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2020年ヴィンテージのボトリング

イリスです。フランス人の友人マリーアニエス・エルーの造る古来製法のオーガニックシードルを日本に紹介しています。

2月に入りフランスでは、昨年の収穫で仕込んだシードル第一弾の瓶詰めがありました。メゾン・エルーでは、遅咲きのりんごが多いので10月から12月にかけて、収穫が始まります。完熟して実が木から自然に落ちるのを待ち、それを拾い集めます。ひとつの木でも3回ほど収穫します。段階的に仕込みをするので、ボトリングも2月から5月くらいまで何度か行います。工業的に生産されるシードルと違い、自然発酵なので気温など環境に左右され毎年スケジュールは前後します。今年はやや早めのようです。瓶詰めの後の最終発酵に最低2ヶ月はかかります。ゆっくりと糖が分解されアルコールに変わりながら、炭酸ガスが形成され、液体に溶けこみます。繊細で優しいな泡立ちは時と微生物の産物。

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メゾン・エルーの常駐スタッフは3名。ヨーコさんは、ご両親がオノ・ヨーコのファンで日本の名前ですが、日本には一度も来た事がないそうです。いつも笑顔で明るく、営業や近隣の配達や軽作業を担当しています。

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こちらは自社農園の責任者で醸造も担当しているロランさん、この道20年のベテラン職人、トラクターやフォークリフトなども乗りこなします。お歳は聞きませんでしたが、若々しいのは力仕事で鍛えられているせいでしょうか。

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コルク栓の上からかける口金の針金は、ミュズレmuseletと呼ばれます。動物の鼻先を指すミュゾーmuseauという単語から派生した言葉です。そういえば、これは馬のくつわにも似ていますね。

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画像左の口ひげのある男性はジャン・バティスト。パリとノルマンディーを行き来しながら、マリーアニエスの後継として経営責任者になりました。ワインのプロモーションの専門家ですが、出身地であるこの土地の伝統シードルを伝えていきたいと幼馴染の仲間と共にエルーを新生させるエネルギッシュでダイナミックな魅力に溢れています。私生活では昨年二人のお子さんのパパ。

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こちらのお二人は、繁忙期の助っ人として来てくださったようです。小さな醸造所はこのような仲間たちに支えられて温かいコミュニティを作っています。

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瓶詰めされたボトルは、このように立てた状態でchaiシェと呼ばれる醸造室にて保存します。

今年、日本に入荷したボトルは2018年仕込みのもの。製造年度を英語ではvintageヴィンテージ、フランス語ではmillésimeミレジムと呼びます。

毎年の天候で、りんごの実も、ブレンドや醸造のコンディションや仕上がりも異なるため、味わいや泡立ちに違いが現れます。ワインでは当たり前に思われている事ですが、シードルでは最近になってようやく関心の高い一部の人々に知られるところとなってきました。日本でも年度ごとの飲み比べが出来るようになると楽しいですね。


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