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【連載小説】第四部 #5「あっとほーむ ~幸せに続く道~」それぞれの想い


前回のお話(#4)はこちら

前回のお話:

レイカの歌を聴いた孝太郎は、野上家の人たちを自宅マンションに誘った。気分のいい彼は翼に、おもちゃのピアノでレイカの曲を弾き語りさせた。それが刺激になったのか、帰宅して悠斗と二人きりになったとき、まなが突然「お父さん」と言葉を発した。どうやらまなは、悠斗の亡き娘「愛菜」の記憶を持っているらしい。それを聞いためぐと翼は、我が子の中に「愛菜の記憶」が残っていると知って複雑な心境になるが、事情はともあれ、しゃべったのが事実なら神様に報告しよう、と神社にお礼参りに行く。

本殿では宮司が彼らの到着を待っていた。宮司は幼いまなの代わりに告げる。「鈴宮愛菜」の記憶を残すことを選ぶなら生涯満足にしゃべることは出来ないが、「野上まな」として新たな人生を歩んで欲しいと願うなら、過去の記憶が消える代わりに言葉を得ることになる、と。
あなたの決断がこの子の将来を決める――。そう言われた悠斗は困惑し、自室に引きこもってしまう。

11.<孝太郎>

 インターフォンが鳴った。先に帰った三人が忘れ物でも取りに戻ってきたのかと思い、軽い気持ちで玄関ドアを開けると、そこに立っていたのはいかつい顔をした庸平と春山クンだった。

 なぜ二人が一緒に……? 混乱していると庸平は「邪魔するぜ」と言って勝手に上がった。春山クンも、意味ありげな視線を向けて僕の横を通り抜ける。

「げげっ、水沢みずさわ先輩! え、春山も?!」

 リビングのソファで飲み直す準備をしていた野上クンは、二人の姿を見るや驚きの声を上げた。が、すぐに状況を理解したのか、立ち上がって春山クンを睨み付ける。

「これは一体どういうことだよ? ちゃんと説明してくれ」

「説明も何も……。私は水沢みずさわ先輩の考えに賛同したからここへ来た。それだけのことよ」

「あれっきり何も言ってこないから、てっきり分かってくれたもんだと……」

「私は持論を曲げるつもりなんてない。勝手に同意したと思っていたなら、おあいにく様ね」

「…………!」

 野上クンは怒りに震える拳の行き場を探しているようだった。もし相手が彼女じゃなく庸平だったら、酔った勢いに任せて拳を突き出していたかもしれない。

「君は下がれ。僕が引き受ける。けが人は出したくない」
 僕は彼らの間に入り、やってきた二人と正対した。
「話し合いになら応じる」

「端からそのつもりだ。こっちだって出来れば、、、、喧嘩はしたくねえ」

「それは助かるな。……で、用向きは?」

 話を促すと、庸平は僕を睨み付けて言う。
「無論、お前の馬鹿げた計画を止めに来た。レイカの歌を聴けば少しは野球をしていた頃の気持ちを思い出すんじゃねえかと期待したが、その考えは甘かったようだ」

「やはりいたのか、あの会場に。確かに麗華さんの歌はよかったし、感動もした。が、それだけだ。僕の考えは微塵も揺らがない」

「ちっ……」

「君の言葉から察するに、麗華さんにあの三曲を歌わせたのは君なんだな……。僕を説き伏せるために……?」

「ああ、そうだ」

「なぜ、そこまでして……?」

「それがお前のためだからだよ!」
「それがあなたのためだからです!」

 僕の問いに二人は同時に答えた。

「おう、春山。言ってやれ!」
 庸平が指示すると、彼女は一歩僕に近づき、思いを吐き出し始める。

「なぜ私がこんなことを言うか、分かります……? 尊敬しているからです。憧れているからです。私だけじゃない、祐輔も、子どもたちも、水沢みずさわ先輩も、野球人・永江孝太郎が好きなんです」

