情報処理学会・学会誌「情報処理」

60年の歴史を持つ情報処理学会の学会誌「情報処理」から注目の話題をお届けします.最新技…

情報処理学会・学会誌「情報処理」

60年の歴史を持つ情報処理学会の学会誌「情報処理」から注目の話題をお届けします.最新技術や情報教育など幅広い話題を専門家による質の高い記事でご紹介します. 情報処理学会のWebサイトはこちらです→:https://www.ipsj.or.jp/

マガジン

  • 「情報処理」無償公開記事

    情報処理学会 会誌「情報処理」のバックナンバーから,無料で読める記事の一部を順次紹介していきます.

  • 情報処理学会誌編集長の独言(ひとりごと)

    情報処理学会誌「情報処理」の内容や話題について編集長が綴ります。

  • 「情報処理」巻頭コラム

    情報処理学会 会誌「情報処理」のバックナンバーから,巻頭コラムを順次紹介していきます.IT専門家はもちろん,教育者,政治家,医師など、様々な業界の方々にご執筆頂いています.

  • 2023年度 研究会推薦 博士論文速報

    情報処理の各研究分野をカバーする約41研究会により推薦された,2023年度選りすぐりの博士論文51本を一挙まとめて紹介します.博士課程学生の研究内容,研究生活を垣間見ることができます.特に多様性に富んだ研究生活は,博士課程への進学を検討している人におすすめの内容です.

  • 教科「情報」の入学試験問題って?

最近の記事

スマートグラスの今~入試不正利用を機に最新状況を確認する~

塚本昌彦(神戸大学大学院)  2024年2月の早稲田大学の一般入試で,受験生がスマートグラスを使って試験問題を撮影し,SNSで外部に流出させて解答を求める不正行為が発覚した.各社報道によると,2月16日の早稲田大学創造理工学部の入試の受験生がスマートグラスを使用して化学などの問題を撮影し,撮影した問題画像を手持ちのスマートフォンに転送,X(旧ツイッター)上で不特定多数に公開して解答を求めた.事前に依頼していた複数名から回答があり,受験生は試験中にそれを書き写したとのことであ

    • 2024年9月号の見どころ(Vol.65, No.9)

      みなさん,こんにちは.大学では夏休み真っ只中ですが,8月前半は多くの大学でオープンキャンパスを開催していた声も聞こえてきました.お盆近くになると学生さんも帰省やインターンなどで研究室はがらーんとしています.企業のみなさまも夏期休暇でゆっくりお過ごしでしょうか.我が家の3人の子どもたちは小学生・中学生・高校生でして,それぞれの学校生活の中での情報系の教育を親として垣間見ることができた1学期でした.さて,今月も見どころについて紹介していきたいと思います. 特集「大学における数理

      • 「継続は力なり」よりも「好きこそ物の上手なれ」

        杜甫々 (「とほほのWWW入門」サイト管理者)  「とほほのWWW入門」というWeb関連の技術情報を掲載するサイトを運営しています.1996年9月に始めたので,もうそろそろ29年目に突入となります.HTML, CSS, JavaScriptを始め,Python, Rust, Goなどのプログラミング言語,React, Vue.js, Angularなどのフレームワーク,Docker, Kubernetes, OpenSSLなどのツール群,文字コード,正規表現,暗号化などの要

        • Deep Generative Design of RNA Family Sequences

          2023年度研究会推薦博士論文速報 [バイオ情報学研究会] 角 俊輔 (東京大学 定量生命科学研究所 特任助教) 邦訳:RNAファミリー配列の深層生成設計 【背景】RNA合成生物学においてRNA配列改変は重要な問題 【問題】人間には高精度なRNA配列改変は困難 【貢献】設計成功率の高いRNA生成モデルを作成  RNAは,DNAと並んで生命活動に欠かせない重要な分子です.RNAは,遺伝情報を伝えるメッセンジャーRNA(mRNA),タンパク質合成を行うリボソームRNA(r

        スマートグラスの今~入試不正利用を機に最新状況を確認する~

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        • 「情報処理」無償公開記事
          235本
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          30本
        • 「情報処理」巻頭コラム
          49本
        • 2023年度 研究会推薦 博士論文速報
          51本
        • 教科「情報」の入学試験問題って?
          38本
        • 連載「稲見前編集長が考えた国内学会の変革と未来展望」
          3本

