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#550 教員は給与を求めているのか

 教員の働き方改革の一貫として、文科相の諮問機関である中教審は、残業代の代わりとして支給される「教職調整額」を基本給の「4%」から「10%以上」に引き上げる案をとりまとめました。

 現在、業務の過酷さによって教育現場は疲弊し、またその状況を鑑みて教員志望者は減少の一途を辿っています。給与の改善を通して、現場の意欲をあげるとともに、教員を目指す人たちを増やそうとしています。

 一方、この「場当たり的」な政策に対して、専門家からは批判の声が上がっています。

 作家で元教員の乙武洋匡氏や教育評論家の尾木直樹氏は、給与のちょっとした改善では、本質的な効果は何もないと指摘し、より大幅な改革が必要であると述べています。

 世界有数の金融系企業であるゴールドマン・サックスは、20代の平均年収は1000万を越えますが、勤続年数は5〜10年であるといわれています。退職理由には様々な理由がありますが、その大きな理由の1つには過酷な労働環境があるでしょう。

 資本主義の中で生きる私たちにとって、年収は職業選択をする上で重要な要素であることは否めません。教員人気を回復させる策として、金銭的な魅力を訴えること自体は間違っていはいないかなと個人的には思います。

 一方で、小・中学校教員の平均年収は約740万円、高校教員は680万円であることを考えれば、そこまで低いとは言い難い(私の感覚としては平均年収があと100万増えればいいのになとは思いますが)。つまり教員の不人気の原因は、決して金銭的理由ではないのではないかと思っている。

 社会が(悪い意味で)学校に過度な期待をし、結果学校教育が担わなければならない本質が蔑ろにされていることに問題がある。

 以前のコラムで業務を「減らす」ことの重要性について言及しましたが、足し算的に増えていく教員業務の中で、職業人であることの価値が優先されすぎている現場に対し、多くの学生がNoを突きつけているのです。

 

 


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