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『落下の解剖学』~人間の内面の複雑さ

風邪をひいたり、色々やらないといけない事をしていたら2月が終わる💦
やっとこさ映画館へ

「落下の解剖学」
緻密で人間の深いところまで描いた作品。
カンヌ映画祭パルムドール受賞や世界の映画祭でも話題になっている映画。

最近、2時間半以上の作品があってかなり辛い時がありますが、あっという間に終わり深い感情を味わいました。

夫が家から転落した事件から不安定な夫婦関係や息子の事故の話などが明るみに出ていき、裁判で殺人罪に問われる作家の妻。

唯一の証人は弱視の息子と愛犬。
サスペンスかと思いきや人間の不確かさや愛情、喪失の癒しなど深い内容でした。

殺人罪に問われる妻役のザンドラ・ヒューラーさんが複雑な人物を表現していて素晴らしかった!!
同じ年にカンヌ映画祭でグランプリ(次点作)になった「関心領域」にも出演しているノリに乗った女優さんらしく初めて拝見しましたがヨーロッパ的な繊細でありつつ日常感も表現できる素晴らしい演技で目が離せなかった。
したかたで怖い女性でもあるし、強さもある女性として凄く人間としての複雑さを感じた。

それにしても息子が辛い決断する結末に彼なりの癒しを経た前向きさを感じ涙が出ました。
選択を正解にしていく覚悟が切なくもたくましい。

パルムドック賞を受賞した愛犬のスパークの演技も凄すぎました!!
アカデミー賞にも合成かなと思いつつ出演していてほっこり。
最後にマット・デイモンのウォーク・オブ・フェームにおしっこしするという司会のジミー・キンメルのネタ(長年、マット・デイモンとネタとして対立しているらしい)としても登場してました。
あんな優秀な犬さんにこんなことさせおって!とちょっと憤慨しちゃっいつつも、笑いました。
事あるごとに公の場でケンカコントするのはいつまで続くのだろう・・・。

亡くなった夫の内面だけは描かれていませんが、色々な状況からすると個人的な感想としては自分から死を選んだのではないかと思ったりもします。
でも、妻への複雑な想いからこんな状況を作り出したとも思えるし、妻も妻で今まで向き合ってこなかった状況から追い込まれた結果とも思えるし凄く判断が難しいけれど、そこにこの映画の面白さもある。

人間って単純だけど複雑で正解のないグレーな存在だとあらためて感じます。

今年の映画館での鑑賞作のアタリがたまらない。
良い作品に出会うカンが冴え渡ってます♪


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