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ジェネレーションC(ontents)

みんな大好き世代論。特に最近はZ世代が流行ったお陰で、また盛り上がってる感ありますね。まあ別に今に始まった流行という訳でもなく、いつの時代も「最近の若いもんは」vs「時代遅れの頑固親父」の戦いは繰り広げられてきました。海外でも「GenX」「Millennial」「GenZ」の世代論は活発です。ちなみに次世代は「Gen α(アルファ)」だそうです。

僕自身は「氷河期世代」で「GenX」になります。自分は海外に出ちゃったし、あんまり典型的サンプルではないかもですが「人口はそこそこ多いながら、団塊バブル世代のツケとして切り捨てられて社会不信、超就職難の中を自己責任サバイバルさせられ、ゆとり世代を蔑んでる歪んだ世代」らしいです(暴論)。十年一昔とは言いますが、これだけ時代の変化が早く激しいと、1ディケードの格差は甚大です。親子くらい2〜3周りも違えば、生きてきた世界もまるっきり違う。テクノロジーも世界情勢も経済や自然環境も、まるで別宇宙で育ってきたような新世代のメンタリティは、おじさん達にとってはもはや理解不能のエイリアンです。そんな感じで僕も「最近の若いもんは」的な事を言い始める訳ですね。

以前も「ガンダムにおけるニュータイプ」世代論をちょっと書いた気がしますが、コンテンツは、作られたその時々の時代性を写します。最近は「タイパ」とか言いつつコンテンツを倍速視聴する人達が話題になってますが、言われてみればそんなの僕も20年前から当たり前のようにやってました。当時Youtubeやサブスク系は無かったですが、テレビ番組を片っ端からハードディスク録画して、超速視聴1話切りとかしてました。で、今も普通にやってます。意外とその辺は新人類に追随できてますね。今年も大量のコンテンツを爆速視聴して、いくつか思った事があったので、ちょっと書いてみます。


ジェン・ブイ

今年見て面白かったドラマシリーズのひとつに「ジェン・ブイ」があります。「ボーイズ」のスピンオフで、Z世代の「今」が色んなメタファーで詰め込まれています。世代論でもあり、時勢を写す時事コンテンツでもある。
資本主義の欺瞞と超重力に押し流されながら、自己確立や承認欲求に振り回され、各種メディアに翻弄される今の世代。自分の個性や能力、キャリア、比較競争と羨望や嫉妬、序列や脅迫観念、家族や友人関係。押しつぶされて自傷や暴力、拒食過食に陥る子供達。今の若い子たちマジ大変。

しかし取り巻く環境は変われど、人間のティーンエイジャーの悩みの根本はいつの時代も大体同じです。ただ情報量と速度が圧倒的に増大、人間の処理能力を大きく超えた現在、若者達は新しいアルゴリズムで対処しなければならず、その結果がタイパやショート動画なのかもしれません。Z世代の志向が社会的成功より社会貢献に向くのも、前の世代の結果を踏まえての現象なのでしょう。

ジャパニーズコンテンツ世界進出

さてこの10年で大飛躍したコンテンツと言えば「ジャパニーズ・アニメ」です。ついに俺たちのジャパニメに世界が追い付いた。これまで欧州にはジャパニメの素地はありましたが、英語圏はアメコミディズニーの牙城でした。しかしネットネイティブ世代が海賊サイトで翻訳アニメ見てハマる→SNS拡散の流れで爆発的普及。ついにアメリカキッズの洗脳に成功。今や本屋もDVDもコミコンも、ジャパニメがアメコミを尽く駆逐して食い散らかしてます。長年虐げられ続けたヲタ文化がついに羽ばたき、世界を侵食していくのをホルホル眺めて上機嫌。その裏にはアメリカコンテンツが意識高過ぎポリコレまみれで自沈した背景もありますね。志高く作ってるのにWokeShitとか言われてかわいそう。僕的には、問題は単純に「面白くない」事であって、ポリコレ自体は全然平気なんですけどね。あとハリウッドのストライキもデカかった。こういう惑星直列的なタイミングってあるよね。

