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海賊と呼ばれた男 下巻:フィクションだけどリアリティがあると思ったら出光興産の物語|見方がガラッと変わった

またも1冊読み終えました。海賊と呼ばれた男(下巻)

石油販売会社の店主、国岡鐡造(てつぞう)の物語。下巻は太平洋戦争終戦から続く物語だ。下巻も大変興味深く読ませて(聴かせて)いただきました。

本書は、出光興産の創業者、出光佐三をモデルにした物語。出光興産といえば日本の石油業界では第二位を誇る企業。一位はエネオス(旧日本石油が母体)であるが、出光は全くもってユニークであり考え方に共感させられる

常に消費者第一を目指すと、こんなにも大きな会社となり成功するのかと驚嘆した。今日は本書について書いていくが、人によっては、「そんなバカな」、「現代ではブラックでしょ、無理」、「大正・昭和の時代だからできたんでしょ?」など思うかもしれないが、それでも聞くべきところはあると感じた。


下巻は、戦後復興からスタート|仕事もないのに店員を一人も解雇しないなんてすごい、しかし理にもかなっているのか

下巻は、終戦から始まる。終戦当時の日本は焼け野原。復興するしかなく、まともな仕事などなかった。本書の国岡商店も例外でもなく、中国や満州に事業拠点があったが、それは戦争によってなくなってしまった。

会社として存続するのは苦難を極めている。しかし、戦争が終わったので従業員たちはかつての戦地からかえってくるのだ。

こんな状態なら、払える給料などないのに、国岡はひとりとしてクビにしなかった。なぜなら、会社の資産は「人」と考えていたからだ。

しかし、会社には社員に給料を払えるだけの資産はなかった。なので、国岡は、私財を売り、社員たちの給料にあてがった。

戦前は、満州鉄道への機械油納入など大きくなった国岡商店。戦争で何もかも失ってしまったのである。しかも従業員を切らないという選択をしたので、私財も売り、自分がスッカラカンになってまでも会社と従業員の未来のために尽くした。

簡単にできるようなものではない。

とてもとても変わった会社|出勤簿なし・定年無し・組合なし

国岡商店は、とても特殊だった。

出勤簿がない。そしてタイムカードもなかった。社員の自主性にまかせている。これはどういうことなのか。休むときは休み、働く時間も社員任せということになる。

そして、定年無し。定年がないということは、辞めるときは、自分で去るときということになる。人によってはいつまでも働けるという安心感がいるだろう。

そして、組合なし。これは社員(店員)一同は出光佐三はもちろん、みな家族であるという考え方である。

魅力的に映る一方で、組合がないということは、オーナーの思いのままともいえるし、自由に見えるこれら特徴も、ブラック企業としても見ることができる。

しかし、本中で店主の国岡は語る。「信頼関係があるから出勤簿なしでもできる
時代も手伝っていたかもしれない。武士道が色濃く残る戦前。戦後もまもなくで仕事もないのに、社員をひとりもクビを切らない姿勢は、社員としても信頼が厚かったのだろうと思った。

しかし時も過ぎれば、社員の中には、こんなのやってられるかーでやめていく人も多いと思うが、これは出光興産をモデルとした物語。

これが、真実なら、2006年に株式上場をした出光興産であるが、それまで「出勤簿なし・定年無し・組合なし」を貫いてきたことになるので、どうやってたのかめちゃくちゃ気になる。


1代で石油精製・元売り会社を気づいた男|何故か「儲けよ」とは一言も発しない

店主は、従業員には厳しくも優しかったようだ。自分を身を粉にして働く「店主」の立場を貫いていて、会社が大きくなっても変わらない。

驚いたのは、会議の席で、「今こそ儲けよ」とは発したことはないそうだ。それよりも、消費者に値段が高くて、粗悪なガソリンを買うしかないのは我慢できないから、自らがもっと高品質で安いガソリンを買ってきてみんな売れば消費者も助かるであろう。の考えで行動していた。

これはとても感銘を受けた。消費者利益を第一に考えると、周りが支えてくれて大きな会社に育つ良い例だと感じた。

純日本だけの資本で成り立つ特異な会社:国岡商店(出光興産)

石油会社として、脳裏に浮かぶのはエネオス(日本石油が母体)であろう。出光も同じく思い浮かぶ方が多いであろう。

しかし、会社の運営方針は全く違った。出光以外の大手は、終戦後、外国の石油会社(スタンダード石油、カルテックスなど)と提携したり、自身が子会社になったりした。その方が利益が得やすいからだ。

だが、国岡商店(出光興産)は違った。外国の資本は一切入れなかった。純国産(民族経営)で生きていくことを誓った。それを聞くとかっこよく聞こえるが当時は大変だったようだ。

国岡は最初は無視されたり、国岡が消費者の見方を得て力を得ていくと、外資からの妨害ももろにうけてつらい立場になった。

一方で、独自路線を貫くと、良い面もあることを学んだ。1960年、70年代に石油組合のようなものが作成されそこに入って生産調整を組合全員で行うのだが、明らかな政策ミスで、ガソリンなどの油があるのに消費者に届かなくなってしまった。

そんなとき、民族経営を活かし、自ら脱退し、フル生産をして消費者たちを助けたのは感銘を受けた。そして需給が落ち着くと組合を脱退しても生産調整に応じるのだ。つまり自由にうごけるのだ

もう、お金や名誉のために仕事をしているのではなく、消費者第一で仕事をしている姿に感銘を受けた。

まとめ:どこまでがフィクションでどこまでが本当かわからない話なので出光佐三の本を読んでいる

本書では、国岡鐡造(てつぞう)を通して出光興産創業者の出光佐三の足跡をたどる本である。フィクションなのだが、国岡鐡造いがいの登場人物があまりにもリアルすぎる。いろいろな決断や事件が起こるのだが、それも真実かと思うほど、リアリティがある。

ということで、今はこの「海賊と呼ばれた男」がどれだけ実話に即してかかれているのか調べている。そのため以下の本を読書中である。

どれだけ、本当のことが書かれているか楽しみである。

もし、海賊と呼ばれた男の上巻がまだの方は、そちらを先に読んだ方がおすすめです。少し前に上巻のことを記事としてまとめました。

興味があれば、是非一読を!
仕事に関する考え方が変わった気がしております。

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