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英語学習法のPDCA - 最強の学習法は置き換えだ

日本人の多くが苦労する英語学習。英語が話せたらいいな〜という漠然とした目標ではなかなか達成感を味わえません。

進学のためや、昇給のために、資格試験を受ける人も多いはず。かくいう私も大学院入学のために、IELTSを猛勉強した時期があり、試験代だけで、€1,000ほど費やしました。1回€200の試験を5回。思い出しても吐き気がします。円安の今、円換算すると目が眩みます。

その時のトラウマでもう試験英語は2度と勉強しない、と心に誓いましたが、私は今もまだ英語学習は続けています。多分ずっとすると思います。

英語圏に住み、日常会話や勉強・仕事ができるようになっても、それよりさらにステップアップし、日本語と同じレベルで自分の考えていることを表現できるようになるのはとても難しいです。学習を継続しないと無理だし、そのために学習方法を工夫しないと続きません。

英語はコミュニケーションに必須のスキル。学問に王道なしですが、私が思う最善の英語学習法を紹介します。


目標設定が全て

最近、noteで紹介されているのを見て、この本を読みました。(紹介のnoteはこちら)

外国語学習アドバイジング プロのアドバイスであなただけの学習プランをデザインする


「誰かに魚をあげればその人を一日養ってあげることができるが、魚のつり方を教えてあげれば一生養ってあげることになる」
新しい単語を100個教えてあげるよりも、学び方を教える方が尊い。
語学学習のPDCAの回し方の、特にPとCに重きを置いた良い本でした。

その中で特に強調されているのが、目標設定。読む、書く、話す、聞くの四技能が語学スキル。そのうち何をどこまで伸ばすのか、明確に目標設定すればするほど、達成可能性は高まります。

最初に自分のレベル、到達したいレベルを、ヨーロッパ言語共通参照枠(A2とかB1とかのスコア)にて具体的に設定。TOEICやTOEFLとの比較表も引用されている。
本の3割くらいがこのレベルの説明引用文ですが、四技能ごとのレベル感を言葉で表現しているので、数字よりも適切な指標だと思う。

例えばB2の聞く能力の一部を紹介すると、

なじみのある話題でもそうでない話題でも、日常的な場面なら、騒がしい場所であっても、標準的な話し言葉を理解することができる。

努力が必要だが、周りで話されていることのほとんどは理解することができる。しかし、数人の母語話者がことばを調節しないで話し合っているのを理解することは難しい。

標準的な方言でふつうの速さで話していれば、具体的および抽象的な話題のアナウンスやメッセージを理解することができる。

読み書く聞き話すの技能は、レベルが異なるのが当たり前。通常、読む聞くが先に発達し、書く話すが後から発達するイメージ。
この四技能のうち、「何をどこまで伸ばしたいか」、具体的に目標設定しましょう。

先ほどの例示を参考にすると、「日常的な場面なら、騒がしい場所であっても、標準的な話し言葉を理解することができる」状態を目指す、というように。

私が一番効果的だと思うトレーニング方法

正しい目標設定の後は、トレーニングあるのみ。
私が思う一番効果的な英語学習法は、「置き換え」

自分が好きなことを、日本語ではなく外国語でやるように置き換えてしまうこと。
語学学習は長い道のりなので、いかに時間を捻出するか、それをどれだけ負担なく生活に取り込むか、が鍵だ。

私の場合で言えば読書が好きなので、できるだけ洋書を読むようにしてます(と言っても2割程度…)。日本語より読むスピードも遅くなるし、理解も浅くなる、より集中力を要する、でも置き換えなしに英語上達しないから置き換えます。

世の中には色んな英語学習法があるけど、自分の生活の中に組み込む学習法が一番強い。

本が好きなら洋書を、映画が好きなら洋画を字幕なしで、歌が好きなら洋楽を、恋愛が好きなら外国人と付き合うなど、自分の好きなことを現地語で行うのが、英語上達の1番の近道と思います。

しかし、これだけでは、やった感だけの自己満足で終わってしまいます。大切なのはフィードバック。ただ闇雲に学習をしていても仕方ありません。ネイティブ、もしくはプロの方に、フィードバックをもらいましょう。何が伝わらないのか、どこが誤っているのか、よほど耳がいい人ならともかく、普通の人には自分で自分の言葉を改善していくのは難しいです。
ネイティブと話す機会が多いなら、何がおかしいかの指摘をもらう、オンライン英会話を利用する、音声入力で確認するなど、方法はいろいろあると思いますが、適切なフィードバックなしに語学上達はあり得ません。

私は一時期同僚に、私の英語の変なところを見つけたら指摘するようお願いしていたことがありますが、あまりに指摘が多くイライラしすぎてやめました笑。我ながら、お願いしておきながらひどいですね…

