実際に地域が抱える課題と3ヶ月間向き合う研修[SIWR#14]
〜若手職員向け地域コーディネーター研修 ステップアップ編〜
「インターン・ワークショップ・レポート」は、大学生によるワークショップ現場の率直レポートです。2018年から冊子として発行してきたものをnoteでは新旧織り交ぜて紹介していきます。
note版#14は、小田くんによる『地域コーディネーター研修 ステップアップ研修(2019年8月8日~11月15日)』のレポートをお届けします。
実際に地域が抱える課題と3ヶ月間向き合う研修
今年度の川崎市「地域コーディネーター研修」は、地域の課題解決の現場で使うスキルを向上することを目的に、地域に関わる多様な部署の若手職員を対象に実施されました。今回は中原区の町会の協力が得られ、町会が実際に抱える課題を扱ったことで、現実味のあるプロジェクトのように進行していきました。
研修は全4回で、1日目に実際に現地を歩いて町会の特徴や抱える課題の整理を行い、2日目は町会の方々や民生委員の方々から地域についてのヒアリングに挑戦しました。そして、3日目にフィールドワークやヒアリングから得た情報をもとに提案を考えるワークを行い、最終日にそれを町会に提案しました。
講評には町会長だけでなく、中原区長、現場を担当している保健師にも来ていただき、様々な角度から意見をいただきました。8月から11月の約3ヶ月に渡り実施し、研修時間外にもグループメンバーで連絡をとりつつ行ったことで、内容の濃い研修になったと思います。
最終日の提案内容を聞いていると、ただの研修の課題ではなく自身が感じた実感として地域課題を受け止めていることが伝わってきました。研修の一環として学んだファシリテーションやグラフィックスなど、自分のスキルを使って、アイデアの魅力や実現の為の検討を伝えようとする工夫も見られました。
地域に対する熱い想いがぶつかり合う
提案されたアイデアに対して、町会長は「既に検討済みのアイデアです」「この部分は取り入れることができそうです」など真剣にフィードバックしていました。職員側も、フィードバックに対して「この提案は今までに実施されたであろう試みとこう違います!」などと最後までグループで考えたアイデアの魅力や強みを伝えており、熱意の籠った応酬の中で意見がさらにブラッシュアップされることもありました。
提案にはヒアリングから得た生の声も反映されていたこともあり、議論の焦点も具体的で、明日から取り組めるアイデアも多く生まれてました。私自身、地域について真剣に向き合う場に立ち会う事ができてよかったと強く感じました。
リアルに触れた職員からは変化も
アイデアの提案終了後は、職員のみで簡単に振り返りを行いました。「地域に入る部署に所属しており、大変だったがこういった経験ができたのは今後の仕事に活かせそうだ」など前向きな意見が多く挙がりました。
また、「よく考えてみると、自分だったら提案したイベントを行っても参加しないかもしれないと感じた」など、課題として取り組んでいたものをジブンゴトとして捉えた時の意識の変化を聞くこともできました。
既に多くの取組みをしている地域だったこともあり、新たな提案をするのは大変だったと思います。しかし、終了後の表情からは達成感を感じ取ることができ、この研修を通じて得たものも多かったのではないかと思いました。
○インターンレポーター:慶應義塾大学大学院 政策・メディア研究科1年 小田 史郎(開催当時)
○ワークショップ名:地域コーディネーター研修 ステップアップ研修(川崎市)
○開催日時:2019年8月8日~11月15日
○実施場所:井田地域生活支援センターはるかぜ
○参加者:川崎市の区役所等の職員
○テキスト校正・添削:鈴木徳子(Writer/Editor)
インターン・ワークショップ・レポート
「インターン・ワークショップ・レポート」は、石デ(石塚計画デザイン事務所)のまちづくりワークショップの現場を体験した大学生の率直レポートです。
現場の様子が丁寧に綴られているだけでなく、ほっこりする感想や、意外な視点もあり、プロのファシリテーターも当日を振り返って刺激を受ける内容が詰まっています。
2018年から冊子として発行しているものをnoteでも新旧織り交ぜて掲載していきます。
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