ハンドインタフェースのためのセンサの多用途化に関する研究
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ハンドインタフェースのためのセンサの多用途化に関する研究

髙田崚介

(神戸市立工業高等専門学校 電子工学科 助教)

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ヒューマンセンシング
ユーザインタフェース
HCI

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【背景】自分に合ったインタフェースをDIYできる時代に
【問題】容易にインタフェースに使えるセンシング手法の多様化が必要
【貢献】センサの役割を拡張し,多様性に寄与する5つの手法を開発

 現代では,デスクトップやラップトップに設置するコンピュータ以外にも,スマートフォンやウェアラブルデバイスのように外でも気軽に使えるものや,ドローンやロボットのように自律するものまでさまざまな形態・用途のコンピュータが使われるようになりました.ユーザがコンピュータを操作する際に,キーボードやマウス,タッチパネルといった入力インタフェースがよく用いられていますが,コンピュータの形態やユーザによって適したインタフェースの形態も異なります.3Dプリンタやマイコンボードが手軽に・安価に利用できるようになったため,キーボードをフルスクラッチでDIYする人も増えてきました.今後はさらに用途や自分の趣味に沿ったインタフェースをDIYする時代がくると思われます.

 さて,これら入力インタフェースには,人の振る舞いを認識するためのセンサが組み込まれています.本研究では,このセンサの機能を拡張することにより,1粒で2度も3度もおいしい,多用途な入力インタフェースを設計する手法の開発を目指します.センサの機能を拡張するためには,組み込むセンサそのものの種類を増やす方法がありますが,DIYの難易度が上がってしまいます.また,同じセンサでもユーザの振る舞いによって異なるセンサ応答が見られる場合があります.そこでセンサ応答の処理方法を拡張することにより,同じセンサでさまざまな人の振る舞いをセンシングする手法を開発します.

 センシング手法の設計にあたって,以下の2つの研究方針を設定しました.[研究方針1]単一センサの用途を拡張もしくは多用途なセンサを開発することにより「省センサで多用途なセンシング」を開発する,[研究方針2]すでに広く知られている入力方法に倣うことにより「省習熟コストなセンシング」を開発する.

 本研究では,これらの研究方針に従ってハンドインタフェースのための省センサかつ多用途なセンシング手法を5通り開発しました.(1)単一電極にてタッチおよびスワイプを判別可能な「MonoTouch」.(2)防水端末のタッチパネルおよび内蔵の気圧センサを用いて押下圧力を取得できる「BaroTouch」.(3)導電繊維編み込み手袋に電気信号を流した際の応答から,指の曲げ,指同士の接触ならびに把持物体認識を行う「Grov」.(4)既存のQWERTY配列の物理キーボード上にて開始符号を用いることにより,文字入力操作,ポインティング操作,ジェスチャ操作を切り替えながら行う「FJKeyboard」.(5)フリック入力キーボード,マウス,ゲームコントローラとして利用可能な片手把持キーボードである「JoyKey」.

 本研究の貢献は次のとおりです.(1)センシング手法を新たに5通り開発し,センシング多様化に寄与したこと,(2)センシング手法を用いたインタフェースを実装し,その妥当性を評価したこと,(3)センシング手法を開発した過程から得られた,開発に至るプロセスをまとめ,センサの多用途化のためのデザイン手法を示したこと.

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■Webサイト

 https://rtakada.jp

(2021年5月31日受付)
(2021年8月15日note公開)

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 取得年月日:2021年3月
 学位種別:博士(工学)
 大学:筑波大学

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推薦文:(ヒューマンコンピュータインタラクション研究会)
推薦する博士論文は,タッチパネル,キーボード,データグローブ等の入力インタフェースを構築・拡張するためのセンシング手法についてまとめており,各センシング手法にセンサの特性や組み合わせ方に斬新なアイディアが含まれている.また,これらのセンシング手法はどれも容易かつ安価に利用できるものである.


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髙田崚介(正会員)

研究生活:もともと漫画家になりたくて,漫画家として自分の軸を持ちたくて高専に進んで技術を一生懸命勉強したら,いつのまにかコンピュータを操作する方法に強く興味を持ち,あれよという間に博士課程に進んでいました.無事博士号をいただいた今,なんと不思議なことに母校の高専で教鞭をとる立場になりました.

博士課程は,じっくり自分自身と向き合う時間であり,あっという間に過ぎさる時間であり,かつての自分じゃ想像できない夢のような体験をたくさんできる時間です.まわりから見るとフラフラしてる博士生活だったかもしれませんが,終わってみるとかけがえのない時間だったと思います.博士進学を考えている皆さんには研究はもちろん,それ以外にもできる限りいろんな人に会って・いろんな体験をしてみることをおススメします!

最後に6年間に渡りご指導・ご鞭撻いただいた志築文太郎教授,筑波大学IPLABの先生・メンバたちにこの場を借りて深くお礼申し上げます.

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