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ソーシャルプロジェクトが今必要な理由

復興支援、環境保全、地域活性化など、社会的課題の解決を目的とする活動をソーシャルプロジェクトという。
ソーシャルプロジェクトの従来のプレイヤーは、かつては国や善意のボランティアが多くを占めていたが、今後の来たるべき社会「Society 5.0」として経済発展と社会的課題の解決を両立する考え方が広まりつつある中、もはや民間企業のビジネスと切っても切り離せない状況となっている。
一方、ソーシャルプロジェクトは、多様なステークホルダーが関わることから、期待値のコントロールが困難であり、また環境の変化に伴う計画変更が頻発するなど、多くの場合プロジェクトマネジメントの難しさに直面する

NTTDATA経営研究所

まもなく、2023年が終わろうとしている。12月30日報道の日のテレビが今年の振り返りをしている。コロナパンデミックの影響が消えやらぬ中、ウクライナとガザの解決の端緒を見出せず、もはや大きな戦争状態が二つもあるということが当たり前のように感じている。巻き込まれてしまった普通の人々は、長く続く避難生活の中で心も体も蝕ままれていく。災害関連死が心配だ。ジャニーズ帝国はBBCの特番がきっかけで大きく態勢を変えざるを得ないところまで追い込まれた。そろそろ、2024年の準備をと思っていたら「政治と金」「超大物タレントの性加害」が放り込まれた。重要な事案であることに違いないが地球の継続に関していうとどちらも誤差範囲だ。そう、解決すべき社会課題は満載なのだ。

石川淳哉 SGP塾より抜粋

地球の声を聴け

Sustainable Development Goalsは2015年の9月に発動した。いつまでの目標かというと2030年まで。2023年はちょうどその中間、折り返し点に当たる。もちろんSDGsが全てではない。でもこのグローバルキャンペーンは、人類史上最も成功したキャンペーンだと彼のビルゲイツも明言している通り、人類のOSアップデートとしての効果があったのだと思う。では、現状をそのまま忖度なしにお伝えしよう。

朝日新聞第9回認知度調査より(2023年4月実施)
第6回「SDGsに関する生活者調査」(2023年5月実施)

SDGsという言葉の認知率は今年初めて90%を超えた。200を超える日本のメディアは「1.5℃の約束」キャンペーンを繰り返し、学校教育にも浸透し、お受験にもSDGs問題は欠かせない。上場企業から中小企業まで背広の襟にSDGsホイールバッジを全員が着けている。かくいう僕もFRaUという講談社の女性誌を丸ごと一冊SDGsとして上梓し、この12月に「神戸・兵庫号」で22冊目となった。どうやら日本は、世界最高のSDGs認知率らしい。コレは素晴らしい。まずは褒めておこう。

生活者の環境危機意識調査 公益財団法人旭硝子財団(2023年9月)

ところが2023年は上図の通りである。25カ国中23カ国目だ。蟹江 憲史
慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科教授 は次のように語る。

日本のSDGs達成度については、国連の調査結果では、2023年半ば現在で、20%に満たないというのが現状だ。気候危機、コロナ禍、戦争の傷が、進捗停滞あるいは後退の大きな要因と認識されている。この実際の進捗と比べると、人々の意識の上では達成度が高めに出ていることがわかる。とりわけ日本では、SDGsを知っているという人の数は9割程度に上り、コトバが踊っていることの影響もあるのだろう。しかし実態はというと、行動にはまだまだ表れていないことを認識しておく必要がある。 行動を起こすには危機感を持つことが重要だ。実態を反映した危機感を持つように、今後の行動を考えていく必要がありそうだ。 

根本かおる国連広報センター 所長は、講談社「FRaU共創カンファレンス2023→2024」セミナー「SDGsの現在地~2024年、企業とメディアに求められること」のなかで次のように語った。

SDGsの社会実装は、2023年中間地点評価で危険水域に位置し、赤信号が点っている。みんなの力でなんとかする必要があるのは間違いない。

というわけなのである。認知率は世界最高の日本は、実装率では危険水域、世界の持続可能性にちっとも寄与していないのはもちろん、日本の持続可能性もこのままでは怪しい

46億年前に生まれた地球は、このままあと46億年後にガスとなって宇宙の塵となるそうだ。一体全体こういうシミュレーションは誰がやっているんだろう。解像度が上がった現代の科学では、そういう計算なのだそうだ。地球沸騰時代に突入した今、我々人類が地上で暮らせなくなる日がこのままではそう遠くない時期にやってくる。地球にとってはどうってことない話なのではあるが。
でも、僕ら人類には大問題。

>あなたは、宇宙のどこかに地球と同じ条件にうまく当てはまる惑星を探すことを目指すだろうか?
>それとも、灼熱の地球に適応できる耐性を進化の果て自分自身に装備するだろうか?
>それとも、少しだけ暮らし方を変えて、二酸化炭素やメタンガスを出さない暮らしに今すぐ転換するか?

