ISHIYA私観「平成ハードコア史」第4章〜#17 九狼吽

 第1章から第3章まで、昭和や平成に起きたことなどついて触れて来たが、平成という時代も西暦2000年をまたぐ頃になると、ハードコアの世界でも様々な出来事があった。
 あまりにも多くの出来事があるために、遅々として書き進める時代が進んで行かないのだが、この第4章では新たに世界に飛び出していった日本のハードコアや、多くの経験を積んだハードコアの人間たちが、どのような変化を遂げていったのかということも含め書き進めて行きたいと思っている。
 海外との交流が進むに連れて、来日バンドも多くなり、日本のハードコアシーンが国際色豊かになっていった時期でもある。
 世界の中の日本のハードコアという観点も、この第4章には登場するだろう。
 他にもまだ書けていないことや、思い出す話もあると思うので、今しばらくお付き合いを願いたい。
 売文稼業なので有料とさせていただくが、連載の励みにもなるので興味のある方は、この第4章も購入していただけると幸いだ。

 第1章、2章と同様、自分が体験したことでもないことで、馴れ馴れしくバンドに知ったかぶりをして話しかけても自己責任なので気をつけることを忠告しておく。
 昭和のハードコア・パンクの先輩たちがそうであったように、一旦中に入れば信じられないほどの優しさを見せてくれる日本のハードコア・パンクの人間たちだが、その壁は厚く高い場合があることを認識してほしい。そうでなくては、このコラムを続けることができなくなるかもしれない。

「#17 九狼吽」

 1988年から続いてきた、DEATH SIDEと鉄アレイで始めたBURNING SPIRITSというシリーズGIGは、2020年の現在では5月31日のハロウィンと8月17日のCHELSEAの命日、大晦日12月31日のオールナイトの3回になってしまったと言えるかもしれない。
 それ以前には、鉄アレイ企画により大阪などの地方において単発企画で開催されていたこともあるが、KATSUTAが鉄アレイを脱退以降東京以外で行われるBURNING SPIRITSは、ツアータイトルで名乗る場合のみとなってしまった。

 しかし2000年代に入り2015年と2016年の2回、BURNING SPIRITSが名古屋で行われたことがある。
 2000年代に入りORDERが頭角を表し始め、名古屋との交流が盛んになっていく中、九狼吽の登場によって名古屋ハードコアシーンが活性化していくことになったのではないだろうか。
 そこで今回は、九狼吽のVo.であるMune81に話を訊いてみた。

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30年以上に渡るバンド活動とモヒカンの髪型も今年で35年目。音楽での表現以外に、日本や海外、様々な場所での演奏経験や、10代から社会をドロップアウトした視点の文章を雑誌やWEBで執筆中。興味があれば是非サポートを!