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激闘!2018年映画ランキングTOP10【格闘アクション映画編】

趣味に生きるオタクとして様々なジャンルに住んでいるのだがそのうちのひとつが格闘アクション映画だ。
格闘映画は素晴らしい。つまり、マーシャルアーツを使い悪党をボコボコにしたりする映画なのだが、そういう映画は頭を空っぽにして見れる一方、アクションシーンは緻密な計算と限りない想像力の元作られており、一種の芸術だと言える。

2018年。今年も素晴らしい数々の格闘アクション映画が公開された。
去年末12月30日に『バーフバリ/王の凱旋』を見た身としてはまだまだこの時期に映画ランキングを作るつもりはないが、格闘映画ならもう公開されることもないだろうと思い、こうして勝手ながらランク付けをさせてもらった。

10位 2バッドガイズ
製作国:アメリカ
ファイトコレオグラファー:Luke LaFontaine

TOP10と言ってもそもそも格闘映画自体が少ないので、TOP10が最底辺みたいなところがあるのであんまりおススメできない10位『2バッドガイズ』

あらすじは空手の道場主が借金取立人になってあれこれ奮闘する話だ。特に面白みのあるストーリーではないので気にしなくても問題ない。

主演は”生ける蹴り技百科事典”ことスコット・アドキンス。監督はそんなアドキンスと最近度々コンビを組むジェシー・V・ジョンソン。
アドキンスと言えば『デッドロック』シリーズや『ニンジャ』シリーズで超絶アクションを見せているので好きな人が多いだろう。
自分もアドキンス主演というだけでこの映画を見ると決めたので、それくらい信頼できる男だ。
が、しかし。本作はアドキンスの良さを活かせているとは言えず、カメラワークや編集、アクションのテンポは単調で退屈。アドキンス特有のアクロバットな蹴り技もない。
そんなわけで期待していただけに失望が大きい残念な一作。

9位:コンフィデンシャル/共助
製作国:韓国
アクションコーディネーター: SeaYoung Oh

こちらは韓国の映画『コンフィデンシャル/共助』
韓国の人情派刑事(ユ・ヘジン)と北朝鮮のエリート刑事(ヒョンビン)がコンビを組んで事件を解決するバディムービー。
ヒョンビンは別にマーシャルアーツ系俳優というわけではないが本作でロシアの軍隊格闘術『システマ』を駆使し、トイレットペーパーで人をぼこぼこにする超面白いアクションを見せてくれる。
ちなみにストーリーも超面白く、とっつぁん刑事とエリートマシーン刑事が絆を深めていくブロマンスはエモいのでお勧め。

8位:ミッション・インポッシブル/フォールアウト
製作国:アメリカ
ファイトコーディネーター:Wolfgang Stegemann

ビッグタイトルのシリーズものは通常、保守的であったり冒険心を失ってしまうものがままある。3や4が駄作なのは大体そういった理由だ。
一方、挑戦する心というのは人を、映画を前進させ、時に偉大な作品を世に残すことがある。現在進行形で伝説を打ち立てているマーベルシネマティックユニバースがいい例だろう。冒険心を持つのはなににおいても重要なことなのだ。
だが限度というものがある。

ミッション・インポッシブルシリーズは言わずと知れた超有名スパイ映画シリーズだ。だが本作におけるトム・クルーズの冒険心、すなわち前へと進もうとする勇気は狂気と言っても過言ではない。
既に知らぬものがいないスーパースター、トム・クルーズだが、彼は慢心というものを分娩台にでも置いてきたのだろう。本作ではノースタントでHALO降下をしたり、ヘリにぶらさがったり、ヘリの操縦をしたりする。はっきりいって異常だ。
メディアでは「骨折したのに走り切った!」とかちやほやしていたがそんなものじゃない。骨折がなんだ。彼は自分でヘリをぐるぐる落下させながら演技もしてたんだぞ。イカレてんのか!
おかげで全編にわたって見たことのないスゴイ映像が見れる。
そして注目の格闘シーンはなんと、謎のアジア人(Liang Yang)がトム・クルーズとヘンリー・カヴィルを同時にボコボコにするスゴイ映像が見れる。
マジですごかった。
あとファイトコーディネーターの人の名前が「ウルフギャング」で強い。

