情報処理学会・学会誌「情報処理」

60年の歴史を持つ情報処理学会の学会誌「情報処理」から注目の話題をお届けします.最新技…

情報処理学会・学会誌「情報処理」

60年の歴史を持つ情報処理学会の学会誌「情報処理」から注目の話題をお届けします.最新技術や情報教育など幅広い話題を専門家による質の高い記事でご紹介します. 情報処理学会のWebサイトはこちらです→:https://www.ipsj.or.jp/

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人生はゲームだ(後編)

松原 健二((株)SNK代表取締役社長CEO)  前号の兄の巻頭コラム「人生はゲームだ」を繋げていく.最初に本格的にプログラムを書いたのは1984年の卒業研究だった.元岡達先生の研究室で「プログラミング言語C」を片手にviに向かうと,世話好きな先輩がさまざまなテクニックを教えてくれた.コンパイルをバックグラウンドで走らせるとRogueをプレイした.自動生成のダンジョン,暗闇に現れるアイテムやモンスター,飽きのこないゲームデザインは今でも色褪せない傑作だ.経営者としてゲーム開

    • 稲見前編集長が考えた国内学会の変革と未来展望 その3 学会活動の広がり

      インタビュー: 東京大学 先端科学技術研究センター 身体情報学分野 教授・博士(工学) (一社)情報処理学会 理事・フェロー/情報処理学会誌『情報処理』 前編集長 稲見昌彦 氏 文構成:加藤由花  稲見昌彦氏に情報処理学会誌の前編集長として行った変革や学会に対する思いをお聞きし,その中から3つのトピックを選びnoteに連載します.今回はその第3回目となります. ※なお,本記事は「DXで学会誌の外への繋がりを拡大」というタイトルでWeb(https://www.powerw

      • 2023年12月号の見どころ(Vol.64, No.12)

        あっという間にVol.64もNo.12となりました。さて,前回の巻頭コラム「人生はゲームだ(前編)」の 巻頭コラムが始まって以来,初の「前編」「後編」の理由はわかりましたでしょうか.No.11とNo.12とで同じタイトル「人生はゲームだ」としてご兄弟で書いてくださったのでした.ということで,今月号の松原健二さん(株式会社SNK代表取締役社長CEO )の巻頭コラムも是非お楽しみ下さい! 特集「情報法の昨日,今日,明日」 今月号の特集は「情報法の昨日,今日,明日」です.「編集

        • 試作問題「旧情報(仮)」の第4問に見る「ネットワークとセキュリティ」問題の工夫

          安田 豊 (京都産業大学 情報理工学部)  連載『教科「情報」の入学試験問題って?』,今回は大学入試センターが公開した試作問題のうち「旧情報(仮)」の第4問をとりあげます.第4問ではネットワークとセキュリティ関連の事項を扱っています.  第4問は9つの小問からなりますが,それらすべてが前文で示される3人の家庭のネットワーク環境(と言っても1つはネットワーク「なし」環境ですが)に関連する形で提示されます(図-1).  実に手描き感あふれる図ですね.こうした具体的なネットワ

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        • 「情報処理」巻頭コラム
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        • 「情報処理」無償公開記事
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        • 情報処理学会誌編集長の独言(ひとりごと)
          情報処理学会・学会誌「情報処理」
        • 教科「情報」の入学試験問題って?
          情報処理学会・学会誌「情報処理」
        • 未踏の第29期 スーパークリエータたち
          情報処理学会・学会誌「情報処理」
        • 2022年度研究会推薦 博士論文速報
          情報処理学会・学会誌「情報処理」

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          稲見前編集長が考えた国内学会の変革と未来展望 その2 学会運営:学会をどう運営していくべきなのか?

          インタビュー: 東京大学 先端科学技術研究センター 身体情報学分野 教授・博士(工学) (一社)情報処理学会 理事・フェロー/情報処理学会誌『情報処理』 前編集長 稲見昌彦 氏 文構成:加藤由花  稲見昌彦氏に情報処理学会誌の前編集長として行った変革や学会に対する思いをお聞きし,その中から3つのトピックを選びnoteに連載します.今回はその第2回目となります. ※なお,本記事は「DXで学会誌の外への繋がりを拡大」というタイトルでWeb(https://www.powerwe

          稲見前編集長が考えた国内学会の変革と未来展望 その2 学会運営:学会をどう運営していくべきなのか?

          情報処理技術者試験の最年少合格者とご両親の声

          奥村明俊((独)情報処理推進機構 IPA)  IPAは,優れたデジタル人材を育成するために,ITパスポート試験(IP),基本情報技術者試験(FE),情報セキュリティマネジメント試験(SG)といった役割やレベルが異なる計13区分の国家試験を実施しています$${^{1)}}$$.IPは,ITを利活用するすべての社会人・これから社会人となる学生が備えておくべきITに関する基礎的な知識を問う試験です.具体的には,新しい技術(AI,ビッグデータ,IoT など)や新しい手法(アジャイル

          情報処理技術者試験の最年少合格者とご両親の声

          人生はゲームだ(前編)

          松原 仁(東京大学次世代知能科学研究センター)  1970年代後半に最初に書いたプログラムは将棋だった.プログラミングを自習し始めたばかりの学生にとって将棋はむずかしすぎてまともに動くものはできなかった(ちなみに言語はFortranだった).情報科学科に進学してプログラミングにある程度習熟してから詰め将棋を解くプログラムを完成させることができた.大学院に進学してAIを研究することになったけれど,日本ではゲームを研究テーマとすることは到底許される雰囲気がなかったので画像認識や

          2023年11月号の見どころ(Vol.64, No.11)

