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『雷電』の系譜

古来より人知を超えた神の御業とされてきた「かみなり」。

科学的に解明されつつある現代でも自然現象よりも神様が怒ってらっしゃると考えた方がしっくりくるほどの恐ろしさです。

まさに「神鳴り」。

その呼び名も、「かみなり」「いなづま」「いかづち」「ごろつき」「かんなり」「らいさま」「なるかみ」「いなつるび」「いなびかり」「らいでん」など時代や方言によって様々あります。

今回は数多ある呼び名の一つ『雷電(らいでん)』にまつわるお話です。

音と光を伴う雷放電現象を雷電と呼ぶ。雷(かみなり)に際して起こる音は雷鳴であり、雷電の「雷(らい)」である。それに対して雷に際して起こる光は稲妻であり、雷電の「電」である。

Wikipediaより


江戸時代、『雷電』の四股名を冠する力士が四名記録に残っています。

雷電灘之助(1754 – 1820)
雷電爲五郎(? – 1785)
雷電爲右エ門(1767 – 1825)
雷電震右エ門(1842 – 1884)

中でも「雷電爲右エ門」は、

現役生活21年、江戸本場所在籍36場所(大関在位27場所)で、通算黒星が10個、勝率.962の大相撲史上未曾有の最強力士とされている。

Wikipediaより

その圧倒的強さから、力士で単に「雷電」とした場合、通常は爲右エ門を指すそうです。

「雷電」という名称だけでもすでに強そうなのに、最強力士の逸話も加わって絶対無敵感がただようこの名前。
後の世の創作者たちが放っておくわけがありません。


その一つが1975年に放送開始されたロボットアニメ「勇者ライディーン」です。

Amazonより

ラィディーンという名称は、江戸時代の力士「雷電」をもじった物。
放映開始前には当時の人気雑誌『テレビマガジン』誌上で主役ロボット名の投票が行われた。候補は「ザマンダーキング」「エメランダー」と「ライディーン」。「ザマンダーキング」は本作の企画段階の名称。「エメランダー」は決定済みだった彩色ではなく、緑塗装版のイラストを掲載したことによる。

Wikipediaより

あくまで「ライディーン」という名称だけで本編に力士の「雷電」要素はこれっぽっちもなかったと思います。
主人公の名前も「ひびき洸」でストーリーもムー大陸など当時のオカルトブームを取り入れたものでした。

昔のスーパーロボット大戦では常連でしたが最近は全然参戦しないので寂しい限りです。神谷明氏の「ゴッドバード・チェンジ!」がまた聞きたい!


二つ目は1980年にリリースされたYMOの「ライディーン」です。

元々のタイトルは江戸後期の伝説的な力士「雷電爲右エ門」から『雷電』と表記された。坂本は「『雷電』には東海道五十三次のような浮世絵のイメージがあり、浮世絵が世界に影響を与えたように、自分達の音楽も世界に影響を与えることと重ね合わせた」と発言している。

Wikipediaより

さらに話は続き、

その後、細野の「アメリカで今『勇者ライディーン』っていうアニメがヒットしている」ので「じゃあ、『ライディーン』にしちゃおう」という発言で「ライディーン」となった。ただし『勇者ライディーン』の英語表記はRAIDEENであり、綴りは若干異なる。

Wikipediaより

「勇者ライディーン」にのっかっちゃいました。

YMO(イエロー・マジック・オーケストラ)を知らぬナウなヤングでもこの「ライディーン」という曲はどこかで聴いたことがあるのではないでしょうか?

私は小学校の休み時間に行われていた「5分間走」(音楽が流れる中ひたすら校庭を走り続ける)という”休み時間とは!?”と問いかけたくなる謎の習慣中にかかっていた曲として認識しているのであまりいい印象はないです。


三つ目は1988年発売の「ドラゴンクエストIII そして伝説へ…」で初登場した呪文「ライデイン」です。

ドラゴンクエストダイの大冒険 決着のとき・・・の巻

いまやドラクエを代表する呪文の一つである「ライデイン」。
この呪文の名前の由来も「雷電」から……
と言いたいところですがソースが見つかりませんでした。

ですがさすがに”電撃呪文”であり「ライデイン」という名称から無関係ということはないと思います。
そして「ライデイン」を始めとする「デイン」系は勇者専用呪文。
勇者……?
ライデイン……?
「勇者ライディーン」!!!

そこら辺どうなんでしょう堀井雄二先生!


と今回はここまでです。
数ある『雷電』の名を冠するモノの中で「勇者ライディーン」関係を集めてみましたが、たったこれだけでも「相撲」「アニメ」「音楽」「ゲーム」と日本を代表するコンテンツがズラリと並びます。

脈々と流れる『雷電』の系譜、はたして次はどのジャンルに現れるのか。
要注目です。





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