7位:アクシデント・マン
制作国:イギリス
ファイトコレオグラファー:ティム・マン

またもやスコット・アドキンス主演の映画。劇場公開はされないがなぜか結構な頻度で日本に来るアドキンス映画。
こちらもまた監督がジェシー・V・ジョンソン。2バッドガイズとは違い、ファイトコレオグラファーがティム・マンなのでアドキンスが色んな蹴り技を披露してくれ、最後まで飽きずに見れる作品。
とはいえ往年のアドキンス映画に比べれば見劣りする印象。

でも7つの黒帯を持つマイケル・J・ホワイトやダース・モールを演じたレイ・パーク、エイミー・ジョンストンなどが出演していおり、動ける人博覧会みたいな感じで結構楽しかった。
なんかアドキンス作品ばかりに酷評が目立つが、それはアドキンスが好きすぎるだけなので、『デッドロック』シリーズやニンジャ・アベンジャーズとか是非見てほしい。アドキンスは超いい俳優なので。
ちなみにアドキンス曰くアクシデントマンは『日本で大ヒットしている』らしい。どういうこっちゃ。

6位:狂獣 欲望の海域
製作国:中国・香港
アクション監督:ニッキー・リー

こちらもスコット・アドキンス同様「期待した割にはがっかり」枠。とはいえマックス・チャンの凄まじい動きやニッキー・リーのアクション監督としての地力が桁違いなので堂々の5位。

具体的なレビューは記事にしてあるのでこちらをどうぞ。

5位:悪女
制作国:韓国

厳密には格闘アクションではないのだが再び韓国から超ブッタマゲNO.1のバイオレンスアクション映画『悪女』を紹介する。
ストーリーはニキータものということしか覚えていないのだが、そのアクション演出が革新的で話題になった作品。当時の流行である長回しのアクション演出をこれでもかというくらいに突き詰めて進化させた超ヤバい作品。
「どうやって撮ったんだよ!」思わず突っ込みたくなる驚異の映像の連続で思わず半笑いになる。
マジでスゴイのでぜひ見て欲しい。

4位:脱出 JAIL BREAK
製作国:カンボジア
アクションコーディネーター:Esa W. Sie

スタンド使いとスタンド使いが引かれ合うように格闘映画と格闘映画オタクは引かれ合う。
寝苦しい夜に何も知らずたまたま見始めたカンボジア発のボッカタオアクション『脱出 JAIL BREAK』が堂々の4位。

「カンボジアの映画? よく知らないけどそこまで面白くないんだろうな」「でもこういうマイナーな映画をあえて見るのも一興だよね」とかいう舐めた態度で見始めたが蓋を開けてみればびっくり。なんとカンボジア版「ザ・レイド」だった。

タイにムエタイ、インドネシアにシラットがあるようにカンボジアにはボッカタオがある!ストーリーに何の捻りもなし。とにかくアクションに次ぐアクション。何故ならカンボジア版「ザ・レイド」だからだ!
次々襲い掛かる刑務所の囚人をカンボジアの格闘技ボッカタオで切り抜けるぞ!
主演の5人の顔は微妙にぱっとせず、イコ・ウワイスのぱちもんみたいな顔の人ヤヤン・ルヒアンのぱちもんみたいな顔の人がいるが動き出すとキレキレのボッカタオが炸裂する!
スピーディーな格闘アクションでカメラワークもぐんぐん動くというのにアクションの一つ一つが見やすく、アクション演出も超一流。
ストーリーと全然関係ないのに唐突に謎の食人鬼が出てきたりなど茶目っ気もたっぷり。
非常に熱量と技術を感じさせるアクションは間違いなく今年のベスト級だろう。

