どんなものでもカッコよく撮れるカメラ
空気は読むものじゃない。美味しくいただくものだ。
人間社会がどんなに混乱していようとも、山はいつもと変わらない。どこまでも大きく、やさしく、ときに厳しい。
2〜3日でもキャンプに行くと、五感を通じて山の自然がスーッと体に入ってくる。鳥の声や風の音、土の感触、木が燃えるにおい、空気の味。そして、世界のすべてが美しく見える。
山と写真は、相性がいい。雑多な情報が写り込むことも少ないし、光が直接当たる場所が多いからだろうか。
SIGMA fpを連れてキャンプに行ったのは、今回が初めてだった。とにかくコンパクトな筐体は、アウトドアでは特に大きなアドバンテージになる。だが、それだけではない。機材が限られるような環境において「写りに対する信頼感」と「どんな被写体にも対応できる汎用性」は、最強の武器になる。
ひとくちに山と言ってもキャンプには様々なシーンが存在する。
まず自然。普段はなかなかお目にかかれないような自然現象に遭遇したら、すかさずシャッターを切りたくなるものだ。
2日目の朝は氷点下だったのだろう。テントの周りには立派な霜柱がそそり立ち、車のフロントガラスには結晶のような氷が張っていた。
氷の冷たさや鋭さ、はかなさと同時に、シーンとした空気感を柔らかく表現したくなる絵だ。固すぎても柔らかすぎても良くない。今回もfpに装着した24-70mm f2.8 DG DN Art は、シャープな所はキリッとシャープに、ボケはフワリと柔らかく、思った通りに写ってくれる。
まさにfpのコンセプトである「fortissimo pianissimo」を、存分に感じさせてくれる描画力だ。
一方、キャンプといえば「道具の美しさ」も魅力のひとつだ。携帯性と機能性を兼ね備えた道具には、飽きることなく魅了されてしまう。
工業製品としての力強さと、削ぎ落とされた無駄のない形状から醸し出される、無骨さ。鋭く光る金属のシャープな質感や重厚感だけでなく、使い込まれた傷や汚れなどですら「味」として写し込みたくなる。
他にもキャンプといえば、料理も欠かせない。外で食べると何でもおいしく感じるものだが、自然の中で作る料理は写真映えも最高だ(私は主に食べる役…すみません)。
料理の写真に欠かせない「照り」や「焦げ目」などのシズルをしっかりと写しながら、野菜などの色鮮やかさも損なわない表現力。
サッと撮らないとすぐに料理が冷めてしまうような状況でも、機動力が威力を発揮する。「コンパクトな筐体」と「シャッターを切るまでのアクセスの良さ」は、エクストリームな状況にも俊敏に対応することができるのだ。
そして今回、臨時休校のせいで存分に羽を伸ばせていない子どもたちにとっても、いい機会になった。キャンプ場に設置されていた大きなブランコを見つけると、すぐに「ハイジごっこ」が始まる。
なかなかじっとしていない子どもを撮るには、ズームレンズが助けになる。激しくのびのびと遊ぶ子どもたちの動きにも、fpならちゃんとついていける。
やはり水や空気がキレイなせいもあるのだろうか。山で撮れる写真は、どこか澄んだ印象に写る。
山やキャンプは、とにかく写真を撮るのに適した環境だ。
撮れた写真を見て、娘は言う。
「どんなものでもカッコよく撮れるカメラだね」
「腕ですよ、腕」
すかさず言い返すものの、カメラの力によるところが大きいのは間違いなさそうだ。
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今回訪れたのは、栃木県日光市にある「日光・まなかの森キャンプ&スパリゾート」。場内に釣り堀と温泉まで併設されている高規格なキャンプ場で、土地も広く景色もいいのでオススメ。ブランコは大人も十分楽しめる。
https://www.nikko-manakanomori.com/index.html
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ちなみに、キャンプ場から日光東照宮までは車で10分ほど。参道近くには、仕事で関わっている「TENTO chocolate」本店もあるので、よかったらぜひ。
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ちなみにちなみに、キャンプというのはまさに「余裕」の賜物。人間、余裕がないと面白いことも考えられません。そんな話を書いたこの本も、よかったらお読みくださいませ。
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