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#165 学校組織が同調圧力に屈しないために

同調圧力(Peer Pressure)とは

「会社や学校などさまざまな集団の中で、少数意見を持つ人がいる場合に、多数意見に合わせるよう暗黙のうちに強制される心理的な圧力」

のことを言います。

たとえば会社であれば、会議で独自性のある意見を言いづらい、仕事が早く終わっても自分だけ帰ることはできない、といったものがそれに当たると言えます。

同調圧力は

日本社会特有のものだと思われがちですが

中世ヨーロッパの「魔女狩り」や、大戦後アメリカで行われた「赤狩り(レッドパージ)」にも同調圧力が深く関わっているという事実を見ても、国や文化を越えた、「人間そのものの心理」に深く作用するものだと言えるでしょう。

集団の感情圧力は一人ひとりの理性ではコントロールできなくなり、大きな流れに飲み込まれてしまいます。

だからこそ組織そのものが「同調圧力」に屈しないという哲学を掲げ、体現するシステムを構築する必要があるのです。

静岡大学教職大学院教授の武井敦史先生は月刊教職研修のコラムの中で

学校現場がこうした「正解主義」や「同調圧力」から自由になっていくことはそう容易なことではないだろうと、大学という場で現職教員と日々向き合っている筆者は考えます。というのも、教育には常に評価がつきまとうからです。学校で評価を行うということは、社会的にも承認された一定の「望ましさ」の基準を持つことであり、それは児童・生徒の思考や行動を価値づけ、特定の方向に促していくはたらきにほかなりません。

月刊教職研修2023年6月号(教育開発研究所)

と仰っています。

「人権の世紀」に生きる私たちが

一人ひとりの「多様性」を認め、幸せに生きる社会を実現するためにも

社会的にも承認された一定の「望ましさ」に対して疑問をもち、その価値観を再考することが学校の組織運営に求められます。


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