3位:戦狼/ウルフ・オブ・ウォー
製作国:中国
アクション監督:サム・ハーグレイブ

2018年で話題になった男と言えば、大人気漫画の映画化シリーズで最大のヒットを飛ばした「名探偵コナン ゼロの執行人」通称”100億の男”安室透だろう。またはインド映画史上最大”300億”越えのヒットを飛ばし、日本で大熱狂を巻き起こしたバーフバリ。
かくいう私も映画を見て安室さんの指の細長さにうっとりする安室の女(自分は男だが安室さんを見ている瞬間私はたしかに女だった)となり、一方バーフバリではマヒシュマティ王国民としてスッバラージュさんの舞台挨拶にも馳せ参じた。
だが我々は知らなければならない。2018年の始めにひっそりと公開されたアジア圏最大の興行収入1000億を越えた超大作を。
それがカンフーの至宝《ウー・ジン》が監督、主演を務める『戦狼/ウルフ・オブ・ウォー』だ。

ウー・ジンと言えば伝説的香港ノワール映画『SPL/狼よ静かに死ね』で印象的な悪役を務め、続編『ドラゴン×マッハ(原題:殺破狼II)』で主役を演じたことから知っている者も多いだろう。
戦狼はそんなウー・ジンが監督主演を自ら務め、自身の魂を注いだ超大作シリーズだ。
はっきり言うと、一作目の戦狼は駄作だ。スコット・アドキンスとのアクションシーンは超すごいのだが、ストーリーは全然面白くないし演出は微妙でなんか珍妙な雰囲気の残る映画だった。
はっきり言ってウー・ジンの熱量が空回りしているような印象を受けた。

だが本作はなんとハリウッドから『アベンジャーズ/インフィニティウォー』のルッソ兄弟を監修に呼び、ハリウッドのスタッフを積極的に呼び込むことで中国映画特有の異常な熱量を維持したままハリウッド的な娯楽超大作に仕上がっている。

ハリウッドはその性質上、格闘アクションを撮るには向いていないので超大作ですごい格闘アクションというのはなかなかお目にかかれない(最近増えてきたけど)。
だが戦狼はハリウッド的な娯楽作でありながら技術力の高い格闘アクション映画を作り出したのだ。言ってしまえばハリウッドと中国の良いとこ取り状態である。

ルッソ兄弟は既に中国の映画会社と契約を結び、製作スタジオも設けているようだ。今後、中国の映画がハリウッドを越える日が来るかもしれない。そんな予感を覚える映画だった。
1000億の男”ウー・ジンの今後の活躍にも期待だ。

2位:シャドー・オブ・ナイト
製作国:インドネシア
アクションコーディネーター:イコ・ウワイス

人の血でプールを満たせると思ったことはあるか?俺はある。何故なら『シャドー・オブ・ナイト』を見たのだから。

柔道家であり、ザ・レイドではイコ・ウワイスらを率いる部隊長を務めたジョー・タスリムがNetflixに殴り込みをかけた。監督は『ヘッドショット』でバイオレンスアクションを作り出したティモ・ジャタント。
そしてシラットマスターとしてお馴染みのイコ・ウワイスやザ・レイド2でハンマーガールを演じたジュリー・エステル共演と、インドネシアバイオレンスのアベンジャーズ状態だ。

そんな本作はホラー出身のティモ・ジャタントのゴアと格闘アクションを手掛けるイコ・ウワイスのバイオレンスさが絶妙にミックスされ、スーパーゴアアクションムービーという奇跡の調和を果たした。
なんかもう常に画面に血や臓物が飛び交っててとにかくすごかったほんとすごかった。

具体的なレビューは記事にしてあるのでこちらをどうぞ。

多対一アクションはまだまだ拙いところはあるもののアイデア満載のアクションは非常に楽しかったし全編にわたる異様なテンションは見てて終始唖然しっぱなしだった。
ラストのアクションは2018年のベストバウト。マジすごかった。

1位:SPL/狼たちの処刑台
製作国:中国・香港
アクション監督:サモ・ハン・キンポー

格闘アクション映画ベスト10堂々の一位は伝説的香港ノワールシリーズの最新作にして外伝的作品。そして香港電影金像奨動作設計賞を受賞したアクションの中のアクション『SPL/狼たちの処刑台(原題:殺破狼/貪狼)』だ。

