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挿し木チャレンジ_ヤマグワ Ⅰ

みなさんは、小学校の帰り道で木の実を食べて帰った経験はあるでしょうか?

僕は木苺をつまんだことが何度もあるのですが、木の実を食べた記憶はありません。(しぶ)栗や(しぶ)柿を拾って帰って、食べられなくてショック!ということはありましたが…苦笑

じつは、日本全域に分布している、食べられる木の実ができる木があります。ヤマグワといいます。いわゆる「桑の木」です。

深い赤紫色に熟した木の実は甘酸っぱく、しかし確かな甘みがあります。以前、地元の子どもたちに教えたら延々と食べつづけたので止めました(笑

地元の子どもたちのお墨付きがつくほど美味しいヤマグワの実。
人間とは欲深いものでね…これ、自宅で採れたらスゴくないですか?
そう思いましたので、挿し木で庭に植えてみることにしました。

挿し木とは、生きている木の枝を切り取り、切り口から根を発生させて別の木として生長させるという技術です。植物って動物とは違って細胞が文化しやすいので、うまく行けば切り口から根っこが本当に生えてくるのです。せいめいってすげー。

おおくまも挿し木をするのは今回が初めてなので、ガーデニングの本(挿し木の指南書)をいくつか読んで注意事項をピックアップします。
・病気のない、活き活きとした太い枝を選んで採集する
・切り口に雑菌がつかないようにする
・清潔な土を使う
・過度な高温、低温時期を避ける(春先が望ましい木が多い)

ふむふむ、つまり元気な枝を清潔で安定した環境に定着させよ、ということですね。

というわけで、2022年の5月ごろに採ってきました。ヤマグワの枝。

(牛乳パックは採取地ごとに枝を分けるための仕切りです)

詳しい話は置いておきますが、採集元の木の生長に関わる頂芽ではなく側芽から伸びた枝をとってきました。採ったそばからしなび始めるので、水を張ったバケツに1時間程度つけて水揚げします(枝に水をしっかり吸わせること)。

で、ホームセンターで買ってきた挿し芽・種まき用の土を使います。

植物が生長する時に必要とする栄養素はステージごとに微妙に違うらしいのですが、この土は発芽や発根時に必要になる養分を備えた清潔な土。挿し木に適しています(説明文にも挿し木のやり方が書いてありました)。

これを、鉢底石を敷いたポットに入れて、水を染み込ませて、水揚げしたヤマグワの枝を挿していきます。

日陰において、土の表面が乾いたら水やりをします。水をあげすぎると腐ってしまうリスクがあるのです。愛情を行動に移したい欲をぐっと抑えます

ヤマグワがもともと持っている生きる力を信じて観察しながら、必要に応じて水を与えます。

ちゃんと根が張ったかどうかを確認するには土をめくる必要がありますが、根を傷つけてしまうリスクが大きいです。このため挿し木では新芽が芽吹いたら発根成功とみなすことが多いようです。

1ヶ月後。挿し木の成功率は枝のポテンシャルと作業者の技術次第。初心者の僕ではまだまだ成功率が低く、生き残ったのは12本の枝のうちわずか3本でした。
ただ!見てください!側芽のひとつの皮(芽鱗)が剥がれて、葉っぱの赤ちゃんが顔を出しました!芽吹きです!

ふおー!

せ、せいめいーーー!!(感動


発芽が確認できたことで、無事に発根できたことが分かりました☺

ただ・・・その後悪天候が続き、残念ながら生き残った3本の枝も次々と腐っていってしまいました。。青々としていた枝がどんどん黒ずんで固くなり・・・悲しさのあまり写真が残っていません(´;ω;`)

しかし、僕が住む地方の今年の夏は幸い冷涼だったので、真夏になる前にもう一度、枝を頂戴してきて挿し木にチャレンジしました🔥

1度目の挿し木が失敗した原因は特定できていませんが、挿し木が失敗する原因の多くは土の不衛生さによる菌の発生と菌による腐敗であるとする本が多くありました。そこで、思い切って土を変えバーミキュライトを使うことにしました。バーミキュライトとはざっくりいうと
・水はけがよく
・しかし保肥力がよく
・無菌状態で
・めちゃ軽い土
のことです。

多くの場合は赤玉土などと混ぜて水はけをよくするための「土壌改良材」なのですが、単体で挿し木の土として使われることもあるそうです。

バーミキュライトの他に、今回は給水の手間を省くために給水式プランターも導入しました。

下のトレイに水を張っておくと、勝手に水を吸い上げて土全体がウェットに保たれるという優れものです。水を吸い上げるはたらきは毛細管現象というのですが、余談になるのでここは叫ぶだけで済ませます。毛細管現象ってすげー!

そしてそして、もう失敗したくないので、なんとなく禁じ手にしていた発根促進剤も使っちゃいますよ。ガーデナー御用達のそう、メネデールです。

何度聞いても「芽・根出ーる」ってすごいお名前です。
ナンカヤバイクスリの用に思えますが、蓋を開けてみればただの二価鉄イオン水溶液です。ホルモン剤のようなもので、植物の体内にもとから備わっている化学物質が解けているお水といえます。

肥料、農薬ではないため、毎日使える植物活力素。植物の生長に欠かせない鉄を、根から吸収されやすいイオンの形で含んでいる。さし木、種まき、植え付け、植え替えなど、さまざまな場面での使用が可能。発根を促し、成長期には元気な株に育てる植物のサプリメント。

メネデール 500ml 商品説明より引用

なんといいますか、おおくま的にはまぁいっかって感じです。
黒ずんだヤマグワの枝を土に埋める悲しみに比べれば…(遠い目

さて、フル装備で挿し木リトライに挑んだ結果、それでも6本中3本の枝は残念ながらお亡くなりになりました(´;ω;`) が!しかし!

残り3本は元気に芽吹いてくれました❗薄い黄緑色の葉は、発芽して生長した葉っぱです。

ん?

あれ?

ああああああ!!!しかも!!!!

おわあああああああ

狂い咲きで、秋なのに花が咲いてるーーーー!!!!

せ、せいめいーーーー!!(感動

(※ ここで平原綾香の「スマイル スマイル」が流れ始める)

ヤマグワの木は雄株と雌株があって、それぞれ雄花と雌花を咲かせます。この花は未熟ですが雄花のようなので、この個体は雄株と言うことになりますね!
雄株は木の実をつけることはありませんが、雌株が結実するのに欠かせない存在。このまましっかり生きてもらって、我が家のお庭に迎えたいと思います☺

さて、木の実を自宅で食いてぇという確かな食欲からはじまった挿し木でしたが、一段落したところで振り返ると、ヤマグワがもつ生きる力をじっくり観察できたという喜びが確かにありました❗これぞ充実充実感

普段は景色の一部として見逃してしまいがちな森の木々。挿し木というかたちで、じっくり向き合ってみるのもなかなか面白いですよ!


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