「春山クン……」

「私、誇りに思ってたんです。誰もが憧れる永江孝太郎のそばにいられることを。身の回りの世話をさせてもらえることを。そして何より、子どもたちの野球の手本となってくれたことに感謝しているんです。子どもがプロの世界で活躍しているのは永江さんのお陰だと言っても過言ではありません。……私はその指導力を未来の野球少年少女たちにも発揮して欲しいと思っています。せっかく能力があるのに、埋もれさせてしまうなんてもったいなさ過ぎます! クラブのこと、どうか考え直してください。お願いします」

 彼女は深々と頭を下げた。

「これで分かったろ、孝太郎。お前の才能を活かして欲しいと願う人間は俺だけじゃないってことが。……惚れちまったのかもしれねえが、一人二人のおんな子どものために残りの人生を捧げるなんて馬鹿げてる。器の大きい人間は、最後の最後までそれに見合った生き方をするべきなんだよ!」

 庸平はそういうなり、床に置いてあったおもちゃのピアノを足蹴にした。その瞬間、僕の中で何かのスイッチが押され、気づけば庸平の胸ぐらを掴んでいた。

「僕のことを否定するのは構わない。が、僕の大切な人たちを傷つけるような発言や行動には我慢がならない。今すぐ訂正しろ、今すぐに……!」

「そう、その目だよ、孝太郎。その闘志に満ちた目つき。絶対に許すもんかと食ってかかる、血気あふれる態度。今のお前からこぼれ落ちてしまった戦う気力を呼び戻せ!」

 なるほど、庸平が挑発してきたのはそのためか。彼の意図が分かったら途端に怒りが収まった。一呼吸置き、冷静になる。

「君は僕に、一生冷血な戦闘マシーンでいろ、と……? それが僕に課せられた使命だとでも言うつもりか……?」

「そんなことは言ってない。俺たちはただ、お前がこれまでの野球人生で培ってきた精神や技術を後輩たちに伝えてほしいだけだ。なぜそれが分からない?」

「逆に問う。なぜ僕でなければならないんだ? 技術の継承が目的なら庸平にだって出来るはずだろう? なぜ僕に固執する?」

「お前がプロの世界で長く活躍してきたからに決まってるだろう! 熾烈しれつなレギュラー争いで競り勝つ選手を育成できるのは他でもない、元プロ野球選手であるお前だけだ」

「……君は分かっていない。野球という、たった一本の綱にしがみつく生き方しか知らない人間にのしかかる恐怖がどれほどのものかを。……最近、気づいたことがある。いつ死んでもいいと言っていたのは、野球人生を走りきったからだけではない。それ以上に、精神的に追い詰められていたからだった、とね。……プレッシャーをはねのけ、一番を目指し続けることは己を成長させるかもしれない。だが、生身の人間である以上、それを続けようとすればいつか身体が悲鳴を上げ、不本意ながら死ぬことになる。僕はそういう人間を量産する仕事に就きたくはない」

「だったらその精神を子どもたちに伝えればいいじゃないか」

「そう、それを伝えるために発足させたいのが『みんながまんなか体操クラブ』だ」

「うっ……!」

「庸平。野球にこだわるな。僕らの精神は、野球というスポーツに依存しなくても伝えられる」

「や、野球にどっぷり浸かってたお前がそんなことを言ったってなんの説得力もねえよ!」

 庸平は意地でも僕の考えを拒むつもりのようだ。このままでは平行線のまま。無駄な時間を過ごすだけだ。

「野上クン。悪いが庸平を説き伏せてくれないか。やり方は君に任せる」
 
「えっ、おれ……?」
 急に選手交代を告げられた彼は目を丸くした。が、すぐに「しょうがないなぁ」といって庸平の前に立った。

「……振り向かせたいのは分かります。だけど、この人はもうかつての永江孝太郎じゃない。何を言っても無駄だと思いますよ」

 庸平は眉をつり上げた。野上クンは続ける。

「……そりゃあ、おれだって最初は受け容れられませんでしたよ。変わっていく彼のことも、クラブのことも。だけど、彼に生きて欲しいと願ったのは他でもない、おれ自身だし、彼が新しい人生を歩み出そうと決意したなら応援するのが筋だろうと思い直しましてね」