『SPLシリーズ』といえば一作目『SPL/狼よ静かに死ね』はまさしく伝説と言える作品だろう。ドニー・イェンが久しぶりに主演兼アクション監督を務め、世界に先駆けてMMA(総合格闘技)要素を取り入れたことによりアクション映画史を塗り替えたとんでもない作品だ。

二作目の『ドラゴン×マッハ(殺破狼II)』も、世界の度肝を抜くようなアクションを作り出し、そして我らが流麗なる武打星、マックス・チャンの名を世界に知らしめた。

そして最新作の『SPL/狼たちの処刑台』はアクション監督に”レジェンド”サモ・ハン・キンポーを呼び、非常に安定して高クオリティなアクションを見せてくれた。
主演のルイス・クーはいわゆる”動ける人”ではないが、サモ・ハンの演出力で”ぶっ壊れたセグウェイ”みたいな動きをするし、動ける人枠であるウー・ユエ、クリス・コリンズ、トニー・ジャーのアクションは素早く洗練された動きの中に大胆で外連味のある動きをとりいれ、見るものの度肝を抜いた

いい格闘アクションの指針としては、やはり”速いのに見やすい”というところだが本作のアクションはマジで素早く、それでいながら超見やすいという本当にサモ・ハンの熟練した技を感じるアクションだった。

ちなみに香港映画は時々思うのだが、ストーリーを面白くするために主人公を追い込むのに容赦がないきらいがある。
本作は登場人物がやたら酷い目に合うことで有名な『SPLシリーズ』だが、それらが優しく見える程主人公が滅茶苦茶酷い目に合う。
ストーリーは娘を誘拐された父親が臓器密売組織に単身喧嘩を売るという98時間を彷彿させるものだが、その難易度はまさにエクストリーム。こちらがドン引きするくらい悲惨な目にあう。

本作の主人公、怒れる暴走機関車パパを演じるルイス・クーはなんと前作であの心臓の弱い臓器密売組織のボスを演じている。
一作目で悪役を演じたウー・ジンが二作目で主役になったことといい、なんともカルマを感じるキャスティングだ。ストーリーに直接の繋がりはないものの、常に仏教的価値観の元”因果”というルールが描かれるのもSPLシリーズの特徴だ。

前作で心臓の弱い臓器密売組織ボスを演じたのが嘘のように修羅の顔をしながら人をしばくルイス・クーは初の香港電影金像奨主演男優賞を受賞した。やったね。
とにかく超面白いのでぜひ見てくださいね。

まとめだ

1位:SPL/狼たちの処刑台

2位:シャドー・オブ・ナイト

3位:戦狼/ウルフ・オブ・ウォー

4位:脱出/JAIL BREAK

5位:悪女

6位:狂獣

7位:アクシデントマン

8位:ミッションインポッシブル/フォールアウト

9位:コンフィデンシャル/共助

10位:2バッドガイズ

2016年~2017年にかけられて作られた映画なので当時の流行だった"長回しアクション"の変化系が沢山見られた年だった。みんなアイデア満載で面白く、とくに悪女の長回しチェイスやウルフオブウォーの水中長回しが滅茶苦茶楽しかった。
一方、SPL/狼たちの処刑台で長回しが使われていなかったのでなんとなく長回し流行の終焉を感じる。

以上、格闘アクション映画ランキング終り。今年はドニーさんの映画が公開されなかったのが残念だけど来年にはヤバい噂しか聞かない『アイスマン2』が公開されるらしいので超楽しみ。
また、マックス・チャン主演のイップマンスピンオフ『張天志』の公開も決まっている。来年も楽しい一年になりそうだ。

ちなみにイコ・ウワイスとヤヤン・ルヒアンが宇宙人をしばく『スカイライン-奪還-』とセガールベストアクションと名高い『沈黙の達人』が見れなかった負け犬なのでこの二作品はランキングに入れてません。ごめんなさい。

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