アメリカIT業界の崩壊、ヒトの使い捨てが始まった
2022年から23年にかけて、テクノロジー業界を震撼させるニュースが連日報道された。
アメリカIT業界の崩壊
イーロン・マスク氏が買収を行ったTwitterは特に目立った。買収から数日で従業員を大量解雇し、自分の意見に反する者は容赦なく切り捨てた。
Twitterは利益が少ないためGAFAには含まれないが、全世界的に影響力の持つサービスであることや、IT業界を象徴するような働き方を実践する企業だったため、アメリカIT業界の衰退を印象付けた。
大量解雇が出来るロジック
IT業界の特徴として、初期段階では多額の資金調達を行い、システム開発と営業に投資する。このシステム開発は給与水準が高いエンジニアを必要とし、営業は全世界的に拠点を作り展開を行う必要があり、莫大なコストが生じる。
一方で、システムは一度構築すればそこまで開発人員を維持し続ける必要はない。新たな取り組みを始める際に開発は行うが、ゼロからの構築よりも開発の自由度が制限されることは間違いが無い。
また、ある程度のブランド認知が図られれば営業も不要となる。日本のような、顔を突き合せての営業の必要性は薄れ、オンラインでの購買が行えるからだ。Google、Twitter、Facebook広告も全てオンラインで完結する。カバー出来ない部分は代理店が自発的に動くので、自社で営業を維持する必要が無い。
その為、経営者が経済合理性を考える場合は解雇や人員整理を行う方がよく、ヒトの使い捨てと言える状況が始まったと言える。
日本でも解雇を行った後、サービスが崩壊した
日本では、みずほ銀行が基幹システムのリプレイス(再開発)を行い、完了後にエンジニアを大量解雇するという事例があったが、この後に起きたのは、度重なるトラブルと金融庁からの業務改善命令だった。
みずほ銀行が倒産したわけでは無いが、開発まもなく解雇を行ったため、要件定義書や設計書などの資料が無い部分が生じている。つまり、なぜ動いているのか分からない状態のシステムが多く、長期的なスパンで考えるとサービスが崩壊している状態だ。
Twitterは人力での運用が多かったため、みずほ銀行と同様に少しずつサービスの品質が下がり崩壊していく可能性が危惧される。
我々はどう考えるべきか
かつての日本では大企業に勤めれば生涯安泰と言われてきた。一方で現代では、大企業でも解雇や倒産のリスクは拭えない。
今回、大量解雇された人員でも、エンジニアや企画職など高スキルの人材は別の企業への再就職が進んでいる。一方で運用など限られた作業を行っていた人材は再就職に苦戦している様子が見られた。
結果的に「いつでも解雇してください、他の会社があるので」と言える程のスキルと経験を積む方が安定するし、精神的にも楽になる。本当の意味での実力が試される時代になってきたと言える。
【追記】実際にTwitterで情報流出が発生
Bloombergによると、「ツイッター、2.3億人超える情報流出か-ハッカーフォーラム掲載」と報道が行われた。セキュリティホールを攻撃された形と考えられるが、保守人員が不足したことの影響は大きいと考えられる。
https://news.yahoo.co.jp/articles/614aa773618655dcfbe44330384b5edbe54a3962