今からでも遅くない。
地球の嘆きに耳を澄まそう。
そして、風の歌を聴こう。
暮らしの形を変えよう。

人類OSアップデート計画

人類のOSアップデートとしての効果は、本当にあったのだろうか?確かに普及啓発は大変うまくいったのだと思う。広告業界の末席でバトルしていた僕のいうことだけど少しだけ信じてほしい。あれだけ用意周到に組み立てられて展開され、画期的で、超スピードで、これほどまでに世界中に拡がっているキャンペーンを僕は知らない。だが、それを上回るスピードと規模で「平和」と「環境」のカテゴリーのアウトカムは普及率とは全くシンクロせず、むしろ危機的状況にあるということを人類は受け取らなければならない。

三年ほど前京都大学のSDGs問答というオンラインイベントの中で「虫とゴリラ」という本を共同出版した養老孟司さんと山極寿一さんに「SDGsをどう捉えていますか?」と聞いてみた。すると知の巨人たちはこう答えた。

山極:SDGsはよくできていますが、あれにはゴリラの立場がどこにも描かれていないんですよ。あくまでも人間だけの開発目標になってしまっている。
養老:それを言ったら虫も入ってないですよ。

今月三菱総合研究所が主催した「未来共創イニシアティブ」の中で小宮山宏理事長はこう語った。

小宮山:ウェルビーイングな状態は確かに欲しい未来。ただ、個人や地域の枠を越え、地球規模のウェルビーイング「プラネットヘルス」に寄与できる企業の存在が必要です。大企業も中小企業もスタートアップも共創し、それを創り上げましょう。

知の巨人たちが語ったことは偶然ではない。人類は、地球に家賃も払わず住まわせてもらっている立場、動物も虫も細菌も海も森も空も酸素も二酸化炭素も水素もあらゆるものが調和と共創を取り戻すべきだというメッセージだと僕は思っている。

地球カレンダーをご存知だろうか?地球がガスから誕生してこれまでの46億年を1年(365日)にあてはめたもの。18世紀後半に英国で起きた産業革命から今日までの時間は、365日の中で12月31日23時59分58秒からのたった二秒間に過ぎない。その二秒間にいくら知らなかったとはいえ自らが住めないかもしれない状況にまで環境を穢してしまったのは紛れもない事実である。産業革命は、あの時代、すべての人が望んだ最初のOSアップデートだったのかもしれない。でも現在私たちが手にしている新しいアプリケーションは、その旧型OSの上では機能しないに違いない。人類のOSアップデートは「暮らしの調和」を取り戻すことに他ならないのではないだろうか?

石川淳哉 SGP塾より抜粋 

【実装課題1】コレクティブインパクトの実現

地球の課題は、地球の声を耳を澄まして聴くしかない。その声が聞こえたとしても「予算」「テーマ」「スケジュール」など聞いても応えてはくれない。最初から事業性を伴っているものは少ない。なので、最初はプロジェクト型で始まることが望ましいが「解決したい社会課題」に対して多くのステークホルダーを集め推進するPMOも存在がキーになる。でもお分かりの通り、そんなことをやったことがある人は少ない。まだまだ手探りの状態なのである。

石川淳哉 SGP塾より抜粋 

【実装課題2】経済合理性の壁

どんなに素晴らしい企業も、経済合理性の壁を超えて新しいプロジェクトを立てることは難しい。多くの企業は、主体的な事業を根幹に据え、元々地球の継続に向けたサービスを芯にに据えて立ち上がった企業は多くはない。いや、皆無に近い。SDGs以前に立ち上がった企業は、そういう気持ちがあってもCSRフォーマットにはめて実現するしかなかった。なので、実業の不振により予算がなくなるということも多い。というわけで、企業が社会課題解決型に会社全体を振り切ることは至難の業だ。プロジェクト型で進める企業も少しずつできてきた。社会課題解決型のプロジェクトが本業を超え本体を凌駕することが望ましいが、本業への影響を恐れる役員会や経営会議の存在のため、まだまだ日和見的な状況が続くであろうと思われる。
注* 今、いろんな企業にヒアリング中

