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【読書まとめ&いろうたの考え】「本を読むときに何が起きているのか」

読書をする人、そして物書きさんが文章を読んだり書いたりするとき、脳内ではどんなイメージが展開されているのか――。

それを、装丁家のピーター・メンデルサンド氏がわかりやすい「挿絵」や「図」で教えてくれる、「本を読むときに何が起きているのか~ことばとビジュアルの間、目と頭の間~」をご紹介します。


✅登場人物を詳細に思い描ける人はいない

さて、あなたは挿絵のない、文字だけの本を読んでいるとき、登場人物の外見をどこまでイメージしているでしょうか。実はこの質問、著者が行った調査によると、ほとんどの読者が、登場人物についてぼんやりとしたイメージしか持っていなかったそうです。というのも、小説家自身も読者同様、外見のイメージを持たずに執筆し、詳細に文章化しないからだ、とメンデルサンド氏は言います。

 そしてそこに掲載されていたのが、顔の輪郭だけ(目、鼻、口などのないもの)や、顔の部分だけぼやけたもの、首から上がない挿絵。それを見たとき、「ああ、わたしの中の、創作キャラのイメージだ!」と思わずうなずいたのでした。

 小説家は主に登場人物の「行動」を描写する。それによってキャラに「個性」を持たせるのだ、と言います。もちろん、外見的特徴があれば登場人物をより個性的に、より魅力的に描くことはできます。しかしそれはあくまでも補助的なものであり、登場人物の顔をイメージさせるほどの力はありません。むしろ、物語の進行上、外見的特徴はさほど重要ではないとさえ言えるのです。

 わたしたちは読書をするとき、キャラの言葉遣いや周囲の人物との人間関係、行動や行為から登場人物を想像するわけですが、文章に刺激されて思い描くイメージは人それぞれ。つまり百人が読んだら、百通りのキャラクターイメージが存在するのです。これは映画やアニメ、漫画では決してあり得ないことです。

 とはいえ、小説でも挿絵のついたものは存在します(挿絵の描ける小説家、も少なからずいる)。では、挿絵付き小説ではキャライメージが固定化してしまうか、と言えばそうでもないようです。もちろん、挿絵付きページを見た直後は固定化します。しかし、再び文章だけのページに戻れば次第に挿絵のイメージは消失していく、とのこと。

 加えて挿絵は、読者がイメージする重荷をつかの間解放してくれる優れものだと知り、自分の小説にも効果的に取り入れたいと思ったのでした。(これを知ったのはすでに挿絵付き小説を投稿した後でしたが💦)


✅いろうたの考え

ここからは小説家、いろうたの考えです。

私は先日、自分の小説に初めて挿絵をつけました。自分では描けないのでAIを使って出力したわけですが、AIにイラストを描かせるにはイメージを文字で入力する必要があります。そのとき頭を悩ませたのがまさに上記のこと。すなわち「顔のイメージがない!」と言うことでした。「小説キャライメージは脳内でするもの」と常々言っていた私ですが、そのイメージとは実に曖昧なものだったと知ったのです。

おそらく、私が物語に求めているのが、登場人物そのものではなくストーリーだからでしょう。本文にもあったように外見的特徴は読者に分かる程度に描写すればいいし、登場人物の区別がついたら後は想像を膨らませればいいのですから。

登場人物のイメージ――。

それは「映像」として脳内に想像されるものと言うよりむしろ「感覚」に近いのでは、とわたしは思います。旅行の計画を立てているときにワクワクするような感覚とも似ているかもしれません。だから、文章を読んで登場人物のことを想像すると、ドキドキしたり恋しくなったり切なくなったりする……。どれだけ映像技術が進化しても、本やラジオが未だなくならないのは、わたしたちが「想像を楽しむ感覚」を求めているからかもしれませんね。

(※ 実際に旅行しているときより、計画を立てているときの方が、ワクワクを感じる脳内物質が出ているという研究結果があるが、小説を読んで想像するときも同様かもしれない)

日々の暮らしの中で、わたしたちはしばしば「(実際は違うんだけど、)できればこうであって欲しい」という願望を抱きますが、それは物語の世界でも同じです。その願望を叶えてくれるのが文字だけの物語(あるいはラジオドラマなど音声だけの話)だとわたしは思います。なぜなら、世界観や登場人物について想像の余地があるからです(映像作品だと想像の余地がありません)。

わたしたちは創作物に、非現実を求めてもいます。映像作品は、場合によってはリアルに感じてしまうこともありますが、頭の中であればすべてが自由です。ゆえに想像は楽しいし、やめられないのです。

ただし「百聞は一見にしかず」という言葉にもあるように、聞いて想像するより目で見た方がわかりやすいのは確かですので、小説を書く私自身、物語の補助的な位置づけとして挿絵をつけるのは今後もやっていこうかなと思っています。とりわけ、長くなるほど読むのがしんどくなりがちなWEB小説では、挿絵が文章間にあるだけ読みやすくなるようにも思いますので🥰

✅本書について

横書きの文章で全430ページほど、厚みにして実に3センチもある本ですが、挿絵や写真、デザイン性のある文字のページも満載で、ボリューム感がある割にサクッと読めた本でした。

今回は「登場人物のイメージ」を中心に取り上げましたが、詳細な風景描写がされた文章を読むことで読者が感じることや、「磯の匂い」という文章を読んでその匂いを嗅いだような気になるのはなぜか、など、読書をする人なら「あるある」の事象についてもわかりやすく解説してあります。

取り上げられている書籍が古典的なものばかり(トルストイの「アンナ・カレーニナ」やジェイムズ・ジョイスの「ユリシーズ」など)である点も文学好きさんにはわかりやすくてよいのではないかと思います。

物書きさんにも、読書家さんにも一読して頂きたい一冊です🥰


本書で紹介されている偉大な作家のかいた文章ように、私の小説を読んだ読者さんが、登場人物になりきり、心を揺さぶられたり、何かを発見したり、感動したり、時にはその場所に立っているかのように感じたりしてくださるよう、今後も試行錯誤を繰り返しながら執筆を続けていきたいと思っています。


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