情報処理学会・学会誌「情報処理」

60年の歴史を持つ情報処理学会の学会誌「情報処理」から注目の話題をお届けします.最新技…

情報処理学会・学会誌「情報処理」

60年の歴史を持つ情報処理学会の学会誌「情報処理」から注目の話題をお届けします.最新技術や情報教育など幅広い話題を専門家による質の高い記事でご紹介します. 情報処理学会のWebサイトはこちらです→:https://www.ipsj.or.jp/

マガジン

  • 「情報処理」無償公開記事

    情報処理学会 会誌「情報処理」のバックナンバーから,無料で読める記事の一部を順次紹介していきます.

  • 「情報処理」巻頭コラム

    情報処理学会 会誌「情報処理」のバックナンバーから,巻頭コラムを順次紹介していきます.IT専門家はもちろん,教育者,政治家,医師など、様々な業界の方々にご執筆頂いています.

  • 情報処理学会誌編集長の独言(ひとりごと)

    情報処理学会誌「情報処理」の内容や話題について編集長が綴ります。

  • 教科「情報」の入学試験問題って?

  • 連載「稲見前編集長が考えた国内学会の変革と未来展望」

    稲見昌彦氏に情報処理学会誌の前編集長として行った変革や学会に対する思いをお聞きし,その中から3つのトピックを選びnoteに連載します. ※なお,本稿は「DXで学会誌の外への繋がりを拡大」というタイトルでWeb(https://www.powerweb.co.jp/knowledge/columnlist/interview-28/)に掲載したインタビューの際,掲載しなかった内容を番外編としてまとめました. 〜連載のタイトルは以下〜 1.国内学会の存在意義とは 2.学会運営:学会をどう運営していくべきなのか? 3.学会活動の広がり

最近の記事

日経「星新一賞」と生成AI

☆本稿の著作権は著者に帰属します. 阿波智彦 石原祥太郎(日本経済新聞社)  テキストや画像などを生成する人工知能技術(生成AI)の目覚ましい発展は,世界中で大きな変革をもたらし続けています.特に,2022年11月30日に発表された「ChatGPT」¹⁾ は,人間のような流暢な言語能力で大きな注目を集め,広く一般に認知を広げる契機となりました.文学界においても,2024年の芥川賞受賞作『東京都同情塔』(新潮社)の題材として生成AIが登場し,作者の九段理江氏が執筆に際してC

    • 新しい職業とIT

      五十嵐 美樹 (サイエンスエンターテイナー/東京都市大学理工学部特任准教授)  私は,全国各地で子どもたちに向けたサイエンスショーや科学実験教室を開催しています.実験道具は基本的には自作で,秋葉原にある秋月電子に行っては子どもたちに科学技術の楽しさを伝える方法を考えて実施しています.代表的な実験として,生クリームを入れたペットボトルを振り続けるとバターができる実験があるのですが,ただ振っても子どもたちに素通りされてしまうので,特技の激しいヒップホップダンスをしながら作った

      • 2024年7月号の見どころ(Vol.65, No.7)

        本会では6月は理事が入れ替わる時期となっております.月に1回開催している会誌編集委員会も6月の編集委員会を対面とオンラインのハイブリッド開催としました.以前は対面で行っていた編集委員会ですが,コロナ禍を経てオンライン中心に変わりました.今はオンラインの良さを取り入れながらも,時には対面での開催会を行うことで委員が交流を深めるとともに,今後の特集や記事の案を出したりと意見交換が活発に行われています. 特集「生成AIと教育」 今月号は教育に関わる多くの分野から生成AIに関する

        • 量子コンピュータの現在地とこれから

          川畑史郎(法政大学) 2023年師走の出来事 2023年師走に量子コンピュータに関する2つの大きなニュースが飛び込んできました.1つはアメリカIBM社による1121物理量子ビットの超伝導量子コンピュータ“Condor”の実現です.これは現段階で世界最大集積度の量子コンピュータとなっています.IBM社はFTQC(Fault-Tolerant Quantum Computer: 誤り耐性汎用量子コンピュータ)に向けた研究開発ロードマップも発表しました.もう1つは,アメリカQuE

