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ラピュタは本当にあったんだ - ロンドン封鎖日記 2021初夏

もう数週前になりますが、ワクチン打ちました。オクスフォード・アストラゼネカ。近所の薬局がセンターになってて、サクッとオンライン予約、プラプラ歩いてって、摂取自体は10分もかからず完了しましたよ。

経過としては翌日、注射した辺りの表面にかすかな痛み。聞いてた通りです。今まさにワクチンウイルスが僕の筋肉細胞に侵入、RNAを注入して細胞を乗っ取り、自らの複製を量産、それに対して僕の免疫機構が反応、攻撃開始して炎症中、更にそれをメモリー細胞が記憶して抗体を開発中、みたいな、胸熱な妄想も色々捗ります。まあその翌日にはもう何事も無かったかのようにすっかり消えてましたけど。イージーミッション。強化人間化完了

今やイギリスの成人70%超がワクチン摂取済み、つい先日は「パンデミック以降初の死者ゼロ」がアナウンスされました。初夏の気候も相まってイギリスはかなりリラックスムードといえます。しかし緩んだとはいえ各種規制は継続中。変異株にピリつきつつ、海外旅行解禁も見送りになりました。まあ他国はまだ強化人間化が進んでないので、当然っちゃ当然です。地中海近辺の観光業界は今年の夏も壊滅でしょうか。

そんな状態なもんで、この夏イギリスでは国内旅行が活発化してる気配。イギリスにだって綺麗なとこ楽しいとこはいっぱいあります。そりゃ地中海に比べれば海水は冷たいし、メシもイマイチってのはありますが、北欧には北欧の良さがあるもんなんです。という訳で僕もコーンウォールでの休暇を敢行しました。G7サミットの会場にもなるこのエリア、タイムリーだし初めて旅レポ的な事をやってみようと思います。

コーンウォールホリデー

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イギリス南西末端部をデヴォン地方、コーンウォール地方と言います。かつては炭鉱で賑わった時代もありましたが、それも廃れて久しい今は、基本的に酪農観光業で回っています。農村と海しか無い、比較的貧しいド田舎地方ですが、それ故に超絶美しい。一応イギリス内では最も温暖な地方で、日本で言うなら九州鹿児島あたりのイメージでしょうか。僕もこれまで何度か来た事があって、イギリスの中でも大好きなエリアのひとつです。

これがねえ、個人的にどうにも響いてしまうんです。それには理由があります。このエリア、そこかしこがすげーラピュタなんですよ!

僕がラピュタを初めて見たのは小学校低学年の頃、おじいちゃんちでの金ローでした。今でもその衝撃は憶えていて、それからしばし熱病みたいな感じでずっと雲を眺めてたもんです。その後も、セリフとか空で言えちゃうくらいになるまで何度も見返しました。

ラピュタの出典は、プラトンの「天空の書」に登場する空中都市「ラピュタリティス」、からの〜スウィフトの「ガリバー旅行記」に登場する「ラピュータ」だという事ですが、パヤオ氏が冒険活劇アニメ化する際にスチームパンク風な味付けでジュブナイル・ロストテクノロジー系SFにしました。でスチームパンクの定番と言えば産業革命イギリスな訳ですよ。

という訳で、コーンウォールは毎度僕の童心に激しく訴えてくるのです。

ポム爺さんのパイ

パズーが住む炭鉱夫の街「スラッグ渓谷」はウェールズ辺りがモデルになっていると言われてますが、コーンウォール地方でもそれを連想させる風景があちこちで見られます。炭鉱跡も結構残ってるし、海岸線に出れば、パズーがラッパ吹いてたような超絶壁や廃屋みたいなのもそこら中にあります。

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コーンウォールの代名詞として「コーニッシュパスティ」という名物パイがあります。炭鉱夫のお弁当用に、ミートパイを折り畳んで包んで焼いた物です。具材はシンプルですが、「ルタバガ」とかいうカブを使うので独特な匂いがあります。

かつて炭鉱夫達は、ススで真っ黒な手でパイの耳の部分を持って食べて、耳の部分は捨てたと。で、捨てられた耳の部分を炭鉱の妖精が食べると、彼らは悪戯をしなくなくなる、とかいう可愛い設定です。思わず「小鬼じゃ、小鬼がおる、オマケに女の子の小鬼までおるわい」とか言いたくなります。

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そして陸に出れば、遠くまで続く丘、格子状に繋がる木々、その上に流れる雲。「すっごいぞーラピュタは本当にあったんだ!行っくぞ〜!」とか心の中で叫んでしまいます。ていうか実際叫びました。

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ラピュタ山

で、実際ラピュタにも行ってきました。もちろん嘘ですけど、そんな妄想させてくれるのが「セント・マイケルズ・マウント」です。日本語だと聖マイケル山、フランス語でモン・サン・ミシェルです。そう、フランスのかの有名なラピュタ似の観光地、その海を隔てた対岸にも、実はマイケル山があるのです。イギリス版はだいぶショボめですが、フランス版と違って満潮時には本当に参道が沈んで孤島になります。その昔、ラピュタ人達は飛行石ででっかい島を空に浮かべたとか浮かべなかったとか。

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コーンウォールはウェールズやスコット/アイルランド同様ケルトの系列で、かつては独自言語もありました。ラピュタ人の子孫である可能性大。ユナイテッドする前のキングダム、ホニャララ・ウル・ラピュタ。イングランドとはまた少し違った空気配合の美しさなのです。

バルス

まあそんな訳で、さすがに空から女の子は降ってきませんでしたが、しばしパンデミックの事なんてすっかり忘れる程の異世界感を満喫。勿論他にも見所は色々ありますが、今回はひとまずラピュタ絡みで紹介してみました。

ロンドンに戻ると若干鬱も戻って完全にバルスな気分。所詮土から離れては生きられない僕ら、皆さんももし機会があれば、息抜きにラピュタごっこオススメですよ。

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帰り道に通り過ぎたストーンヘンジ。

ラ・プタ

余談ですが、僕のスペイン人のパートナーがラピュタを初めて見た時、タイトルシーンで退け反ってたので何事かと思いきや、どうやら「LAPUTA」の表記に驚いたようです。スペイン語「La Puta」は英語だと「The Whore」、日本語で「ザ・売女」て事で、子供用アニメにはありえない表記らしい。ローカライズってほんとムズいですね。。。



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