愛らしいキャラクターたち。主人公のジョエルはビビリながらもガッツがある温情ある好青年。学んだことを書き残す真面目な性格で、旅を通してどんどん成長していく姿はつい応援したくなります。そして何より最高なのがジョエルの相棒、犬のボーイ。本作はもはやボーイの為にあると言っても良いほどに彼の姿は賢く可愛く勇敢で魅力的。他にもジョエルの仲間や人型ロボット、敵であるはずのモンスターですら魅力たっぷりで終末後ながら意外と悪くない世界かもな、とつい思ってしまうほど。
''世界がどんな風に変わってもでも前向きに人生を楽しむ''という彼らの物語はパンデミックでこれまでの日常を奪われた我々に元気と勇気を与えてくれます。
※本作は米国ではパラマウント配給作品ですが、日本ではNetflix独占ということで本稿ではNetflixオリジナルとして扱います。
12.PASSING -白い黒人-
原題:Passing
製作国:アメリカ、イギリス 上映時間:99分
監督:レベッカ・ホール 出演:テッサ・トンプソン、ルース・ネッガ
ジャンル:ドラマ
女優レベッカ・ホールの初監督作品。
PASSINGとは、混血で肌の色の薄い黒人がより良い生活を求めて白人のフリをする事を指します。アメリカでは1960年代まで、肌が白かろうと一滴でも黒人の血が混じっていれば黒人と分類される「ワンドロップ・ルール」という非常に差別的かつ恣意的な人種分類が定められていました。黒人と分類されるだけで差別を受ける社会において、肌の白い黒人がより良い境遇で生きるため白人と偽り生きようとするのは止むを得ない事。本作においてその選択をしたのがクレア、しなかったのがアイリーンです。
人種を偽り生きることはアイデンティティを捨てる事でもあります。自分を偽り堂々と生きるか、自分らしく怯えながら生きるか。今作の主人公はそんな矛盾だらけの葛藤に揺れ、その不満の矛先を別の生き方を選んだ同胞に向けてしまう。何と苦しく哀しい話でしょうか。
13.レッド・ノーティス
原題:Red Notice 製作国:アメリカ 上映時間:117分
監督:ローソン・マーシャル・サーバー
出演:ドウェイン・ジョンソン、ガル・ガドット、ライアン・レイノルズ
ジャンル:アクション、アドベンチャー
Netflixが過去最高額の製作費、200億円以上を費やして製作したアドベンチャー超大作。メガホンを取るのは『セントラル・インテリジェンス』、『スカイスクレイパー』に続きドウェイン・ジョンソンと3度目のタッグとなるローソン・マーシャル・サーバー監督。
本作の魅力は何といってもドウェイン・ジョンソン、ガル・ガドット、ライアン・レイノルズの3名の画力強すぎトリオ。総額ギャラ60億円以上のこの3人の掛け合いを見ているだけで何だか得した気持ちになります。決して深みのある作品ではありませんが、何も考えず楽しく観られる娯楽作としては一級品です。続編2作の製作も決まったという事で今後も非常に楽しみですね。
余談ですが超豪華キャストが集結した上述の『ドント・ルック・アップ』の製作費は約85億円と本作の半分以下だそうです。金の使い方が派手すぎる。
14.ラブ・ハード
原題:Love Hard
製作国:アメリカ 上映時間:106分
監督:エルナン・ヒメネス 出演:ニーナ・ドブレフ、ジミー・O・ヤン
ジャンル:ラブコメディ/クリスマス
毎年11〜12月にかけて様々なクリスマス映画を放つNetflixですが本年の一押しはコレ。出会い系アプリで惹かれた相手が実際会ったら別人だった…という現実でも往々にしてあり得る題材のラブコメディです。
人から良く見られたいというのは誰しもにある欲求ですが、自分を偽ってまで得る愛は果たして本当に欲しいものなのか…という葛藤には非常に共感させられます。見た目は大事だけどルッキズムが全てじゃない、自分らしさこそが一番大事、というメッセージにきっと多くの人が勇気づけられるはず。ほっこり暖かな気持ちになりたい時にお勧めの一作。ラブ・アクチュアリーのオマージュにニヤリとさせられます。
15.科学者とジェンダー
原題:Picture a Scientist
製作国:アメリカ 上映時間:103分
監督:シャロン・シャタック、イアン・チーニー
ジャンル:ドキュメンタリー
以前からドキュメンタリーのクオリティに定評があるNetflix。昨年も様々な分野の良質なドキュメンタリーを配信してくれましたが、中でも一番のお気に入りは本作。
男性優位思想が根強く残る科学業界で女性科学者たちが受けた差別や偏見を描き、そしてそんな社会に対し必死に抗う3人の女性科学者にフォーカスを当てた作品。女性たちが理不尽な差別に晒され、時に夢を打ち砕かれる様は観ていて辛くもありますが、そんな彼女らが一丸となり、差別は無いと言い張る科学業界にデータサイエンスで立ち向かう様は痛快。
問題提起作でありながら、弱者が強者にカウンターを喰らわす逆襲劇のようなエンタメ性も孕んだ作品です。
16.モキシー〜私たちのムーブメント〜
原題:Moxie
製作国:アメリカ 上映時間:111分
監督:エイミー・ポーラー 出演:ハドリー・ロビンソン
ジャンル:ドラマ/青春/社会派
『科学者とジェンダー』に続きこちらも性差別への問題提起となる一作。アンチ・セクシズムを通して不条理なことに立ち向かう力をくれるエンパワーメント映画です。
