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読んでもオモロイ演芸台本 酒井くにおとおる『まごころコンビニ開店中』

先日お亡くなりになった酒井くにお師匠の思い出を写真とともに記しました。
また、演芸作家としてくにおとおる師匠に書かせていただいた漫才台本の制作エピソードも併せて綴っております。どうぞご一読くださいませ。


以下、その漫才台本です。
あの顔合わせ(上記制作エピソード↑)からこういうネタが生まれたのか……と思いながら読んでいただけると、なお嬉しいです。無料エリアだけでもぜひ!!可愛いネタだよ。

 ●NHKラジオ 上方演芸会 
 ●漫才台本『まごころコンビニ開店中』
 ●口演 :酒井くにおとおる
 ●制作日:2012年4月
 ●収録日:2012年5月19日(新潟県上越市)


『まごころコンビニ開店中』


とおる「みなさま初めまして、漫才界の阿部寛でございますよ」

くにお「いきなり何言ってるの」

とおる「よう言われるんですよ。『あんた、彫りの深い顔やなあ、俳優の阿部寛に似てるなあ』って」

くにお「そりゃまあちょっといい男だけどね」

とおる「弟の私が阿部寛そっくりで、兄貴はあべかわもちそっくりで」

くにお「誰があべかわもちや!」

とおる「パタパタするなて。顔からきなこが飛んでくるんやから」

くにお「粉ぉふいてへんわ!出てきて早々よくそんな好き勝手が言えるな」

とおる「今日は新潟県上越市という素晴らしい所に呼んでいただきまして」

くにお「緊張するわね、とおるちゃん」

とおる「こう見えても、お兄さんて、よう舞台であがるんですよ」

くにお「何年漫才やっててもあがりますね」

とおる「お兄さん、舞台であがる代わりに最近、足があがらんのよ」

くにお「いうな!そんなこと」

とおる「段差のある所ならわかるけど、まったいらな所でつまづきますねん」

くにお「ほんと恥ずかしいんだけど、それでこの前転んじゃってね」

とおる「とっさに手が出ないもんやから、顔からドーン」

くにお「痛かったわ」

とおる「ほんでこないへしゃげてしもて」

くにお「へしゃげとらんわ!」

とおる「すごい!相変わらずキレのいいツッコミするね」

くにお「あらそう?」

とおる「お兄さん、ツッコミのキレいい代わりにオシッコのキレ悪いのよ」

くにお「言うなちゅうねん!年を感じるようなことばっかり言わないでよ」

とおる「しゃあないやろ、お互いええ年になったんやから」

くにお「二人して還暦越えたもんね」

とおる「あんた今年でいくつになるの」

くにお「64ですよ」

とおる「人間で言うと?」

くにお「人間で言うとるわ!」

とおる「でも私らの世代って、なんか世間から冷たくされてる気ィしない?」

くにお「それはあるかもね」

とおる「私らの世代の3Kってわかる?」

くにお「キレイ、カワイイ、カッコイイ」

とおる「厚かましいわ!正解は、クサイ、キモイ、キタナいや」

くにお「わー、ボロクソやな」

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