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#558 きっとそれは青春ハラスメントだった

 私は中学時代、いわゆるスクールカーストの最下層に位置していました。精神的にも幼かった私は、運動も勉強も得意ではなく、ある種の地獄の中で生活をしていたように思います。

 当時、アニメが徐々に市民権を得てきた時代。私は学園もののアニメの中で、主人公がキラキラした学校生活を送る描写の中に、自分の「理想の学園生活」を追い求めていたような気がします。

 当たり前の話ですが、私たちは過去に戻ることはできません。そんな中、中学・高校生活は刹那的な側面をおび、その瞬間でしか味わうことができない、「青春」を感じさせる。しかし、その時代を本当の意味で楽しく過ごすことは実は非常に難しい。前述したように、私は中学生活にいい思い出などほとんど持ち合わせていないし、いわゆる「青春」などを感じる心の余裕など一切ありませんでした。

 中高の青春が価値あるものであるという前提のもと、その中で充実した日々を送れない人たちが、アニメの中で憧れの中高を擬似体験する。しかし、その結果、青春の価値がますます強化され、結果、より現実が悲しくなる。ここにはなんとも言えないパラドックスが存在するような気がします。

 それは制服時代に対する社会の過剰な価値の置き方であり、その中で様々な葛藤を生み出している可能性があるのではないか。

 私はふと気づいたのです。みんな青春ハラスメントの被害者なのではないかと。

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