読書ログ:そろそろ会社辞めようかな - プロフィットモデル構築のススメ
読書ログ、「そろそろ会社辞めようかなと思っている人に、一人でも食べていける知識をシェアしようじゃないか」を読みました。儲かっている事業のプロフィットモデルを分かりやすく説明していてお勧めです。
一言でいえば、コンテンツ作成に集中するよりも、利益を生み出すシステムを構築することに集中するといいとのメッセージを発信している本です。
うまくいっている事業は、プロフィットモデルがしっかりしている。それを真似するために、幾つかの事業のプロフィットモデルの説明をしています。
ここで注意すべきなのが、成功している企業も、最初からそのプロフィットモデルを打ち出して成功していたわけじゃないということです。自分のコンテンツに合ったプロフィットを得る仕組みを、試行錯誤しながら模索し、ハマったものが収益を生んでいるのです。
だからひたすら試すしかない、という強いメッセージを発しています。
プロフィットモデルの5つの土台
顧客・商品・課金の仕方・支払方法・資源という、プロフィットモデルの5つの土台が提示されています。その各カテゴリーについて、一番原始的なモデルが基本パターンとなります。
原始的なモデルとはすなわち、簡単で誰もが思いつくモデルのことです。そのため競合に対して比較優位をとりにくく、熾烈な競争に巻き込まれやすくなります。
安定したプロフィットを獲得するために、原始的ではないモデルをいくつか組み合わせることが必要となります。
①顧客
原始的なモデルは、個人客。
個人でビジネスをするときに、BtoCを思い浮かべやすいが、実際個人相手の商売は浮き沈みが激しくなってしまいます。
法人相手もしくは国相手のビジネスが安定します。個人事業主で国相手なんて、と思うかもしれませんが、例えば学生街にある小さな本屋が、その近くにある大学に教科書を卸しているから意外に安定的に儲かっているなどの、ケースがあります。
②商品
原始的なモデルは、その主軸商品のみを販売すること。
発展形としては、周辺商品と共感を販売することがあげられています。
例えば、より利益率の高い周辺商品(コピー機のカートリッジ、ディズニーランドのお土産や飲食)、共感(AKBのファン応援の為のCDなど)を売ることで、より進化したプロフィットモデルを有することができます。
③課金の仕方
原始的モデルは、スポット(買い切り)販売。
これを発展させた、ストック形式(サブスク、利用してもしなくても定額)、エクイティ形式(従量課金型、成果報酬型:利用するほどチャージされる)の課金の仕方をすれば、プロフィットが安定しかつ増加していきます。
④支払方法
原始的モデルは、本人が現金払い。
より払いやすくなると継続した収入が得られやすくなることから、本人が簡単に支払う方法導入(月額課金クレカ支払いなど)、または第三者が支払う方法導入(従業員がベネフィットを得る法人プランなど)が推奨されています。
⑤資源
原始的モデルは、自己調達。
自分で資源調達してそれを加工販売する形式ではなく、タダ・バーター(原価ゼロ)によって売り上げがそのまま利益となるシステムを構築するか、参加するメンバーが価値の資源となる仕組みを用いると(SNS、オンラインサロンなど)、利益率が大幅に上がります。
自分のコンテンツにあわせ、これら5つの土台の中から、いくつかの原始的モデル以外を組み合わせることで、より安定したプロフィットモデルを構築することができます。
個人事業者のプロジェクトマネジメントとは
例えばハーバードやオックスフォードは、主な収入は教育事業にはありません。寄付や投資、不動事業などで稼ぐ基盤を有し、そこで稼いだお金を教育事業に回し、長期的投資が必要な教育事業からから長期的な利益を回収するというビジネスモデルです。
このようなモデルを規模的に縮小化し、個人のレベルで構築することを筆者は進めています。
好きなことで儲けるというのは理想かもしれませんが、初日からそのような事業を手掛けるのは不可能に等しいです。それよりも、儲かるけれどもビジョンと違うこと、やりたいけれど儲からない ことなどの、毛色の異なった複数のプロジェクトをポートフォリオとして管理するのが、個人事業者のプロジェクトマネジメントであると著者は述べています。
そのマネジメントを通じて、全体として夢に近くてお金も儲かる、という方向に徐々にシフトさせていくのが理想の姿だと理解できました。
個人事業者としての意思決定
もう一つ参考となったのが、意思決定は一定率で間違うものであることを認識せよというくだりです。もし意思決定の正解率が高い場合、チャレンジをしていない指標となると著者は言っています。つまり、失敗をある程度許容した上で、果敢に挑戦を行っていくことが、より好ましいプロフィットモデル構築には不可欠だというのです。
また、人を雇う時の意思決定には胸を打つものがありました。
どんなに志を同じにしていたと思っていても、とくに個人事業者、スタートアップ時代の雇用には、必ず別れがやってきます。それを意識し、従業員の全てを受け入れるのではなく、彼ら彼女らの強みにだけ意識を向け、自分よりもその面では優秀な人材を雇う事などが必要であると説かれていました。
最後に
本書では、「創造とは、授かったミッション・魂・才能みたいなものを顕在化させていく行為だ」と定義されていました。
それから派生して、著者にとって仕事とは、「才能を貢献に変える作業」であるそうです。自分の持つ強みや才能を磨き、それを貢献という形に昇華させる行為が仕事であるとの捉え方から、著者が仕事をとても大切に、そして誇りに思っていることが伝わります。
様々な事業のプロフィットモデルを通じ、自分の仕事にも活かせる良書でした。
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