そんな追い風タイミングをガッチリ掴んでのジャパニメ大躍進。ただね、ほぼ全部海賊サイトな訳ですよ。これだけのコンテンツエネルギーをダダ漏らし。熱変換効率最悪。ライセンス正規流通もメディアミックスもマーチャンダイズも無し、全然ビジネスにして金に変えられない。そんな状態で「アニメーターも声優も超絶ブラック」みたいなのがニュースになる。どんだけビジネス下手なんだ日本人。特にグローバルマーケットは壊滅的。頭でっかち引きこもりの若年世代は、その辺は昭和親父に学んだ方がいいんじゃないのか。あの人たち一時は商売で全世界を席巻してたよ?今も英語圏で上手くやってるのは任天堂ポケモンくらいしかない。ジブリでさえ海外ビジネスは絶望的、徳間傘下に入ってのディズニー頼みネトフリ頼み。そしてそのプラットフォームですら早くもストとかでグラついてる昨今です。どうせ今更鎖国なんてできないし、ネット拡散も止められない以上、コンテンツのマネタイズ方法を新たに発明する必要があります。とにかくタダで見せて洗脳して、別の何かで回収するような、そんな新モデルの発明が待たれます。

クリエイターとコンテンツの質と量、変態創作を許容する日本のサブカル文化は圧倒的独壇場。問題はいつもビジネス部門が無能な事。啓発本とか読んでる意識高い系は一体何を学んでるのか。世界最大の大金脈ずっとスルーしてますけど。でも頑張ってる人たちもいます。クールジャパンみたいなクソの役にも立たない連中ほっといて、孤軍奮闘で挑んでるのが集英社、ジャンプ勢です。まだ「グローバル上手くやってる」とは言い難いですが、果敢に攻めて学習し、成功例もチラホラ出始めています。友情努力勝利。で成功例が出れば追随者が出る、良い流れです。細かい中身はともかく、チェンソーマンとか呪術廻戦とかのメディア展開は正規ルートの世界展開ができ始めています。世界キッズの反応がTiktokとかにやたら流れてきますよ。

ただ、いちアニメファンとしては若干複雑な面もあります。なんかかつての韓流みたいなステマゴリ押し感というか、実態を伴わない「トレンド」みたいなので必死に扇動してるのが鼻についてしまう。いや、そんなのテレビ時代の洗脳法としてずーっとやられてた事だし、最近のゲーム業界のプロモもほぼインフルエンサー戦略に全ぶっ込みです。ただ、ネット時代においては良くも悪くも、もはや小細工は即座に暴かれてしまう。薄ら寒いので、この辺もネット時代の新モデルが必要ですね。

SPY x FAMILY

そんなジャンプ勢の一角、スパイファミリーもゴリ押し感が強いコンテンツ代表。「すごい!面白い!超人気!社会現象!」みたいなガワの情報だけ飛び交ってて、中身が全然話題にならないステマ典型現象ですが、検証のために見てみました。ファーストインプレッションは「知能指数ひくッ‼︎」。なんだこれどこが面白いんだ。「アーニャが可愛い」が唯一の事前情報だったけど、そんな可愛くもないし。駄作とまでは言わないが、キャラも設定も展開もギャグもすべてが噛み合わず中途半端。これは一体何がしたいんだろう。もしやGenXな僕には全く理解できない重大な何かを見落としているのではないかと、サクッとリサーチ。

どうやらクレヨンしんちゃん的な低年齢ターゲット?な割には頭突き抜いたり血飛沫飛びまくったり結構過激。まあゴア表現は大昔から「北斗の拳」みたいのもあるしな。そういや擬似家族3人の佇まいも妖怪人間ベムを彷彿とさせるような。ちょっとだけ年齢上げて、ジャンプの名探偵コナン的ポジションなのか?ギャグに関しても「志村うしろー」的なベタベタ予定調和を徹底してるし(例がいちいち昭和)、「自分だけが秘密を知ってる」みたいなの子供は好きだしね。他にも、アーニャの読心能力をHSPとかけて「周囲に翻弄される繊細さんな自分」トレンドに乗ってる説とかあって、なるほどそういう角度の訴求力もあるのか、なんて思ったり。

