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〜 エクレア事情 〜







物語のあるリボン作家『いろいと』です
私の作るリボンには1つずつ物語があります
手に取って下さった方が、楽しく笑顔で続きの物語を作っていけるよう心を込めて作っています
ストーリーは、一つではなくどんどん増えていくもの、これからのストーリーを作るのは、あなた
あなただけのストーリーを楽しんで行って下さい♡
こちらでは、リボンの物語を紹介しています楽しんでもらえたら嬉しいです♪


〜 エクレア事情 〜

『一緒に食べよう』
『う、うん』
目の前にあるエクレアを見ながら、私は少し戸惑う
『どした?いつもなら、すぐ食いつくのに』
『さっき食べたし、これはあなたの分だもん』
『知ってるよ。はは。どうせ先に食べたんだろ?俺は、半分で丁度よいし、半分食えよ』
確かにいつもなら、半分ちょうだい!と言ってしまうくらいの勢いなのだが、今日は、さすがに遠慮する
『でも・・・』
『何、遠慮してんだよ』
そう言いながら、彼は半分だけ食べて私の目の前にエクレアを置いてくれた
紅茶の湯気がゆらゆら立ち上っていくを、暫く見つめる
·
最近出来たばかりのケーキ屋さんは、今日も私の事を待っていたかのように、いい香りを漂わして開いている
赤い屋根に、可愛いレンガが無造作に並べられた壁のお店だ
ガラス張りの窓から見えるのは、可愛らしいケーキ達
店先のお花も負けず劣らず可愛く咲き乱れている
スイーツ好きの私は、新しく出来た店には、どうしても入りたい
明日の朝ごはんを買う為、パン屋へ行く予定だったが、体が勝手に反応してしまっては抗えない
カランカランと、ドアの上に付いたベルが、入店の合図をみんなに教える
『いらっしゃいませ』
ケーキが並ぶショーウィンドウの奥から、可愛らしい女の子が出迎えてくれる
『どれも美味しそう♪そうだ、オススメはなんですか?』
『ありがとうございます。当店のオススメはエクレアです』
そう言って目線をエクレアへと移す
チョコがたっぷりかかったエクレアには、十分すぎる程の生クリームがたっぷりと入っていた
『美味しそう!じゃあ、これにしようかな』
『今なら、3つ買うと1つおまけが付きますよ。期間限定の桜エクレアもオススメです』
ほほう。開店記念なのか4つもエクレアが買えるらしい
私は有無を言わさず3つエクレアを頼み、1つおまけのエクレアを頂く
期間限定のエクレア1つ、ノーマル2つ、抹茶1つ
帰って、彼と2つずつ食べよう
そう思って帰ったのだが、どうしても味見がしたくなって全部お皿の上に出す
気が付いた時には、エクレア3つペロリと食べてしまっていた
ノーマル1つを残して
·
『あ。うっかりいつもの癖で食べちゃった』
そう。私はいつも期間限定がある時には、期間限定、ノーマル、気になるものと3つ買うことが多いのだ
今日は、彼が来るから一緒に食べようと1つは置いておくつもりにしていたのだが、つい食べてしまった
申し訳なく思う私は、1つだけ残して彼に差し上げる事にしたのだった
·
『一緒に食べよう』
『う、うん』
目の前にあるエクレアを見ながら、私は少し戸惑う
『どした?いつもなら、すぐ食いつくのに』
『さっき食べたし、これはあなたの分だもん』
『知ってるよ。はは。どうせ先に食べたんだろ?俺は、半分で丁度よいし、半分食えよ』
確かにいつもなら、半分ちょうだい!と言ってしまうくらいの勢いなのだが、今日は、さすがに遠慮する
『でも・・・』
『何、遠慮してんだよ』
そう言いながら、彼は半分だけ食べて私の目の前にエクレアを置いてくれた
私は意を決して、本当の事を言う
『ごめん、さっき食べたからこれは君のだよ?』
『同じ種類じゃないでしょ?いいよ』
何て優しい彼。いや、ごめん3つ食べた。そう思う私は、もう一度言う
『えーっと、実は3つ程先に食べたのね。あはは』
『ふっ。やっと言ったな?どうせそんな事だろうと思ったよ。本当に甘いもの好きだな?』
『一緒に食べようとしてたんだけど、うっかり』
『ふふ。いいよ。甘いものばっかりに夢中にならんと、俺の事も、それくらい夢中になって欲しいけど?』
ほんのり頬を赤く染める私に、彼は意地悪そうに私を見る
『っっ。夢中だもん』
『ふふ。ありがとう。じゃあ、これ食べちゃうね?』
『あっ』
思わずもう少し食べたくなる私は声を出す
『ほら、どうぞ』
私の口にエクレアを持って来て一言、彼は言う
『俺のことも、それくらい大好きでいてくれよ?』
『うん!』
そう言って甘えたがりの彼は、エクレアを頬張る私をギュッと抱き締めた
·

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