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SS【ぼくはハミ出し者】
ぼくは若い頃から尖っていた。
誰かの決めたルールに縛られるなんてまっぴらごめんさ。
だからハミ出し者になった。
真っ当な道から外れれば、人様に迷惑をかけることもある。
でも本当は、誰かを傷つけているようで、一番傷ついているのはぼく自身だった。
先生はレントゲンの写真をぼくに見せながら、背骨と背骨の間が詰まっている場所を教えてくれた。椎間板が潰れているらしい。
「小林さん、次はMRI撮りますよ」
「はい」
「身につけている金属類はぜんぶこのカゴに入れてくださいね」
「はーーい」
MRI検査をすると、レントゲンでは見えなかった圧迫され飛び出しているヘルニアがハッキリと分かった。
飛び出し突起状になったヘルニアが神経に触って悪さをしているらしい。
だからぼくは腰が痛くなると、セットでお尻と脚も痛くなる。
そう、ぼくは大人になれないハミ出し者。
尖って自分を傷つける。
「小林さん、リハビリルームへどうぞ。今日は引っ張りますね」
「はい」
「先生がコルセットを作った方がいいとおっしゃってましたけど、石膏でコルセットの型を取る日予約されていきますか?」
「いえ、コルセットは要りません」
今日もぼくは尖っている。
終
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