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「エンタメ」を定義する...学術的に...

 これからエンターテインメント(エンタメ)の記事を投稿していくに当たり、まずはエンターテインメントという言葉を定義したい。

 エンターテインメントは、当然のことながら英語の "entertainment" である。この "entertainment" は、"enter" と ”tain" と "ment" の3つに別れ、それぞれがラテン語に起源を持つ。"enter" は現在の英語の "inside"、すなわち「内部の」というラテン語である。"tain" は現在の英語の "control"、"ment" は現在の英語の "mind" に相当する。これらを総合すれば、"entertainment" は "controlling inside mind"、すなわち、「人間内部の心を変化させる何か」という意味になる。

 続いて学術の世界ではどのようにエンターテインメントが定義されているのか、代表的なものを2つ見てみよう。

 湯山は、エンターテインメントを、

エンタテインメントは、単なる娯楽以上のものとして、何らかの行事(イベント)を実施し、それに伴って行われる芸術的、芸能的、あるいはスポーツなどのパフォーマンスやプレゼンテーションにより、多くの心に直接訴えかけて感動を与え、共感・同調を呼び起こし、希望を与え、生きる喜び、そして未来への夢と、生きていくための力を与えること、すなわち人々に幸福をもたらすこと。【湯山,2015】

と定義しており、ラテン語の語源同様、「心」に言及している。また、行事の実施を通して「体験」するものであることが暗黙的に示されている。

 一方、ヴォーゲルはエンターテインメントを

満たされて幸せに感じる心理的状態。楽しく満足が得られる体験を生み出すもの。【ヴォーゲル,2013】

と定義している。ここでもやはり湯山同様、「体験」を通じての「心」の変化に言及している。

 他の様々な定義も調査した上でこれらを総合的に考えると、エンターテインメントは「体験を通して、人々に心理的(あるいは感情的)価値を提供するもの」と定義できよう。また、その定義からの発展として、エンターテインメントビジネスは「消費者に体験を通して心理的価値を提供し、その価値に対する対価を得るもの」と定義できよう。

参考文献

湯山茂徳 [2015]『エンタテインメント ビジネス マネジメント議事録』朝日出版社

ハロルド・ヴォーゲル [2013]『ハロルド・ヴォーゲルのエンタテインメント・ビジネス―その産業構造と経済・金融・マーケティング』慶應義塾大学出版会

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