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 イギリスの週刊新聞である『エコノミスト』(The Economist)がベトナムの教育に注目しているという記事を見つけました。

 東南アジア諸国のなかでも急速な経済成長を遂げているベトナムを支えているのは質の高い教育であり、その秘密は、「教育の質の高さ」を担保する管理システムと政治的影響であると記事では述べられています。

 ベトナムの教員が優秀なのは、管理システムがよくできているからだ。教員たちは頻繁に研修を受ける機会があり、授業に関して大きな裁量を与えられている。教員の評価は生徒の成績に基づいており、より質の高い授業を行い、生徒の成績を向上させた者には、栄誉ある「優秀教師」の称号が与えられる。

 一党独裁体制を敷く共産党は教育に力を入れている。教員たちは、職務を怠って党に目を付けられることを恐れているのだ。

 共産党の教育へのこだわりは、他にもよい効果を生んでいる。地方行政は予算の20%を教育に割くことが義務付けられており、これが地域格差の是正に役立っている。また、党が教育状況をつぶさに注視しているため、教育政策や学校のカリキュラムは常に更新され、教育水準が担保されている。

 先日イランの教育における教員の権威についてコラムを書きました。

 国家という集団による権威主義的な「教育」は頭打ちが必ず来る。共産党という政治的圧力が、教育の充実に寄与しているならば、私個人としては、あまり肯定的な印象を持つことはできません。

 一方で教育の質の担保は教員の質の担保と同義です。日本の教育の現状を見ると、教員個人の能力に依存するところが大きく、その質を広範囲に担保することができていません。学生に対する教員養成カリキュラムも不十分であり、理論と実践のバランスも悪い。

 教員育成という事業はまさに私の活動の中心。その活動をしようと思ったきっかけは、児童・生徒の未来の可能性を広げることができる教員が必要だと感じたから。「教育」の方向性が児童・生徒に向くだけでなく、教員に向くこともまた大切です。


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