みんな「鬼滅の奇跡」をどうにかもう一度起こしたいんだけど、必死でゴリ押しても実態が着いてこない。チェンソーも呪術も推しの子もフリーレンも、それどころか本家鬼滅でさえ、コロナ渦下の奇跡を再現できない。どれもエログロエモをスパイシーにうまく調理した良作だし、アニメのクオリティは超絶ハイレベル、主題歌とかのメディアミックスもいい感じでバズってるのに、一瞬で消費され忘れ去られていく。つくづくままならないもんですな。まあ惑星直列なんてそうそう起きるもんじゃないって事です。結局みんなの記憶に残るのは、10年かけて仕込んできたポケモンやワンピ、進撃みたいなスルメ系なのか。ザイオンス効果・親近性バイアスとかいうやつですね。

ゴジラ

そんな中で意表を突いて飛び出てきたのがゴジラ-1.0。誰も期待してなかったどころか、知りもしなかった超ダークホース。「どうせドラクエみたくなるんじゃね」と、若干バカにされてたくらいです。ちなみに僕はにわかゴジラファンです(誇)。昭和ゴジラはあんまり知りません。ハム太郎と併映してた頃の平成ゴジラや、エメゴジ、ハリゴジ、アニゴジは大体見ました。シンゴジ大好きです。モナークも見てます。人間ドラマパートとかは常に割とどうでもいい。映画として好きというよりは、なす術もない圧倒的パワーの絶対無敵存在、畏怖の対象として好きなんだと思います。ヒーローゴジラより厄災ゴジラを崇拝しています。

意外にも0年代から、ゴジラは途切れる事無く毎年のようにコンスタントに供給されていました。アニメやらCGやらハリウッドやら東宝チャンネルやら。そしてシン・ゴジラでようやく再着火。モンスターヴァースを経て、やっとやる気を出した東宝が米国に現地法人配給会社を設立(遅すぎる)、自社配給で仕掛けたゴジラ-1.0が爆発。やりやがった。スパイも東宝だしウハウハですね。ここイギリスでもほぼオンタイムで公開のマイゴジ、良かったですわ。相変わらず安っすい臭っさいドラマはどうでもいいですが、大衆娯楽として完成度高い。やっぱ分かり易さ大事。戦争PTSDが予想外にアメリカ人に刺さりまくってる模様。キナ臭いこのご時世、さすがのジャイアン・アメリカもいい加減戦争疲れ?つーか特攻相手も原爆水爆もアメリカなんだけど、ちゃんと理解してるんでしょうかね。バーベン…もといオッペンハイマー2とか言ってバズってます。俺たちズッ友の日米関係です。

エメゴジを見たキッズが成長し、今のコアファン層となってコンテンツを支えています。これも10年かけて視聴者を教育してきた成果です。やっぱりIPって大切に育てないとダメなんですね。何度コケても諦めず続けてさえいればいつか順番が回ってくる。次の惑星直列まで生き延びる。諦めたらそこで終了。ちなみに次のゴジラxコングは、トレイラーを見る限り順調にコケそうですね。

まとめと告知

それにしても、今年はコンテンツ豊作でした。ラスアスに始まり、マンダロリアン、水星の魔女、ゼルダにマリオ、サンクチュアリ、君どう、ブルーアイサムライ、薬屋のひとりごと、ミギとダリ、オーバーテイク、なんか色んな二次創作ファンアート描いた気がします。ゲームや音楽方面もかなり賑やかだった印象。個人的トレンドワードは薩摩ホグワーツの「ぼるぜもん」。その他、自分には響かなかったながらも話題になったコンテンツ多数。その一方では尚もなろう系がしぶとく猛威を振るってました。まあこの調子で来年もガンガン飛ばしてってくれれば、こっちもゴリゴリ消費し尽くしますよ。

そしてですよ!僕のコミック&テーブルトップゲームも、ついに年明けから全世界発送開始です!キックスターター調達から足掛けほぼ3年、満を持しての納品です。1月から順次、バッカーの方々に配送されていきます。そして!3月にはカリフォルニアのとあるパブリッシャーから一般販売も開始されます!商品自体は半年前に完成していたにも関わらず、発送が延期になっていたのは、このパブリッシングの調整があったためです。全て英語版なので、日本のオーディエンスは興味無いかもですが、正式アナウンスが出たら改めて告知させて頂きますよー。僕だって一応クリエイターの端くれの末席、コンテンツは消費だけでなく供給だってするのです。このジャパニメの上昇気流ビッグウェーブに乗るっきゃねえ!

という訳で、年末コンテンツ振り返り&世代論&告知でした。



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いつの世も、アーティストという職業はファンやパトロンのサポートがなければ食っていけない茨道〜✨