        記事

          アミノ酸配列情報のみからの深層学習によるヒト-ウイルスタンパク質間相互作用の予測に関する研究

          2023年度研究会推薦博士論文速報 [バイオ情報学研究会] 築山 翔 (日本学術振興会特別研究員PD) 【背景】タンパク質間相互作用はウイルス感染症において重要な役割を果たす 【問題】実験的なタンパク質間相互作用の同定には多くのコストと労力が必要である 【貢献】アミノ酸配列のみからタンパク質間相互作用を高い精度で予測可能にした  ウイルス感染は世界的な健康上の重大な問題である.SARS-CoV-2はその出現から急速に拡大し,世界的なパンデミックを引き起こした.タンパク質

          アミノ酸配列情報のみからの深層学習によるヒト-ウイルスタンパク質間相互作用の予測に関する研究

          接触への柔らかい反応動作の自動生成による演技支援と素早い追従を両立するアバター

          2023年度研究会推薦博士論文速報 [エンタテインメントコンピューティング研究会] 杉森 健 (AVITA株式会社 開発局 R&D部) 【背景】魅力的な動きが求められるアバターコンテンツ 【問題】アバターに接触が生じる際の不自然な動き 【貢献】アバターが接触した際の動きの生成と追従遅れの防止 ■近年のアバターコンテンツ  バーチャル空間で,ユーザーの体として用いられる3DCGのキャラクター(アバター)が一般的となってきている.たとえば,VRメタバースのアバターやバーチャ

          接触への柔らかい反応動作の自動生成による演技支援と素早い追従を両立するアバター

          Designing an Active Haptic Feedback System to Evoke Perceptions of Various Properties of Handheld Objects

          2023年度研究会推薦博士論文速報 [エンタテインメントコンピューティング研究会] 橋本 健 (東京大学大学院情報理工学系研究科 特任助教) 邦訳:把持物体の多様な物性感を生起させるActive Haptic Feedback Systemの設計 【背景】バーチャル物体の重さや柔らかさを感じたい 【問題】どのように多様な質感を1つの装置で表現するか? 【貢献】動きと力の関係性を変え,多様な質感を表現した  近年のディスプレイ技術の進化は著しく,ヘッドマウントディスプレ

          Designing an Active Haptic Feedback System to Evoke Perceptions of Various Properties of Handheld Objects

          Quantifying Hidden Information

          2023年度研究会推薦博士論文速報 [ゲーム情報学研究会] Troillet Lucien 邦訳:隠れた情報の定量化 【背景】研究対象としての不完全情報ゲームへの注目 【問題】ゲームにおける不完全性を説明する言葉の不足 【貢献】不完全情報ゲームを説明する新しい概念「Visualization」と「Impact」の提案  不完全情報ゲームとは,ゲームの中で起こることが完全には分からないゲームです.たとえば,じゃんけんでは相手が何を出すか分かりません.ポーカーでは相手の手

          Neural Speech Synthesis Extended to Unpaired Speech-Text Domains through Self-Supervised Representation Learning

          2023年度研究会推薦博士論文速報 [音声言語情報処理研究会] 佐伯高明 (Google LLC Research Scientist) 邦訳:自己教師あり表現学習による非対応音声言語ドメイン拡張型ニューラル音声合成 【背景】ニューラル音声合成システムの適用範囲を拡張する必要性 【問題】多くの音声・言語ドメインで対応データが限定的 【貢献】自己教師あり学習により非対応データのドメインに音声合成を拡張  音声合成技術は,人間が話すような自然な音声をコンピュータによって生

          Neural Speech Synthesis Extended to Unpaired Speech-Text Domains through Self-Supervised Representation Learning

          複数表現間の一貫性を考慮した包括的最適化による音響信号処理とその効率化の研究

          2023年度研究会推薦博士論文速報 [音声言語情報処理研究会] 升山義紀 (東京都立大学システムデザイン研究科情報科学域) 【背景】音響信号処理は複数のステップで構成されてきた 【問題】各ステップが個別に行われ全体として最適にならない 【貢献】目的に沿って全体を最適化し理想的な音響信号処理を実現した  音源強調とは,複数の音が混ざった観測信号に含まれる目的信号を推定する技術であり,オンライン会議において通話の品質を改善したり,スマートスピーカが生活音の中で音声を認識した

