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「(ネイティブ英語に)憧れるのはやめましょう」

鳥飼 玖美子先生の「やっぱり英語をやりたい!」をAudible で聞き始めました。
先日来聞いていた「日本語に主語はいらない」は図表への参照が多くなってきたので、運転しながらのAudibleに限界を感じてギブアップ。Kindleに切り替えます。

鳥飼先生は私が日本通訳翻訳学会に入ったときの会長でした。(一度ご挨拶しただけですけれど)

やはり英語学習本を読むのは楽しいです。
350冊くらい読んでメルマガ書いていた時期が2010年くらいでしたか。今では400冊くらいになったかしらん。

これまで私がいろいろ試行錯誤したり他の方の学習法を見聞きした結果としては

  • 人によって習得したい技能、到着したいレベルが異なるので、みんなにぴったりの学習法はない

  • 人によって、性格的なものとか、それまでの環境とかにより、みんなにぴったりの学習法はない

というどうしようもない結論なのですが、その点からは、いろんな人が「これで英語できるようになった!」と学習法と、自身の環境について開示していくことで、それらを学習したAIがそのうちできあがって、自分の性格や略歴を入れることでぴったりの外国語学習法を提示してくれる時代がそのうち来るのではないかと期待しています。

それを人力でやろうとするのが、外国語学習アドバイジングという領域ではないかと興味を持っています。
ちまたで流行の「英語コーチング」とは違う気がしていますが未確認です。
もうちょい暇になったらアドバイジングの勉強したいと思っています。

ということで、鳥飼先生の本です。

人によってぴったり合う学習法が異なるので、いろんな方の学習法を紹介した上で、学問的な説明を加えています。
楽しい。

文脈と関係なく面白かったのが、引用されていた爆笑問題のネタ。

「今日だけはメジャーリーガーに憧れるのはやめましょう。憧れているうちは超えられません」との大谷選手の名言を紹介し太田が「それを聞いたチームメートが『おいダルビッシュ、ジュース買ってこい。』って言っていた」というものです。

これは、ワールドベースボールクラシックで日本チームが打ち合わせしている場面であること、大谷やダルビッシュがメジャーリーグで活躍しているという情報がないと笑えないわけですが、そのような背景知識が大切だという話でした。(多分。Audibleで「どこに書いてあったか」ってどうやって簡単に調べるのだろう。運転中でどんどん先に行ってしまうともう分からない)

それはそれとして「憧れるのはやめましょう」というところに惹かれました。
この本の別のところでは、ネイティブ英語に対する憧れ、劣等感などについても書かれていました。

「ネイティブ英語」の定義もよく分かりませんが、ネイティブアメリカンはインディアンではないかとも思いますし、ネイティブに入ってくるのがアメリカ、イギリス、オーストラリア、ニュージーランド、インド、シンガポール…と拡がってくると、発音どころか単語のレベルでも大きな差が出てきます。
そもそも英語については非ネイティブ話者の方が多いわけですから、アメリカ英語というのは、アメリカ訛り・アメリカ方言と考えるのが正しい気もします。アメリカの中でも地方によって大きく違うでしょうし、私が住んでいるイギリスでも、派手に違います。

私は「発音は通じれば良い」という考えなのですが、それは、発音の体系が一貫していること。
私は義務教育でアメリカ英語で発音を学びましたが、それは(当時の)学校英語がアメリカ英語だったということだけです。
イギリス勤務になったことで、発音体系はあっという間にイギリス英語に変わりました。

日本で英語を勉強する分には、教材の入手可能性の観点からアメリカ英語で発音体系を作るというのは妥当だと思います。

その点からは、毎回講師が変わっていろんなアクセントで話しかけてくるオンライン英会話は、発音の軸ができあがるまでは有害だと思っています。(発音の軸を作るのに関して有害という話)

他方、ハリウッドスターになることを目指すとか、将来アメリカでバリバリ生活することを目指さすのでなければ、発音にこだわるのはほどほどで良いかなと思っています。
といいつつ、英語のRができるようになるのに1年かけて練習したのは私ですけれども。
英語のRができると、フランス語のRもドイツ語のRも、何なら中国語のRも容易にできるようになります。

私はイタリア語/スペイン語の巻き舌Rができません。
しかし、イタリアでもフランスの国境近くではフランス語のRで発音していますし、オーストリア国境近くではドイツ語のRで発音しています。
ドイツ語のRにも、ドイツ語風、スペイン語風、フランス語風のRがあると教わりました。

R/Lの区別は日本人には難しいと言われますが、要は、その人がR/Lをどのように発音し分けているかが相手に伝わればその後は聞き手側で変換してくれるので何の問題も出ないのです。
必要以上に憧れるのをやめましょう。



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