じゃがいもの島、アイルランド
こんにちは。アイルランド在住会計士のつぐみです。
日本に訪問したことのあるアイルランド人にも、「日本は本当に食べ物が美味しいよね」と言われます。
しかしそんな彼らも、アイルランドには日本を上回る美味しい食べ物が二つあると豪語しています。それはラム(羊)とじゃがいも!
アイルランド産のラムとじゃがいもは確かに美味しいので、今日はそのうちの一つ、じゃがいもを紹介します。
アイルランドでは、メインの付け合わせにじゃがいも料理3品がでてくる
私が衝撃だったのが、アイルランドにおけるじゃがいもの存在感の強さ。
題名の通り、メインの付け合わせとしてじゃがいも料理が3品でてくることもあります。
メインディッシュは、グラスフェドビーフやラム料理が多く、付け合わせは野菜や炭水化物になりますが、じゃがいもはその両方を担う食材として登場します。(注:アイルランド人は、じゃがいもを野菜と認識している人が多い。)
その付け合わせとして、以下のような組み合わせを見たことがあります。
・フライドポテト×ポテトサラダ×ポテトグラタン
・マッシュポテト×ローストポテト×ベイクドポテト
どれだけじゃがいもづくしなんだ!と驚きます。ただ、多くのレストランでは、付け合わせは選択することができ、その他の野菜も選択肢に含まれており、じゃがいも以外も食べられますので安心してくださいね笑。
じゃがいも料理
さて、そんなアイルランドの代表的なじゃがいも料理を紹介します。レストランでも食べられますし、家庭料理でも多く使われています。
ちなみにアイルランドのじゃがいも消費量は一人当たり年間67キロ。つまり一人で週に1.3キロは消費している計算になります。
日本では一人当たり年間25キロなので、アイルランドは日本に比し、約2.5倍も多くじゃがいもを消費していることとなります。
マッシュポテト
アイルランドのほくほくポテトを使ったマッシュポテトはとても美味しいです。
まろやかで濃いめの味のメインの付け合わせにぴったり。
その中でもケールと混ぜた、コルカノンというマッシュポテトが大変美味しい上に彩りも良く、ケールとポテトの栄養がたっぷり詰まっています。
マッシュポテトに、ミルクまたはクリーム、バターを混ぜ込み作るお手軽付け合わせなので各家庭でも頻繁に作られています。
私のおすすめのコルカノンのレシピはこちら。中心で溶けているバターとマッシュポテトを混ぜて食べるのがおいしいです。
ローストポテト/フライドポテト
アイルランドではフライドポテトのことをChipsと言います。Chipsがメニューにないレストランは存在しないのではないかと思うほど、アイルランドの生活に根付いています。
油で揚げているので健康的とは言い難いですが、最近の健康志向により油をあまり使わないローストポテトやエアフライヤーを使ったポテト料理が人気を高めています。
特にエアフライヤーは私の周りでも多くの家庭が保有していて、これから日本の炊飯器並みに、アイリッシュの家庭に浸透するのではと感じています。
ちょっとおしゃれなレストランでは、ローズマリーや、パルメザンチーズ、トリュフオイルなどを使って、一味違うフライドポテトを提供しています。
エアフライヤーを使えばお手軽にできるので、自宅でもよく作っています。
ポテトパンケーキ
Boxtyというポテトでできたパンケーキがダブリン名物。甘いパンケーキではなく、主食としてお肉や野菜などといただきます。
日本でイメージするふわふわのパンケーキではなく、どちらかというとクレープに似たような薄めの生地の上に、具材を乗せているのがBoxty料理です。
その料理名を冠したダブリンの市街地にあるレストランがこちら。
観光客に人気のレストランで、お土産にポテトパンケーキの素を購入することもできます。
シェパーズパイ
アイルランドで「パイ」というと、日本人がイメージする、パティスリーのサクサクした生地のパイを指す場合と、アイルランド独特であるシチューなどの上にマッシュポテトを乗せてオーブンで焼いたものを指す場合の2種類があります。
シェパーズパイとは、その後者の方。ラム挽肉シチューの上にマッシュポテトをたっぷり乗せてオーブンで焼いたアイルランドの伝統料理です。
メインがじゃがいもたっぷりのシェパーズパイなのに、サイドメニューはフライドポテトという、ポテトづくしアイルランドあるあるの写真↓
ベイクドポテト
しっかりとした強い味が感じられるアイルランドのじゃがいもは、オーブンでじっくり焼いて食べると美味しいです。
焼き立てを食べられるので家庭で作るベイクドポテトもまた格別です。サワークリーム、チェダーチーズ、ベーコンなどを乗せると簡単で見た目も良いので、訪問客への付け合わせやスナックにも最適です。
クリスプス(Crisps)
最後に忘れては行けないのが、ポテトチップス。アイルランドではCrispsと呼ばれ、ハンバーガーやサンドイッチの付け合わせで出てきたり、ランチのお供に食べていたり、ネイティブ御用達の立派な食事(?)なのです。
クリスプ・サンドイッチと呼ばれる、ポテトチップスを挟み込んだサンドイッチまであるのです…(これについては以前の記事にあるので良ければご参考ください。)
最も有名なブランドはTayto。可愛いキャラクターもいて、テーマパークまである大人気のクリスプブランドですが、ちょっと油っこくて私は苦手です。
個人的には、Keogh’sの方がおすすめです。ザクザク感があり強いじゃがいもの味もあって、日本のポテトチップとは少し異なるポテトチップスが楽しめると思います。
海外に住む日本人が緑茶や醤油味噌などを、日本にいる家族から送ってもらうのと同様に、外国に住むアイルランド人はアイリッシュティー(アイルランドの紅茶)と、このクリスプを家族から送ってもらうようですよ。
余談:じゃがいもマップ
カルビーさんが発行しているじゃがいもマップをご存知ですか?じゃがいもの種類を、しっとり系かほくほく系かと、食味の強弱の2軸で分類したマップです。
調理の仕方や料理に合ったじゃがいもがわかるので便利です。
Calbee HPより
ここで、とてもニッチな英会話講座。しっとり系のじゃがいもを、Waxy potatoes、ほくほく系のじゃがいもをStarchy potatoesと言います。
しっとり系(Waxy)は、デンプンが少なめで、より水分、糖質が多めでしっとり。煮崩れしづらいので、煮物系やフライドポテト、ローストポテトに適しています。アイルランドのじゃがいも種類でいうと、Maris Piper, Home Guard, などの種が有名。
ほくほく系(Starchy)は、デンプンが多めで、調理後はほくほくの食感、皮が粗くて、より日持ちします。潰しやすいので、ポテトサラダやコロッケ、マッシュポテトに向いています。アイルランドの種類ではRusset, Kerr’s Pinkなどがあります。
このほかにもAll rounderとしてどんなじゃがいも料理にも適しているRoosterなどもあります。
アイルランドのじゃがいもネタと言えば、じゃがいも飢饉や、じゃがいもの詩やことわざなどまだまだトピックがありますが、長くなるのでこの辺りで。
最後に私の好きなアイルランドのじゃがいもことわざを。
愛がなくてもじゃがいもくらい半分こできるのでは…と思うのですが、ひどい飢饉を経験しているアイルランドの歴史を思うと、じゃがいもを半分にわけることで愛を語るこのことわざには、アイルランドの歴史や食生活のなんとも深い含蓄を感じてしまうのです。
今日はアイルランドのじゃがいも事情についてお話ししました。
もしアイルランドに来られる機会がありましたら、じゃがいも料理も楽しんでみてくださいね。
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