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【短歌/エッセイ】東京という名の自由へ三千円 地球はタダで廻っているのに


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東京という名の自由へ三千円 地球はタダで廻っているのに
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2023年7月17日(月)読売新聞の『読売歌壇』にて俵万智先生による選にて掲載していただきました。3月ごろから地道に、たまに応募して、初めて自分の名前を見つけることができて本当にうれしかったです。祖父が毎日読んでいる新聞なので、いつか胸を張って見せたい、という思いから、本名での投稿をしています。やっと自慢できた〜〜!


以下、この一首について書きたいと思う。


このまちから東京駅まで、往復で三千円とすこしかかる。さらにそこから目的地、例えば渋谷などへ行くとしたらプラスでかかる。時間は、片道二時間くらい。足りないときもある。東京を想像するだけで憧れるような、東京を知らない暮らしができるような、そういう離れたまちにいるわけではない。すぐそこ、海を渡ってすぐとなり。なのに、気軽な気持ちで歩きに行けないのは「まずは交通費が三千円以上かかる」という現実が理由だ。三千円、が語呂が良く、私にとっては基本料金だという感覚だからこの語を使った。

東京は、自由だと思う。
これについての【詩/エッセイ】はまた別で書く。下書きは、ちょうど一年前にしてあった。
(この記事の一番下に貼り付けました。)

地球にとっては、何が負担か、私には地学についてよくわからないけれど、勝手に、毎日廻っている。太陽と交差しながら、生き物に人生の土と水を与える。今日のこの猛暑だって、生き物がつくりだした温暖化とか、あるのだろうけれど、でも勝手に廻っている。宇宙はよくわからない。わからなくてもいい。

そうやって私たちの生きる場所になるくせに、とどまることなくタダで廻るのに、私たちはその地球で目的地に行くためには自分でも移動をしないといけない。お金をかけて。となりに位置する東京へ、三千円以上。友だちに会いに行って、適当な食べ飲み放題のお店にでも入ったら、この三千円と同じくらいのお店はたぶん、いくつもある。ここから少し出た県内の都会にさえ、そういう居酒屋がある。そこで語り尽くすとして、交通費より高くなることが少ない、あるいは、超えることがないときもあるだろう。
例えはそれだけではなく、カフェに入ったり東京を歩いたり、面白いものをみつけたり、それをする分には三千円もいらなかったりする。あの場所にいるだけで吸収できるものがたくさんある。だから、行くだけでも価値があると思う。

それなのに、どうしても躊躇してしまう自分のことが悔しい。悔しいなんて言っても、じゃあ東京に住むか、という問題でもない。そして、移動手段として存在している高速バスや電車の運賃に不満があるわけでもない。ただ、近いはずの東京へ、ふらっと遊びに行けるわけではないこと、そしてふらっと遊びに行くお金を含めた力が自分にないことを悔しいと感じる。

今日も猛暑。太陽とは随分と仲良しなんだね。いいや、嫌い合っていて攻撃をされているのかな。


私を東京へ連れて行って。

(同時に公開できました。詩で綴ったものです。)
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