「……どうしてそう、あっさり割り切れるんだよ? 仮にもお前は孝太郎からキャプテンを引き継いだ男。生粋の球児じゃねえのかよ?」

「キャプテン時代の苦い経験があればこそ、です」

「…………?」

「あのときのおれは何もかもを一人で背負いすぎていました。誰にも相談せず、一人で悩んでは失敗し、また悩み……を繰り返していた。そんなおれに、弟が言ったんです。今の兄貴は、仲間がいるのに自分一人で何とかしようと動き回るキングのようだ。全体を見ればもっといい策はあるんじゃないのか、と。……野球のやの字も知らない弟ですが、チェスを例にして、おれの視野が狭くなっていることに気づかせてくれたんです。それからですよ、何かに行き詰まったとき高い視点から物事を見る癖がついたのは」

「…………」

「だまされたと思って一度、野球の外に目を向けてみてください。目指しているものが同じだと気づくはずですから。……彼が生きることを望んでいるなら応援してください、新たな門出を。せめてそっと見守ってください。お願いします」

「…………」

「見事。さすが、僕が見込んだ男だ」

 庸平を閉口させた野上クンの弁舌に思わず拍手を送った。そうだ。僕にも彼にも、キャプテンを任されたからには結果を残そうと一人もがき苦しんだ時期がある。そしてそこから多くを学び、それを下地にして人生を積み重ねてきたのだ。こうした経験が活かされる場面はそう多くないが、無駄になることは絶対にない。そのことを野上クンは見事に言語化してくれた。

「ちょっと、先輩! 言われっぱなしでいいんですか?!」

 ここまで黙って聞いていた春山クンがしびれを切らすように言った。反論できない庸平に代わり、今度は彼女がまくし立てる。

「分かってないのは永江さんの方です。球界を引退したってあなたの過去の偉業が消えることはないし、その名を告げれば大抵の人は動く。そのくらい、あなたは今も影響力を持っているんです。つまり、そのあなたが野球人育成のために指導力を発揮すると言えば多くの若者が集まり、優れた選手が育ち、やがては球界の発展に繋がるってことです。あなたの大好きな野球に恩返しが出来るってことです!」

 まっすぐに僕を見据える彼女の目には闘志がみなぎっていた。それはかつて一緒に甲子園を目指したときに見た、夢を追いかけているときの目に似ていた。

「……君は叶えようとしているのか。これまでの人生で成し遂げられなかった夢を。僕の名を利用することで」

「……利用。ずいぶんな言い方ですね」

「否定しないと言うことは、事実なんだろう?」

「……私は祐輔を応援することで野球と関わる道を選びました。その中で、幼い子どもたちに野球を教える楽しさを知ったんです。子どもが成長してからも、いつの日にか優れた野球選手の育成が出来たらと夢見ていました。あわよくば祐輔や永江さんと出来たらって……」

「僕を頼ってくれるのは有り難いが、そういうことなら夫である本郷クンに頼めばいい。彼だって僕と同じか、それ以上に名の知れた人物なのだから」

 思ったことを伝えただけなのに、彼女は急にむくれた。
「そ、そういうことじゃありませんっ……! 相変わらず女心が分からないんだからっ……!」

「お、女心……?」

 戸惑っていると、彼女は唇を噛みしめ部屋を飛び出してしまった。庸平は決まりが悪そうに、僕と春山クンが出て行った玄関とに目をやったが「今日はここまでだ」というと彼女の後を追った。


12.<庸平>


 春山は玄関を出てすぐのところで立ち尽くしていた。泣いているなら声をかけない方がいいかもしれない……と思ったが、「女心が分からない」と言い放った彼女の言葉が耳に残っていた。少し離れたところから「大丈夫か?」と声をかけると、彼女は俺に聞こえるようにため息をついた。