          複数表現間の一貫性を考慮した包括的最適化による音響信号処理とその効率化の研究

          Pre-training Approaches for Voice Conversion to Address Data Scarcity and Their Applications to Ground-Truth-Free Tasks

          2023年度研究会推薦博士論文速報 [音声言語情報処理研究会] HUANG Wen-Chin (名古屋大学大学院情報学研究科 助教) 邦訳:音声変換におけるデータ不足に対処するための事前学習法と入手不可目標データ課題への応用 【背景】音声変換技術を医療や教育分野に応用することが期待されている 【問題】音声変換の実世界応用は常にデータ希少性に困っている 【貢献】事前学習法による効率的な音声変換システムを提案した  本研究では,音声変換という技術に取り組んでいる.音声変換

          Pre-training Approaches for Voice Conversion to Address Data Scarcity and Their Applications to Ground-Truth-Free Tasks

          Quasi-reversible Weathering of Rust Preventive Coating Films

          2023年度研究会推薦博士論文速報 [コンピュータグラフィックスとビジュアル情報学研究会] 石飛晶啓 (チームラボ(株)インタラクティブエンジニア) 邦訳:防錆塗膜の準可逆的ウェザリング 【背景】金属の経年劣化をCGで再現する手法は多い 【問題】表面に塗られるべき塗料の存在は無視されている 【貢献】防錆塗膜の経年劣化を再現できる手法を提案した  経年劣化は,現実世界において普遍的な現象であり,それに伴ってほとんどの物体は外観も変化していきます.一方で,CGで描かれるバ

          Quasi-reversible Weathering of Rust Preventive Coating Films

          Ambiguous-to-Concrete Realistic Human Image Synthetic via Generative Model

          2023年度研究会推薦博士論文速報 [コンピュータグラフィックスとビジュアル情報学研究会] Peng Yichen (東京工業大学 情報理工学院 情報工学系 小池研究室 ポスドク研究員) 邦訳:生成モデルによる曖昧から具体的なリアルな人物画像の合成 【背景】生成AIはユーザが所望する結果を得るのが困難 【問題】AIの生成過程と人の創造過程の不一致 【貢献】人の各創造段階の設計意図に合わせたパイプライン  ピカソは,「絵は事前に考えられたものではない.描かれる過程で,そ

          Ambiguous-to-Concrete Realistic Human Image Synthetic via Generative Model

          多角形カーネルに対応した統計的画像フィルタアルゴリズムの高速化

          2023年度研究会推薦博士論文速報 [コンピュータグラフィックスとビジュアル情報学研究会] 諸戸雄治 ((株)Preferred Networks Software Engineer/(株)オー・エル・エム・デジタル 研究開発部門 Visiting Researcher/情報オリンピック日本委員会 育成強化部会) 【背景】画像や動画の共有サイトの普及により,映像や画像を編集することが一般的になった 【問題】一部の画像フィルタは,高性能な計算機でも処理に時間がかかっていた

          多角形カーネルに対応した統計的画像フィルタアルゴリズムの高速化

          Label-Efficient Microscopy Image Recognition with Cell Image Characteristics

          2023年度研究会推薦博士論文速報 [コンピュータビジョンとイメージメディア研究会] 西村 和也 (国立がん研究センター研究所 計算生命科学ユニット 特任研究員) 邦訳:細胞画像特性を用いたラベル効率の良い顕微鏡画像認識 【背景】深層学習により顕微鏡画像の認識が高精度に実現可能になった 【問題】深層学習には撮影環境毎に学習データが必要である 【貢献】細胞画像の特性を活用することにより学習データの作成コストの低い画像認識を提案した  深層学習に基づいた画像認識手法により

          Label-Efficient Microscopy Image Recognition with Cell Image Characteristics

          深層学習を用いた偏りのあるデータに対して頑健な学習手法に関する研究

          2023年度研究会推薦博士論文速報 [コンピュータビジョンとイメージメディア研究会] 加藤 聡太 ((株)センスタイムジャパン リサーチャー) 【背景】実世界のデータには多くの場合偏りが含まれる 【問題】データの偏りによって予測精度が大幅に下がる傾向にある 【貢献】さまざまな偏りに対して頑健な,深層学習の新たな学習手法を提案した  近年,画像内に写っている物体を理解する画像認識の分野では,AI(Deep Learning)を用いた方法が高い精度を出すことが知られており,

          深層学習を用いた偏りのあるデータに対して頑健な学習手法に関する研究