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SS【ホシゼロ遊園地】


ぼくは怖いと噂のホシゼロ遊園地へやってきた。

何が怖いって、一番はジェットコースター。次いでお化け屋敷が怖いらしい。

遊園地は今日で閉園なので、楽しむ最後のチャンスなのだ。



さっそく楽しみにしていたジェットコースターに乗り込んだ。

開園してすぐ入場したというのに、「諸事情によりラストランになります」とのアナウンスが入る。

運が良いのか悪いのか、一番後ろの席になった。

ガタンガタンと音を立てて急勾配のレールをゆっくりと登っていく。

一番高い場所の少し手前でガタン!! と後ろへ下がったかと思ったら、ガガッ! バキッ! っと前の方から変な音が聞こえた。何列か前の席の女性も音を気にしている。

ぼくと、その女性しか乗っていないようだ。

頂上まで登るとピタッと止まり、ゆっくり進みだしたかと思ったら一気に加速して下った。その後もグルグルと螺旋を描きながらスピードの下がる気配は無い。


「だめだ!! やっぱり止まらない。もう一周させよう!!」

「安全バーが飛んできたぞ!! どの席だ?」


一瞬そんな声が聞こえた気がした。


ふと気がつくと前の席の女性が居ない。


最後の一周は、まるで点検でもしているかのようにゆっくりと進んだ。

ぼくはジェットコースターを降りるとスタッフに言った。

「最後の一周はゆっくりなんですね。何か点検でもしているのかと思いましたよ」


するとスタッフは真顔でこう答えた。

「最後なんでぶっちゃけますけど、点検とか整備は今まで一回もしたことないですよ。その方が怖くていいでしょ? あと、お化け屋敷のスタッフですけど、みんな現役の犯罪者です。殺人容疑で指名手配されてる者もいますよ。だから稀に生きて出られないお客様もおられます。あいつらには勤務時間中は人を殺すなと言ってあるんですけどね」


ぼくはジェットコースターで前の席の女性が消えた話をすると、スタッフは苦笑いしながら答えた。


「あと一回はいけると思ったんですけどね」

ぼくは思った。

「この遊園地は星一つの価値もない」


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