「ばっかみたい……。あの人に察してもらえるはずもないのに……」

「あいつは、人の気持ちなんてこれっぽっちも理解できない男だからな」
 俺が言うと、彼女は再びため息をついた。

「……もう一度ユニフォームを着て欲しいだけなんだけどな。……どう言えば私の思いが伝わるんだろう?」

「……今の言葉を伝えればよかったんじゃねえの?」

「……あはは。そうですよね」
 彼女はちょっと恥ずかしそうに笑った。

水沢みずさわ先輩も見たいですよね? ユニフォーム姿で指揮を執る永江さんを。絶対格好いいですよね?」

「ああ。俺を含め、あいつのファンはみんなそれを望んでるはずだ」

「ですよねっ!」
 彼女は一瞬はしゃぐような仕草を見せたが、すぐに目を落とした。

「……だけど、彼にとって野球を続けることは、生きることであると同時に命を縮めることでもあった、と……。正直、さっきの発言はショックでした……。彼の心の支えになりきれなかった自分に対しても憤りを感じています。……先輩。私たちのやろうとしていることは間違っているんでしょうか……。真に彼のことを思うなら野上の言うとおり、野球から離れる彼をあたたかく見守るべきなんでしょうか……」

「どうだろうな……」

 曖昧な返事をしたものの、心は激しく揺れ動いていた。孝太郎のためだといいながら、その実、自分のために成し得たいだけなのでは……? そのために孝太郎を利用し、せっかく生きようと決めたあいつを再び死の淵に追いやろうとしているのでは……? 春山の問いは、そのまま俺の問いでもあった。

 俺はなんとか無い知恵を絞り、提案する。

「今考えられる案は二つだ。ひとつは、なんとしても孝太郎を説得して野球界に引き戻す案。その場合、孝太郎の寿命を縮める責任を負う覚悟も必要になるだろう。二つ目は、孝太郎の説得を諦めて俺たちの計画を進める案だ。たぶんこっちの方が現実的だし、うまくもいくだろうが、ユニフォーム姿の孝太郎を見る機会は永久に失われるだろう」

「そっか。永江さんの野球界復活と、元プロによる野球人育成機関の設立と……。私たち、二つの思いを一緒にしちゃってたんですね。でも、分けることは出来る、と……」

「要は何を選び取るか、だ」

 腕を組み、真面目に言ったつもりだったが、なぜか春山はくすりと笑った。
「……何がおかしいんだよ?」

「すみません……。本当に永江さんのことが好きなんだなぁって思ったら、笑いが込み上げてしまって……」

「え?」

「だって今の案、どっちも永江さんが絡んでるじゃないですか」
 言われてみれば確かにそうだ。俺は言葉に窮する。

「だったらもう、答えは出てるようなもんですよ。……永江さんのことを思うならやっぱり……」

 春山はそう言うと、もう一度笑った。
「……先輩。私、いいことを思いついちゃいました」

「いいこと……?」

「はい。今先輩が出してくれた二つの案を両方とも実現させる方法を!」

「両方実現させる……? どうやって……?」

「……場所を変えましょう。その間にちょっと考えてみてくださいよ。分けて考える、がヒントです」
 春山は、戸惑う俺の姿を楽しむように言い渋った。

 エレベーターで階下に降り、俺たちは再び街に繰り出した。マンションから歩くこと十分。小さな公園内で足を止めた彼女は、木の下のベンチに腰を下ろした。

「……どうです? 私の考えが分かりましたか?」

「いいや、お手上げだ。答えを教えてくれ」
 諸手を挙げると、彼女はにやりと笑って胸を反らした。

「まずは、永江さん抜きで野球人育成機関を作るんです。やっぱりそれが現実的です」

「えっ? 孝太郎抜きで?」
 あっさりそう言われ、拍子抜けする。
「だけど、それじゃあ孝太郎のユニフォーム姿は見られないぜ?」

「はい。そこで提案するのが、永江孝太郎ファンクラブの設立です!」

「ファンクラブ……!?」

 思いも寄らない発案に、驚きと戸惑い、そして興奮を抑えきれなかった。思わず辺りを見回す。が、幸いなことに公園には誰もいない。春山は俺の反応も予想した上でここへ連れてきたのかもしれない。その証拠に彼女は浮つく俺を嬉しそうに見ている。