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        • 「情報処理」無償公開記事
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        • 「情報処理」巻頭コラム
          47本
        • 情報処理学会誌編集長の独言(ひとりごと)
          28本
        • 教科「情報」の入学試験問題って?
          36本
        • 連載「稲見前編集長が考えた国内学会の変革と未来展望」
          3本
        • 未踏の第29期 スーパークリエータたち
          16本

        記事

          日本大学文理学部 「情報」サンプル問題 問題IIIの解説

          植原啓介(慶應義塾大学環境情報学部)  2025年度入試から大学入学共通テストに「情報I」が導入されることとなり,個別入試にも教科「情報」を出題する大学がちらほら見られるようになりました¹⁾ ²⁾.  日本大学文理学部の一般選抜(A個別方式)においては,2025年度入試から全学科で「情報I」を選択できるようになります.それに向けて,日本大学文理学部は2024年3月27日にサンプル問題³⁾を公開しました.今回はこのサンプル問題の問題IIIについて解説していきたいと思います.

          日本大学文理学部 「情報」サンプル問題 問題IIIの解説

          情報世界と人生

          せきぐち あいみ(VRアーティスト)  「XR? メタバース? そんなこと言ってないで現実を生きろよ!」  そんな声を聞くことがあります.  では日頃,その現実とやらで全身が震えるような喜びの瞬間にどれほど立ち会ってるのかと問いたい.  私は介護施設などでご高齢の方々にVRで作った作品を体験いただくことがあります.  最初は得体の知れない機械を拒絶する方もいらっしゃるが,見たあとは皆さん物凄く喜んでくださる.  「普段ね,ちょっとした段差があるところでさえ行けない

          2024年6月号の見どころ(Vol.65, No.6)

          GWが終わり,新年度にもようやく慣れた頃でしょうか.今月号も楽しい記事が盛りだくさんですので紹介させていただきます. 特集「ウェルビーイングとテクノロジーに関する動向」 近年注目されている「ウェルビーイング(Well-being) 」.今月号の特集は「ウェルビーイングとテクノロジーに関する動向」です.ウェルビーイングとテクノロジーの考え方や取り組みについて広く見渡せるよう国内外での研究動向や実践例を解説する特集となっております. これまで会誌の記事については専門の方以外

          2024年6月号の見どころ(Vol.65, No.6)

          2024年本試験問題 第2問 ついに異星人が地球を訪れた.しかも一度に,トウ星,カイ星,ホク星,リク星という,四つもの星から.

          辰己丈夫(放送大学)  今回取り上げるのは,2024年1月に実施された大学入学共通テストの「情報関係基礎」第2問です.この第2問の位置づけなどは,大学入試センターの資料などを見ると分かりますが,手短に書くと「アルゴリズム」や「数量的関係」を重視した問題となっています.2022年からの学習指導要領における「情報I」でも,モデル化とシミュレーションは当然,取り上げられる話題ですから,この問題に取り組んでみることも悪くないでしょう.  この記事では,まず,問題を解く受験生の気持

          2024年本試験問題 第2問 ついに異星人が地球を訪れた.しかも一度に,トウ星,カイ星,ホク星,リク星という,四つもの星から.

          2024年5月号の見どころ(Vol.65, No.5)

          新年度が始まりまして,みなさま新生活に忙しい時期ではないでしょうか.4月1日より副編集長に高橋尚子先生が就任されました.今月号には高橋先生ご執筆の「副編集長就任にあたって 会誌の沼にはまってみる」が掲載されております.編集長である私自身も塚本元編集長から編集委員にお声がけいただき,会誌の編集側に関わらせていただいた2014年4月からこの4月で丸10年がたち,11年目に突入しました.これまで私は会誌編集委員(2014年4月~2018年3月),新世代企画委員(2018年4月~20

          2024年5月号の見どころ(Vol.65, No.5)