CSR-石川淳哉 SGP塾より抜粋 

【実装課題3】暮らしを循環型に変える壁

また、家庭においても同様だ。家や車のローン、教育費、生活費を抑えてでもSDGs推進家庭になることは困難だ。わかってはいても自分の生活をいわゆるエシカル消費に切り替える友人はまだまだ少ない。比較的余裕のある家庭から変換していくしかないのだが、まだまだ贅沢品を享受することの方が脳や細胞が喜ぶのが現実だ。きっと、世界的ブランドや車が、全部社会課題解決系商品に切り替えられるまでこのゾーンの人々は変わらない。ただ、これももうすぐ訪れる。BMWやジャガーは主体をこのゾーンに切り替えている。ポルシェもすでに発売済み。フェラーリは2025年、あのランボルギーニも2028年にEV発売を計画中だ。LVMHやTIFFANYも包装、素材、生地、宝石の生産地など、エシカル消費に向けて虎視眈々と実装中だ。

こんな声も聞こえてくる。
子供がSDGsを学校で学習して帰ってくる。子供が「ねえ、再生可能エネルギがね…電気自動車がね…マイクロプラスティックがね…地球が沸騰時代に突入したよ…」とリビングルームで両親に話かける。でもこの声は虚しくリビングルームの宙空に消えることがまだまだ多いのだという。
家族でこの声を地球の声として聴いてあげ、家族単位で暮らしの変革のレシピを計画する日が来ることを祈っている。いや、きっと来るはずだ。

世界を変える小さな挑戦

何度もいうが、社会課題は満載だ。でも社会課題を解決するために作られた企業は世界でもまだ数えるほど。そして、我々はすでになんらかの組織や業務に携わっている。大企業が明日朝目覚めたらパーフェクトなCSV企業に生まれ変わっていることはない。中小企業もまた同じ。ではどうしたらいいのか?

CSV-石川淳哉 SGP塾より抜粋 

まず、販売管理費のかからない社会課題解決型プロジェクトを立て、実践してしまうこと。企業の中にでもいい。副業でもいい。同じ課題を共有できる仲間を見つけて今すぐプロジェクト設立会議を始めよう。あなたと同じ課題感を持つ仲間は世界中にいる。インターネットでいつでも顔を見ながら世界中でセッションできる時代だ。始めてみればわかることだが、世界は「社会課題解決プロジェクト」を求めている。ただ自らが始めるにはハードルが高い場合が多い。「クラウドファンディング」「ふるさと納税」「企業版ふるさと納税」「ソーシャルインパクトボンド」「投資」「遺贈基金」「国・自治体の助成金」「財団の助成金」応援してくれる資金は探せばもっとある。ただ、立ち上げに使うシードマネーだと思った方がいい。それでまずは立ち上げる。そしてそれが継続性を期待されれば、株式会社や社団法人、NPO法人にしていけばいい。そのままスタートアップになってもいい。東日本大震災の時立ち上がった「東北食べる通信」がつい先日初めて一般社団法人から株式会社に変更し、インパクトIPOという社会課題解決型上場を果たした。
もし、あなたが地球の継続に少しでも自分の力が使えるなら、プロジェクトメイクする勇気があるなら、仲間に「手伝って欲しいんだ」ってお願いできるならば、今すぐ立ちあがろう。

上記は僕が主宰するソーシャルグッドプロデューサーを育てる塾。全国1741自治体に一人ずつ育てたいと思っている。今はまだ55名。まだまだ人数は少ないのだけれど、確実に手応えがあるネットワークが形成されつつある。1月10日から毎週水曜日夜20時から23時まで。全10回。一緒にプロジェクトを創りましょう。
条件:参加費を費用ではなく投資と考えられる人。
   社会勉強だけだと参加費の費用対効果が薄いです。
   参加は、なんらかのプロジェクトメイキングをしたい人に限ります。
特典:僕が生きている限りあなたの壁打ちに付き合う権付き
  :僕のネットワークは紹介します。それに見合う企画が必要
  :プロジェクトメイキングに伴走します。
  :終了時にプロジェクトの骨子が決まっています。
宿題:結構、人生でコレほど考えたことないくらいの宿題あります
これまでの参加者:5シーズン 55名
・人材派遣系上場企業社会課題事業担当者
・脱炭素社会、循環型社会を実現するための課題に取り組む上場企業担当者
・社会課題解決型コンサルファーム
・自治体SDGs担当と自治体の有志
・メディアの協会事務局次長
・広告代理店SDGs担当
・一般社団法人医療デザインセンター 代表理事と理事たちと参加者
・一般社団法人みんなのグリーフケア 代表理事と理事たちと参加者
・一般社団法人、NPO、社会課題解決型スタートアップ代表者、企画担当者
・地域おこし協力隊卒業予定者
・地域で挑戦中のプロジェクトリーダーたち
・白馬高校、京都大学、同志社大学、宮崎大学の学生は寄付参加


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