ISHIYA私観「平成ハードコア史」第3章〜#14 FORWARD Ⅱ

 これまでは昭和から平成にかけての話や、全国ツアーでまわった各都市などについて触れてきたが、この第3章では平成中期以降についても触れていきたいと思う。私観であるので、第2章では自分のバンドであるDEATH SIDEについて触れてきたが、平成初期にはDEATH SIDEを解散し、FORWARDという新しいバンドを結成し現在に至っている。
 ちょうどこの時期になると、第三世代とも取れる世代のバンドの台頭も著しく、日本のハードコアも多様化していく時代になっている。海外との交流も盛んになっていき、同世代からそれ以降のバンドたちが次々に海外進出を果たしていくこととなる。
 自身も様々な海外をバンド活動で経験し始めたのもこの時期であるため、世界の中での日本のハードコアというものにも触れながら、平成に起きた様々なできごとなどを書き進めたいと思っている。
 売文稼業なので有料とさせていただくが、連載の励みにもなるので興味のある方は、この第3章も購入していただけると幸いだ。

 第1章、2章と同様、自分が体験したことでもないことで、馴れ馴れしくバンドに知ったかぶりをして話しかけても自己責任なので気をつけることを忠告しておく。
昭和のハードコア・パンクの先輩たちがそうであったように、一旦中に入れば信じられないほどの優しさを見せてくれる日本のハードコア・パンクの人間たちだが、その壁は厚く高い場合があることを認識してほしい。そうでなくては、このコラムを続けることができなくなるかもしれない。

「#14 FORWARD Ⅱ」

 平成8年である1996年に結成された、俺が現在でもやっているバンドFORWARDだが、結成までの経緯は第3章#7に書いてあるのでそれを読んでほしい。やっと結成したところで、SOUICHIたちも東京に出て来てくれスタジオに入り曲作りを行っていた。
 俺たちが新しいバンドを結成したことがハードコア界隈にも伝わっていたようで、俺たちもライブをやりたかったがまだ4曲ほどしか曲ができできていなかった。しかしスタジオに入り、新しいメンバーで活動を始めただけでかなり楽しく嬉しかったし「やっとバンドができる」という希望で胸がいっぱいであった。
そんな最中のある日、いきなりデビューライブの話が舞い込んで来た。
 当時よく電話で話していたG.I.S.Mの横山SAKEVI氏から、今度行うイベントに俺たちを出してくれるというのである。
 出演者も凄まじく、G.I.S.MのほかにGAUZE、JUDGEMENT、WARHEAD、SLANG、ACCOMPLICE、THE GAIA、SLIGHT SLAPPERS、S.D.S、BANDIT、DISCOCKSといった豪華メンバーのイベントで、場所も渋谷ON AIR WESTという大きな会場である。
 出演者はもう決まっていて飛び入りという形だが、期待の表れと思い4曲しかないが出演することをメンバーで決めた。
 そして連絡すると、出演順が最後のG.I.S.Mとその前のGAUZEの間でやれというとんでもないことを告げられた。
 しかしやると決めた以上やるしかない。もうなんでも来い状態で、4曲しかないFORWARDのデビューライブは、ON AIR WESTでGAUZEとG.I.S.Mに挟まれる形で実現した。

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30年以上に渡るバンド活動とモヒカンの髪型も今年で35年目。音楽での表現以外に、日本や海外、様々な場所での演奏経験や、10代から社会をドロップアウトした視点の文章を雑誌やWEBで執筆中。興味があれば是非サポートを!