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「いいお金持ち」の物語が、ポピュラーであってほしい

先日夫と、「子どもが将来iPhone欲しいって言ったらどうする?」という話になった。

新品のiPhoneを調べていると、型落ちでも5万くらいもする。
中古だともっと安いのかもしれないけれど、もし、これをめちゃくちゃねだられたらどうする?、と。


わが家では、「お手伝いしたら」というのはできれば避けたいね、となった。
これは家庭ごとに考えが変わるだろうけれど、私たちとしては、家族というチームで家庭を営んでいる以上、ある程度自然に役割を与えて、果たしてもらえるように促したい。
(とはいえ、なってもいない現段階では考えが甘いのかもしれない。育児では往々にあるように。)

理想論を続けると、与えた役割を果たしてくれたとして、子どもがどうしても欲しいのなら私たちも、無下に却下するのではなく、「家族の一員が切実に欲しがる出費に対して、どう向き合うか」を考えないといけない。

そうなったとき、まずは「5万円の出費」の生活に対するインパクトを、子どもに理解して欲しいと思う。

・5万円あれば、1ヶ月の食費と日用品費になるよね
・5万円あれば、ここ3年くらいでお父さんとお母さんが買った洋服が全部買えるかな
・5万円って、昔、お母さんがお父さんに特別な日にもらって大切にしているこのアクセサリーと同じ金額だよ

などなど…。

  ◇

結局、買ってあげる・あげないの結論までは至らなかった(きっと子供の性格やその時の状況もろもろで変わってくるだろうなと)のだけど、ひとつ思ったことがある。

それは、もしiPhoneを買ってあげたときも、「ラッキー」「うれしい」だけで済ませて欲しくなくて。
いつか、子ども本人が将来を考えたときに、
「相談すればiPhoneを買ってもらえた、その生活レベルを維持したければ、ある程度、頑張って働いて稼ぐ必要があるんだな」
ということを、どこかで理解して欲しい、ということだ。

私自身は「お金は悪、清貧が善」だと、どこかで長らく思っていた。

就活のときも「給料の良さ」なんて考えたこともなく、「やりたいこと第一、やりがい第二、お金なんて生きていければそれでいいです」というスタンス。

なんとなく「お金が欲しい」というのはみっともないような、おこがましいような気がしていて、
提示された少ない給料に簡単に納得し、「自分の稼ぎ(価値)はこんなもん」だと決めつけて、
「よりお給料がもらえる仕事・会社では、何か恐ろしいことが起きるんじゃないか」とさえ思っていた。

大企業・有名企業なんて自分のいける場所じゃないと思っていたからチャレンジもしなかったし、「福利厚生」があれば、何がいいのかも理解していなかった。

投資なんて、100万光年くらい先の、やり始めたら自己破産するような恐ろしい話だと思っていたし、
なんなら婚活している時でさえ、自分と同じくらいのお給料(低め)の人にわざわざ絞って、「自分の理解領域を超える年収」をもらっている人は対象から外していたくらい。

ちょっと自分は極端だったと思うけれど、なんせ、お金がある、貯金が増える、ということは、「なんとなく怖くて、自分にはついていけない世界」だと思っていた。

・・・結婚して、家や教育や楽しみや、いろんなことを考えると、「お金ってあるに越したことはない」という当たり前のことに気づくわけだけれど。

 

こういう「お金」の受け止め方には、幼い頃からの「物語の刷り込み」も、多少なりともあると思う。

昔話に出てくるおじいさんとおばあさんは、ほぼ百発百中で「貧しくて心が綺麗」。「お金持ちの意地悪じいさん」には必ず恐ろしいことが起きてしまう。

大事なのは「心が綺麗」か「意地悪」かなのに、なぜか全て「貧しいと心が綺麗」で「裕福だと意地悪」。

貧しいおじいさんがお金を持つと、途端に意地悪になったり、何かを見失ってしまったりする。かぐや姫の翁もそうだ。

現実世界では、お金の余裕がないほうがむしろ、大切なことを見失ったり、狭量になったりしがちだと思うけど、そんなことは身をもって経験しないとわからない。

実家がある程度裕福であれば、「物語は物語、現実は現実」とわかるだろうけど、
そうでない環境で育つと、物語がそのまま感覚に染み付いて、
うっかりしていると私のように、「お金」を怖がったり避けたりしたまま大人になってしまうこともあると思う。

ある程度お金があれば、心に余裕ができる。

美味しいものが食べられるし、お金を使ってラクもできれば、楽しいこともできる。
夫婦や家族関係でも、お金があるからこそ減らせる喧嘩や苦しみもある。

お金があるだけだと幸せにはなれないけれど、お金を使って感じられる幸せもあるんだよ、と。
お金が欲しい、もっとお金を増やしたい、と思うことは、何も悪いことじゃないんだよと。

そういうことを教えてくれる、「いいお金持ち」の物語がポピュラーにあったらいいのにな、と思ったりした、今日この頃。



私の、長文になりがちな記事を最後まで読んでいただき、本当にありがとうございます。よければ、またお待ちしています。