「先輩、今、ワクワクしてるでしょ」

「いやぁ……。まさかそう来るとは思ってなかったから……。だけど、ありだなと思ってな」

「でしょう? なにせ私たち、永江さんのファンですもんね!」

「……しかし、問題は当人が首を縦に振るかどうかだな。あいつがキャーキャー言われるのを受け容れるとは思えない」

「選手時代は、それも仕事のうちと割り切っていたようですが……。それについてはもう少し考えてみる必要がありそうですね」

 二人の間で盛り上がってるだけ、といえばそうだ。が、どういうわけか孝太郎宅へ乗り込んだときよりもずっと気分が良かった。

 誰もいなかった公園に、ひと組の親子がやってきた。父親らしき男性と、姉妹らしき女の子二人がグローブを携え、三人で輪になるように間隔を取る。父親がボールを放る。と、年長の女の子が先にキャッチして投げ返した。続けて転がすように投げると今度は年少の子がそれを拾いに行った。

 そんな親子の様子を春山は微笑みながら見ている。
「……実はこの公園、私と祐輔が幼い頃によく遊んでいた場所なんです。あの親子のように、父と姉と私の三人でキャッチボールをしていた時期もあったっけ……」

「へぇ、お姉さんも野球の手ほどきを受けていたんだ?」

「姉は一緒に野球をやる友だちがいないのを理由にすぐ辞めちゃいましたけどね……。私が続けられたのは祐輔がそばで励ましてくれたから。運がよかったなって思ってます」

「なるほど。つまり野球が好きだからって言うより、本郷が一緒だったから続けられた、ってことか」

「そうかもしれません。……もっとも、楽しくやれたのは中学までで、高校ではすぐに根を上げてしまいましたが……。さすがに男子の中でプレイし続けるのは体力的にキツかったですね」

「一度は辞めたかもしれないけど、ちゃんと戻ってきたじゃん。よくやってたよ春山は」

「本当ですか? だとしたらきっと『祐輔効果』ですよ」

 何度も飛び出す「祐輔」の名に、今度はこっちがニヤついてしまう。子供もとうに独立し彼女だっていい年になったというのに、夫のことをこんなにも立てられるなんて。

「本郷のことが本当に好きなんだな、春山は。あいつが羨ましいぜ」

「あはは……。実は私、祐輔のファンでもあるので」

 それを聞いて腑に落ちる。なるほど。だから本郷は今でもユニフォームを着続けているんだ。自身のファンである妻の期待に応えるために。

「……あれ? だけどいいのかよ? 確か本郷は孝太郎と一緒にクラブ運営をしようとしてたよな? 春山が野球人育成機関を設立しようって話になったら二人は対立することに……」

 あまりのおしどり夫婦っぷりに感心してしまったが、よく考えてみたらこれって夫婦仲にヒビを入れかねない状況になってないか……? しかし春山は動じることなく「ここまで話を進めちゃったら覚悟を決めますよ」と明るい声で言った。
 
「今夜にでもきちんと話し合ってみます。だけど、一人じゃ論破できないかも。……あの、出来れば一緒に話してもらえませんか? 先輩がいてくれればさっきみたいに言える気がします」

「そりゃあ構わないけど……。俺と話したのがきっかけで喧嘩になって離婚した……なんてことになるのは勘弁だからな?」

「やだなぁ、それはないですって。私たち、何年一緒に暮らしてきたと思ってるんです?」
 春山はそう言って、心配する俺を笑い飛ばした。

「あ、そうだ。もし時間があるなら一緒にラジオ聞きません? 今日のデーゲームは祐輔が解説してるんですよ」

 スマホを取り出した彼女は、ラジオアプリを起動して野球中継を聴き始めた。ニコニコしながら聴く様子を見るかぎり、二人の夫婦仲にヒビが入ることはなさそうだ。安心した俺はラジオの声に耳を傾けた。


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※見出し画像は、生成AIで作成したものを使用しています。

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