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情報社会を生き抜くための本56「オードリー・タン」その4 公益の実現を目指して(オードリー・タン)

第2章は「公益」について書かれている。なぜ、オードリーが台湾の閣僚になっているのかが疑問であったが、彼の「公益」についての考えを知ることでその理由がわかった。「デジタル社会」「無償」「公益」が彼の中ではつながっているのだ。

「無償」についてこのように説明する。「私が何もかも無償であらゆる人に提供するのを見たあなたが、その行為に同意してくれて、あなたもまた同様の行為をするようなこと」

オードリーのこれまでの人生は波乱に満ちている。中学校を中退してインターネットでの自主学習、AI推論とウィトゲンシュタインの哲学を学び15歳での起業、18歳でアメリカに渡っての企業とオープンソース運動参加、アップルでのデジタル顧問を経て台湾のデジタル相になる。そして今、柄谷行人(日本の哲学者)が唱えている「交換様式X」をデジタル社会で実現しようと取り組んでいる。「交換様式X」は見返りと交換をマトリクスにした構造図の中で、家族のような見返りを要求しない関係での価値を社会全体で実現できるような象限を交換様式Xとしている。「みんなとシェアする過程で、あらゆる人とお互いの信頼関係を築いていく」というのが交換様式Xの概念。一般的には「まず相互の信頼関係を築いてからシェアする」だからベクトルが反対の概念ということだ。

私もよくわからないのがだ優しさや愛が根底に必要ではないかなと感ずる。

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たどり着いたのが「公益」で政府閣僚という仕事なのだろうな。簡単に流れだけを紹介したが、ひとつひとつを説明できる力は私にはない。読んでもらうしかない。

エピソードを一つ。中学校で学ぶよりインターネットで学ぶ方が自分にあっていると感じたオードリー・タンは校長先生に中退を相談する。もちろん違法になる。校長先生はどう答えるか。・・・「校長先生は、私の話を聞いて1〜2分じっと黙っていましたが、最後に口を開いてこう言いました。『明日からは学校へ来なくていいよ。あとは私がなんとかする。』」校長先生が賛成してくれたので、反対していた父も応援してくれるようになったと書いてある。そして、校長先生の一言に感謝を述べている。校長先生、えらい。



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