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SS【ある日のお父さん】
私がキッチンでミニトマトをつまんでいると、メタボなお父さんがお腹をポンポンと叩きながらパンイチで階段を降りてきます。
「まだパスタ残ってたかな?」
「無い!! ほとんど自分で食べたやろーが!! 早よゴミ捨ててきーや!!」
朝からペペロンチーノを食べようと降りてきたお父さんは、お母さんに叱られ少しムッとしながらゴミを捨てにいきました。
帰ってくると昨日の冷や飯をレンジにセットし、コンロの火をつけフライパンに油をひいています。
フライパンの中に小袋に入ったウインナーをすべて投入しました。
続いて生卵を二つ割って弱火にしてフタをしました。
目玉焼きが焼けるまでの間に冷凍室をチェックしているようです。
メタボン、いえ、お父さんは三食入りの牛丼の具を狙っているに違いありません。
お父さんは首をかしげて何やら考えています。
結局、冷蔵庫から納豆を取り出しました。昆布タレ付きのおいしい納豆です。
あっという間に平らげ、歯を磨き終わると、今度は何か探し物を始めました。
ふくらはぎサポーターを探しているようです。
一度肉離れしてから手放せなくなったようです。
なんと洗濯機と壁のせまい隙間に落ちていました。
洗濯が終わって取り出す時に落ちたようです。
お父さんはブツブツ言いながらふくらはぎサポーターを手洗いしてアイロンをかけ始めました。
そして生乾きのまま装着し、着替えると家を出て行きました。
交代勤務のお父さん。今日は朝からの仕事のようです。
しばらくしてお父さんは帰ってきました。
私が「何か忘れたの?」と聞くと、お父さんは答えました。
「ああ、今日は仕事が休みだったことを忘れていたよ」
終
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