          とって変わるもの

          まなまる(永藤 まな) (ピアノタレント)  AIというものが認知され活用されるようになった近年,提起されることが増えてきた,「人間の仕事はAIにとって変わられるのか」という問題.スーパーやコンビニのレジはセルフが主流になり,無人の店舗なんかもある.  ファミリーレストランの配膳は陽気な音楽とともに可愛いロボットがテーブルまで来てくれる(可愛いというのは私の主観ですが……笑) .ネット上ではいわゆる”絵師”とよばれる方々がAIに職を奪われる!と嘆いているさまをよく見かけ

          米国大統領選挙とディープフェイク

          湯淺墾道(明治大学) 2024年米国大統領選挙の懸念 2024年は世界的に「選挙イヤー」であり,多くの国で大統領選挙や国会議員選挙が予定されている.その中には,米国やロシアの大統領選挙など世界的に注目を集めるものが少なくない.アジアでは,1月に行われた台湾の総統選挙,2月に行われたインドネシア大統領選挙のほか,インド,パキスタン,バングラデシュ,韓国で国会議員選挙が予定されている.しかしその中でも特に注目されるのは,米国の大統領選挙であろう.現時点では現職の民主党・バイデン

          米国大統領選挙とディープフェイク

          1bit LLM の時代は来るのか,来ないのか,どっちなんだい?

          徳永拓之(LeapMind(株)) 1bit LLMの時代が来る? 2024 年2 月,The Era of 1-bit LLMs: All Large Language Models are in 1.58 Bits¹⁾ というタイトルの論文がarXiv上で公開され,にわかに話題となりました.“1.58 Bits” という表現はあまりなじみがありませんが,log₂(3) = 1.58 . . . ということで,パラメーターを三値にした場合の情報量を示しているようです.この

          1bit LLM の時代は来るのか,来ないのか,どっちなんだい?

          チェックディジットを計算しよう

          久野 靖(電気通信大学)  まだまだ続く「教科『情報』の入学試験問題って?」,2025年の試験開始がいよいよ近づいて,大学入試センター以外に,「情報」の独自入試を実施する大学からの模擬試験問題なども入手できるようになってきました ¹⁾ ²⁾.  その中から今回は,京都産業大学が協力高校において実施した模擬試験の問題のうちの1問,チェックディジットの問題を取り上げます.独自入試の問題なんて難しそう,と思いましたか?  確かに,大学入試センターの試験にないようなタイプの問題

          チェックディジットを計算しよう

          2024年4月号の見どころ(Vol.65, No.4)

          本日より本会第86回全国大会が神奈川大学横浜キャンパスで3日間開催されております.現地はもちろんのことZoomやYouTubeライブを用いたオンライン参加も充実しておりますので是非一部だけでもご参加いただければと思います.特に,聴講参加登録ページにありますように特別講演/招待講演/イベント企画については無料,学生さんは上記に加えて「一般セッション/学生セッション」も無料となっております.会誌編集委員や会誌の記事執筆者にお会いできるチャンスでもあります. 会誌編集委員会からは

          2024年4月号の見どころ(Vol.65, No.4)

          AI,判断と決断と説得

          鈴木 寛 (東京大学公共政策大学院教授/ 慶應義塾大学政策・メディア研究科特任教授)  AIの劇的な普及により,人材育成やガバナンスの在り方について,歴史的な再構成が迫られている.筆者は,OECD Education 2030プロジェクトの共同創業メンバとして「学びの羅針盤」の作成に参画し,文部科学大臣補佐官として,2020年から各学校で実施されている学習指導要領の改訂に携わったが,強く意識したことの1つが「AIを使いこなし,AIにはできないことをできる人材の育成」であった

          高等学校DX加速化推進事業(DXハイスクール)に関する情報処理学会の意見表明について

           2024年1月30日に本会より,「高等学校DX加速化推進事業(DXハイスクール)に関する本会の意見表明(https://www.ipsj.or.jp/release/iken20240130.html)を発出した.本稿では,DXハイスクールとは何か,また,DXハイスクールと関連があると考えられる動向を踏まえ,本会はどう貢献できるのかについて解説する. 情報処理学会の提言 本会のこの意見表明について,以下の通り,朝日新聞でも取り上げられた.  また,DXハイスクールに関す

          高等学校DX加速化推進事業(DXハイスクール)に関する情報処理学会の意見表明について