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#08 地元の限界

人物、バンド名等説明
ZOUO:1980年代に大阪で活動していたHARD CORE PUNKバンド。
P.C.G:POISONOUS CROSS GIBBETの略。1980年代に東京で活動していたメタリックHARD CORE PUNKバンド。
EARTHSHAKER:1978年に結成された関西出身のヘヴィメタルバンド。「MORE」は代表曲のひとつ。
IRON MAIDEN:1975年にイギリスで結成された世界で最も著名なハードロック、ヘヴィメタルバンドのひとつ。「DRIFTER」はアルバム「KILLERS」に収録。
藤波辰爾:日本を代表するプロレスラー。本人が歌いレコード化された「マッチョドラゴン」は、自らの入場テーマソングで使用されたが、本人たっての希望により変更された逸話があるほど、凄まじい歌唱力で有名な曲。
クレイジーカラー:当時一番綺麗に染まった髪の毛の染料。
P.O.W:GISMの横山SAKEVIとLAUGHIN’ NOSEのCHARMYによって創刊されたPUNK雑誌。1、2号「PUN K ON WAVE」。3号「PERFORMANCE OF WAR」。

#08 地元の限界

 初めてHARD CORE PUNKのライブに行った俺は、興奮冷めやらぬまま日々を過ごし、高校などほとんど行かず、レコードを買いに東京へ行ってばかりいた。
 立君に教えてもらった、池袋東武百貨店にあった五番街、新宿のUK EDISON、WOODSTOCK、高円寺のRECORD BOYによく行っていた。
 学校に行く気もなければ家に居場所もない俺は、親には「高校をやめる」と伝えて、隣町にある大手自動車メーカーの下請け工場で、当時としては平均的な日給6千円、週休2日で週払いのバイトを始めた。
 するとバイト先に、HARD CORE PUNKのライブに通っているヤツがいて意気投合する。ライブハウスでも会うようになり、そいつの仲間たちから「俺らはいつもTHE TRASHのライブに行っている」と聞いて、THE TRASHのライブに行き、いつも一緒に行動するようになる。このときの仲間に、東京で最初に俺を居候させてくれた林がいた。
 しかしTHE TRASHを初めて観たときには驚愕とともに、初めて行った屋根裏の、あの惨劇が蘇ってきた。

「あのチェーンの人じゃねぇかぁぁぁ!」

 などと言って友人の胸ぐらを掴んで攻め立てるようなことは全くなく「こんなに楽しいライブがあるのか!」と、ギャップにやられてしまい、恐ろしいだけではないHARD CORE PUNKの一面も知り、ライブハウスに通いつめるようになる。  HARD CORE PUNKのライブには、毎回必ずMASAMIさんがいて、GHOULというバンドの凄さを体験し、足繁く通うようになった。
 女性ボーカルのめちゃくちゃかっこいいバンドだったTHE COMESが解散後、メンバーが結成したLIP CREAMにも心を奪われ、GHOULとTHE TRASH、GAUZE、LIP CREAMのライブには、チケット代と電車賃があるときには必ず行くようになっていった。

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30年以上に渡るバンド活動とモヒカンの髪型も今年で35年目。音楽での表現以外に、日本や海外、様々な場所での演奏経験や、10代から社会をドロップアウトした視点の文章を雑誌やWEBで執筆中。興味があれば是非サポートを!