ツール紹介

ここでは個人的におすすめの英語学習ツール。最近本当に色々ありますからね。自分に合ったものを使うのが一番です。

Headway: 洋書要約アプリ

私は読書が好きですが、最初から洋書が読めたわけではありません。本は、動画などと違い画像による理解の助けがなく、時間も長くかかるので割とハードルが高いです。
初心者のうちは、要約を理解することから始めてみましょう。
私が使っている要約アプリはこれ。読書を続けやすくなる工夫が散りばらめられ、人気本の要約を聞き、概要を理解することができます。
年額6000円程度ですが、その価値ありだと思います。


シャドテン: シャドーイングアプリ

シャドーイングが語学学習に効果大なのはよく知られてますが、ただシャドーイングしてるだけでは効果半減です。シャドテンなら、どのようにリスニングを改善すればいいのか教えてくれます。

特に日本人が不得意なのは、音の連結や消失、変化です。Shut up をシャラップと言うアレです。
その証拠に、ネイティブの言ってることがわからないときは、「一単語ずつ話してください」とお願いすると、途端にわかりやすくなります。日本人は日常会話で使われるほとんどの英単語を知っているにも関わらず、英語の音のつながりや変化に慣れていないから、リスニングについていけないのです。

大きな欠点は、価格。月額2万超は高い。

紹介割引もあるみたいですがネズミ講のようなので、そのリンクは貼っていません。紹介リンクが欲しい方は個別にご連絡ください。

高いけど効果はあると思うので、数ヶ月でもやってみてはいかがでしょうか?

Speechance: 無料スピーチテストサイト

次のセクションに書いていますが、大切なのは進捗確認です。自分がどのくらい上達しているか、長丁場の語学学習こそその確認が必要です。

スピーキング力向上確認のため、おすすめのサイトが以下。15分ほどのテストで、スピーキング力を測ってくれます。テストの種類が多いため、テストを覚えたが故に点数が上がるという事態を防いでくれ、適切な能力判定ができます。
しかも無料。
定期的にスピーチテストをして、自分のスピーキング能力を確認してみてはいかがでしょうか?


定期的に進捗確認しよう

語学学習は長い長い道のりです。そのため定期的に進捗確認することで、モチベーションを維持することが必要です。

しかし、、語学能力の達成確認って難しくないですか?
英語試験が人気の理由はここにあります。明確な数字で結果がわかりやすい。でも残念ながら、試験英語ができても、コミュニケーションが上手になるとは限りません。

外国語学習アドバイジングの本には、自分が設定した目標の、達成度を計測するための方法を3つ考えることがエクササイズとして記載されていました。

自分の目標に合わせて、どのように達成度を測っていくかが肝となります。

たかが英語、されど英語

英語って、コミュニケーションにおけるLower-level skill なんですって。コミュニケーションというピラミッドの最下層に位置するレベルのスキル。言われてみればそうだけど、それに多大なお金と時間を費やしている自分を見ると哀れになる。。。

しかし、英語ができるようになって世界は確実に広がりました。日本語という土台だけのコミュニケーションピラミッドより、英語も土台に加わったコミュニケーションピラミッドが高くそびえ立つことができるのは一目瞭然。

そもそも自分の考えていることを表現するのって母国語でも難しいですから。それを外国語で表現すると、微妙なニュアンスも変わってくるし、何より思考方法も変わってきます。これは外国語を話す人なら体験しているはず。言葉によって自分の思考が変わる。

「考えることとは言語化すること」とはよく言われたものですが、日本語で考えることと英語で考えることは違います。その違いを理解し表現できるまでに多くの時間がかかってしまう。でも理解できたなら、それは自分の思考の広がりにもつながります。

私は最近、多言語を話すことの可能性の広がりにとても興味があります。単純に言葉が話せることでの可能性の広がりだけでなく、英語と日本語という違う言葉が刺激し合うことで新たな反応が生まれることを何度か目にしてきました。

話は変わりますが、アイルランドはノーベル文学賞受賞者を4人も輩出しています。人口1億人超の日本のノーベル文学受賞者は2人しかいないことを考えると、人口400万人のアイルランドがこれだけ多くの受賞者を輩出しているのは、ものすごい快挙だと言えます。

その理由は多くありますが、私のアイルランド友人はその一つは、アイルランド人が「古来ゲール語と英語をあやつる多言語話者で、とても深く彩り豊かな英語を話すことができたからだ」、と言っていました。

私はこの話がとても好きです。

私たち日本人は、時間的にも金銭的にも多大な英語学習への投資に圧倒され、それでも英語能力がなかなか伸びずに凹むことが良くあります。

私も、英語がわからなくて恥をかき、議論のスピードについていけず自分の主張ができず、みんなが笑っている中ただ1人でキョトンとしていることが、何度も何度もありました。

しかし私たち日本人が英語習得したその先には、ネイティブには決して話すことのできない、日本人としての思考をベースにした英語を話す世界が待っているはず。
だから私は今日も英語を勉強する。

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このコラムは、海外在住日本人が綴るマガジンVACILANDOが出版する世界の12か月シリーズアイルランド版、「アイルランドの12月」に掲載予定のコラムです。今夏には出版予定ですので、応援よろしくお願いします!

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