舞台はアメリカの高校ながらも日本の学校や社会でもよくある様な性差別や不平等が描かれていて、きっと多くの人が身につまされる物語ではないかと。そんな社会派なテーマがありながらも本作の作風自体は非常にポップでキャッチー。とても共感しやすく単純に映画として面白い。こういうテーマ性で多くの人に受け入れられやすいエンタメ作品を作った事は本当に素晴らしいと思います。
17.フィアー・ストリート三部作
原題:The Fear Street Trilogy
製作国:アメリカ
監督:リー・ジャニアク 出演:キアナ・マデイラ
ジャンル:ホラー/スラッシャー/ジュブナイル/LGBTQ
一つの田舎町を舞台に、3つの時代の別の視点から''町に巣食う呪い''を描くホラートリロジー。続編モノの新作映画を3週連続リリースという斬新な配信方法も話題となりました。
単作でもよく完成度の高いスラッシャーホラーですが、通しで観るとそのクオリティの高さに驚かされます。現代で起こった悲劇を解決するため過去を遡り真相を暴いていく…という謎解き要素のあるホラーで、1作目や2作目で張られた伏線がラストで丁寧に回収されていく様にはきっと快感を覚えるはず。各作品の雰囲気やサブジャンルを毎回ガラッと変える事で観客を飽きさせない工夫がされていて、主人公二人がレズビアンカップルというのもこの手のジャンルの既存イメージを打ち砕く設定で凄く良かったです。
『キャリー』『スクリーム』『13日の金曜日』といった往年の名作ホラーのオマージュもふんだんに盛り込まれているのでホラーファンなら一層楽しめる作品ですよ。
18.時の面影
原題:The Dig
製作国:イギリス 上映時間:112分 監督:サイモン・ストーン
出演:レイフ・ファインズ、キャリー・マリガン
ジャンル:ドラマ/歴史
イギリスで最も著名な遺跡の一つであるサットン・フーの発掘を描くロマン溢れる史実ドラマ。サットン・フーとは7世紀アングロサクソン時代の船葬墓(船を棺や副葬品として埋葬した墓のこと)で、中世イングランドの歴史を知る上で極めて重要な考古学的遺物です。船以外にも数多くの埋葬品が発掘され、その発見はそれまでのイギリスの歴史認識を一挙に覆すほどの大きなものだったそうです。
そんな偉大な遺跡を発見するきっかけを作ったのが本作に登場する考古学者バジル・ブラウン。没後一度は歴史の影に埋もれかけたブラウンですが、近年になり遺跡発掘の功績者として正式に認められました。遺物が人に遥か昔の出来事を教えてくれる様に、そして親から子へ物語を紡いでいく様に、人が死んでもその歴史が受け継がれていくと思うと何とも感慨深い気持ちになります。
主演はヴォルデモートでお馴染みのレイフ・ファインズと、昨年『プロミシング・ヤング・ウーマン』で鮮烈な印象を残したキャリー・マリガン。二人の演技はとても穏やかで派手な味付けの無い静かな映画ですが、神秘的で美しい胸に沁み入る素敵な作品です。
19.刑事グロムvs粛清の疫病ドクター
原題:Майор Гром: Чумной Доктор
製作国:ロシア 上映時間:136分
監督:オレグ・トロフィム 出演:ティーコン・ジズネフシキー
ジャンル:アクション/ヒーロー
ロシアでは初となるコミックの長編映画化作品。マーベルやDC作品のような特殊能力を持たない主人公ですが、自らの正義を信じ、常に何手も先を考え強敵に立ち向かっていくアツい展開は正真正銘のヒーロー映画。
ヴィランである疫病ドクターも貧困層の代弁者として権力者を殺害していく''歪んだ正義感''を持つ人物というのが非常に面白い。''真の正義とは何か''という『ダークナイト』を思わせるというテーマ性が秀逸です。見どころ満載のアクションやサプライズ展開、魅力的な仲間たちなどしっかりとツボを押さえたエンタメ作品で、長めの上映時間もあっという間でした。続編に期待です。
20.ミックステープ: 伝えられずにいたこと
原題:Mixtape
製作国:アメリカ 上映時間:97分
監督:バレリー・ウェイス 出演:ジェンマ・ブルック・アレン
ジャンル:ドラマ/コメディ/ミュージック
2000年問題に揺れるアメリカを舞台にした、音楽がテーマの暖かなコメディドラマ。本作の主人公ビバリーは物心がつく前に亡くなった両親と少しでも繋がりを感じるため、両親が好きだった音楽を探して聴こうとします。好きな人を知りたくてその人が好きな楽曲を聴く気持ち、滅茶苦茶分かります。
劇中様々な音楽が登場しますがその中の一つがTHE BLUE HEARTSのあの大名曲。凄く良いシーンで甲本ヒロトの歌声ががっつりフォーカスされるのは何だか嬉しくなりました。
「これだ!」という音楽に初めて出会った時の衝撃や興奮を思い起こさせてくれるどこか郷愁的で優しい物語。その懐かしさはきっと音楽好きの琴線に触れるはず。個人的に凄く好きな作品です。
==========================
以上です。すっかり長くなっちゃいましたね。
気になる作品があれば是非チェックしてみて下さい。
他にも『私というパズル』『ライトニング・ムラリ』『消えない罪』『アーミー・オブ・ザ・デッド』『ザ・トリップ』等々も入れたくてランキングを増やそうかとも思いましたが際限が無くなるので止めました。
こうして改めて書き出すと最近のNetflix映画は本当に凄いですね。今年も1月から素晴らしい作品が何本が出ているのでまたそのうち紹介します。
ではでは、長文お読み頂きありがとうございました。
最後まで読んで頂きありがとうございます。