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赤、黄、紫の石、三年ぶりの福井の海で石拾い |思い出その百十八|


2022年11月3日。

引き続き、福井の海で石拾い。
本日三箇所目の海岸へ行く。

さらにそのあと、ひとつ海岸を残しているので急ぎ足になるTADA。
1日に四箇所の石スポットで石拾いをするのは、なかなかのハードスケジュール。

ずんずんずん。
待ってくれ。

TADAは基本せっかちだ。
まず、飯を食うのがめちゃ早い。
石拾いにて昼食をとる時も、私が半分ほど食べた頃には完食して水をガブガブ飲んでいる。
おろしそばとソースカツ丼のセット。ものの数分ですすり、かきこみ、器の中は空っぽになる。そして腹がおかしくなりお手洗いへ駆け込むのだ。用を済ませるのも高速だ。
学生からの友人だが、その点が全く変わらない。なぜ急ぐ。なぜそこまで急ぐのだTADA。

そして、私がTADA家に泊まった時もTADAの動きは高速だ。
来年小学生になる息子の身の回りのこと、料理、洗濯、掃除。全て早い。
いやまてまて。それはいいことだ。とてもいいことだ。めちゃくちゃ子育てと家事をやっている。彼は毎日出勤している。その中で、ばりばり家庭もこなしているのだ。奥さんも働いている。共働きだ。帰りの遅い奥さんに代わり、TADAが高速で家事をする。奥さんも稼ぐ。素晴らしい。
なので飯だけゆっくり食ってくれ。これは家事や仕事が忙しいからではない、昔から異常な速さなのだ。
そんなことはどうでもいい。

石拾いの旅|福井県の海岸

着いた。
この海岸も、過去に一、二度訪れている。記憶がほぼない。そもそもこの日記、いくつかすっとばして書いている。石日記「石と海」のファンの皆様はお気付きだろうが(そんなやついない)五十二〜七十五までの日記がない。七十六の島根の日記を早く書きたかったからだ。そして島根以降の八十四〜九十八の日記もない。石拾いをしてすぐ、日記を書きたかったからだ。そこまでしたのに結局日記は遅れに遅れ、石と海の記録は溜まる一方。

言い訳はどうでもいい。石は、ここの石はどうなんだ。

石は、どんな形、色だ。駐車場ではないが、からからに干からびたように見える石。石だからあたりまえだ。

石、見えないが。
遠目には、砂浜が茶色で暗めだ。赤っぽさもある。

この海も安定して美しい。

石を見た。寄りで見た。
赤っぽい石が多い気がする。あとは、ベージュやグレー。この石たちが砕け赤茶色の砂浜になったのだな。

緑っぽい石もある。彩度高めの石たち。いやまて、あぶないあぶない、濡れているぞこの石は。何度言ったらわかる。百十八回目の海岸だぞ。濡れている石は脳内で彩度を下げろ。デザイナーだろ。

わかっているのにどうしても波打ち際に行ってしまう。からからの石の群れからを拾うことができない。それが本来の姿だというのに、愚かなる石拾いマインド。

穏やかな波が打ち寄せて、赤、黄、紫、時には緑の石をきらきらさせる。

石拾いは音も心地いい。石が転がる音。

穏やかな波の音。

波が引いていくときの音。

ささささーん

ころころころ〜

さささささささー

よく見ると、砂粒がとても美しいことに気づく。

色とりどりの石の中から、特に心に響く石を探していく。

集中し、足が濡れる。

ただそれも、気にならないくらい集中する。石ゾーン。
石拾い、終わり。

拾った石は、こんな感じ。選定前。
一旦、十二石を並べてみた。十二石とはその名の通り、十二の石をバランスよく調和の取れる形で選び並べる行為のことで、私がお勧めする石並べのひとつである。
最近は海岸で十二石を並べる修行をしている。石を単体で見るとそこまで良いと思えない石でも、こうして見ると良く見える。隣の石を引き立たせる。

あとは、最近流行りの(自分の中で)超小粒な石。

ついに出ました、TADAの石。本日三箇所目にしてようやく。
私が拾う石と趣向がまったく違うのがわかるだろうか。まず、数が少ない。前回も書いたが、TADAは石を拾うか否かの判断基準が高い。私はとりあえず悩んだら拾っておく。
そして赤い石が一つもない。彩度高めの石もない。TADAはカラフルな石よりも渋めの石を拾う傾向にある。サラブレッドKにやや似た石の趣向。
石拾いの旅、青森県綱不知海岸 |思い出その十四|(サラブレッドK初の石拾い日記)

そして私の選定後がこれだ。四つ。

日が早くも暮れてきた。
そろそろ次の海岸へ行かねば、暗くなってしまう。
TADAは石拾いの時間も短い。私がうーんうーんと悩みながら結局は一旦拾ってまだあるかもしれないとしつこく石拾いをしている間にTADAは選定まで終えている。そして私は無駄に多い石の中からまたじっくりと選定がはじまる。それをいつもTADAは気長に待ってくれているのだ。感謝。

大きな平たい石を発見したので、その上に特に気に入りの石を二つ並べて見る。

よいよい。

海で拾った石|福井県の海岸

改めて、撮影した石たち。
あれ、なんだか石が増えている。小粒な石も仲間入りしている。記憶がまったくないが、おそらく選定後、車に戻るまでの間に見つけたのだろう。
何度も石を拾っていると雑念が生まれ純粋な気持ちで石拾いができないことが多々ある。しかし、一度石拾いを終え、石拾いモードでない歩きの中で、ふと良い石を見つけてしまうことがよくあるのだ。フラットな精神状態でなぜか目に入る石、これが潜在的に自分がいいと思える石なのかもしれない。違うかもしれない。ただの欲張りである。

寄りのカット。
薄赤紫に流れる赤の模様が不思議だ。

中央の小粒な石。白と黒のコントラスト、こちらも流れる模様が面白い。

中央によく見るタイプの石。流紋岩なのかどうか。流紋岩、流れる模様がそう呼ばれているのか、全く別の基準で流紋岩に分類されるのか、正直さっぱりわからない。もっと石の知識を深めていきたいのだが、TADAよりも浅い知識しかなく感覚のみで拾っている。本格的に石拾いを始めてそろそろ十年が経とうとしているにも関わらず、このありさまだ。仕事を辞めて石拾いの旅と石の研究を本格的に始めたい。その勇気はない。ころころ。

誰か石パトロンになってくれ。石を拾うだけで生きていていいと、誰か私に言ってくれ。だめか、だめなのか、だめだろう。
→いままでに拾ったいろいろな石

次回は、本日福井最後の海。
そして私は日記を書くことで思い出す。この福井での石拾いは、数日にわたる石拾いの旅の初日だということを。

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