          今月も会誌編集委員会の様子をお届けしてみたいと思います.編集委員会は毎月1回開催しています.原稿の締め切りや入稿締め切りの関係から月の初旬に開催することが多いですが,決まった曜日・時間には行っていません.直近ですと,月曜夜や金曜昼,火曜昼といったように曜日も昼夜もバラバラで開催してきました.この理由は「昼間は仕事で予定がいっぱいだけれど夜なら出席できます」「夜は家事・育児に追われて出席できません」「金曜日は授業なんです」など,みなさん様々な事情があるからです.大学教員,企業研

          2023年11月号の見どころ(Vol.64, No.11)

          2005年度 情報関係基礎 第4問「デジタルカメラのユーザインタフェース」の問題

          白井詩沙香  今回の連載「教科『情報』の入学試験問題って?」では,2005年度大学入試センター試験科目「情報関係基礎」本試験の第4問を紹介します.  この問題は,井手先生の記事「じゃんけんをプログラミングするよ」で触れられていた放送大学の辰己丈夫先生が厳選した「情報関係基礎」$${^{1)}}$$の良問の1つで,ユーザインタフェースの仕様が異なる2種類のデジタルカメラの使い勝手を比較させる問題です. 問1:デジタルカメラX型の設定変更操作に関する問題 第4問では2種類(

          2005年度 情報関係基礎 第4問「デジタルカメラのユーザインタフェース」の問題

          稲見前編集長が考えた国内学会の変革と未来展望 その1 国内学会の存在意義とは

          インタビュー: 東京大学 先端科学技術研究センター 身体情報学分野 教授・博士(工学) (一社)情報処理学会 理事・フェロー/情報処理学会誌『情報処理』 前編集長 稲見昌彦 氏 文構成:加藤由花  稲見昌彦氏に情報処理学会誌の前編集長として行った変革や学会に対する思いをお聞きし,その中から3つのトピックを選びnoteに連載します.今回はその第1回目となります. ※なお,本稿は「DXで学会誌の外への繋がりを拡大」というタイトルでWeb(https://www.powerwe

          稲見前編集長が考えた国内学会の変革と未来展望 その1 国内学会の存在意義とは

          2023年10月号の見どころ(Vol.64, No.10)

          私が会誌編集長になって1年半.毎月その号の見どころをお知らせするnoteを書いてきましたが,先日8月号(7月15日発行号)の読者コメントで初めて『毎月「見どころ」を載せている点がよいと思います.』と,本コーナーに対するお声が届きました.みなさまからいただいた読者コメントは隅々まで読ませていただき,会誌の構成を検討したり特集を企画したりと積極的に活かしています. 8月号といえば,ピアニスト角野隼斗さん(かてぃん)にご執筆いただいた巻頭コラム「創造とは制約である」が,読者からと

          2023年10月号の見どころ(Vol.64, No.10)

          未踏の第29期スーパークリエータたち:編集にあたって

          竹内郁雄(IPA未踏IT人材発掘・育成事業 統括プロジェクトマネージャ)  未踏事業で採択され,優れた成果や成長を示した人たちを未踏スーパークリエータと呼ぶ.実は数年前から,未踏事業は3つの事業に拡大しており,ここで「未踏事業」と呼んでいるものは正確には「未踏IT人材発掘・育成事業」という名称で,年度始めに25歳未満の若い人たちを対象とした事業で ある.  未踏事業は2000年度にミレニアム事業として始まったが,この年次報告は,2012年度から「未踏IT人材発掘・育成事業

          未踏の第29期スーパークリエータたち:編集にあたって

          フィギュアスケートの練習を支援するSkate Jump Board

          山形 昌弘(やまがた まさひろ) 麻 大輔(あさ だいすけ)  本プロジェクトのクリエータらは,学生時代にフィギュアスケートの競技者として,練習や後輩への指導に向き合ってきました.彼らが練習や指導に取り組む中で,特にジャンプの習得に苦労したようです.まず,ジャンプは一瞬なので,頭で考えている暇がない.次に,着氷は後ろ向きにしかできないので,徐々に回転を増やしていく練習ができない.最後に,作用反作用の法則により,空中では,各部位の動作を独立にコントロールできず,たとえば「右足

          フィギュアスケートの練習を支援するSkate Jump Board

          ラップバトル対話システム

          三林 亮太(みばやし りょうた)  ラップバトルとは,ラップミュージックのスタイルの1つであり,複数のラッパーが相互に技術や表現力を競い合う音楽的な対決の形式である.通常,複数の参加者が交互にラップを披露し,その内容やフロー,リズム感などが審査や観客の評価の対象となる.ラップバトルでは即興性が求められ,参加者はリアルタイムで自身のラップを構築し,相手に対して効果的なフロー(リズム)とライム(韻)を踏んだアンサー(返答)を用いて応戦する.競技としてのラップバトルは,審査員やオ

          抜かない型の設計支援ツールKatalystによるものづくりの自在化

          皆川 達也(みながわ たつや)  型成型技術は大量・安価に成形品の生産が可能であり,材料選択の自由度も高いため,日常的に使うプラスチックや金属,シリコンなどでできた数多くの製品の製造に用いられている.しかし,成形品は型から抜けなければならないという強い製造上の制約を持つ.皆川さんは,これまで型成形では難しいとされていたカタチを成形できる型を生成するための設計支援ツール「Katalyst」を開発し,実際に Katalyst が生成した型で型成形を行った.この設計ツールの名前に

          抜かない型の設計支援ツールKatalystによるものづくりの自在化

          翻訳IME「Konjac」とInput Method抽象化レイヤ

          竹村 太希(たけむら ひろき)  竹村さんは大学のゼミのSlackで英語話者とリアルタイムにコミュニケーションをする必要に迫られ,キーボードから日本語をひらがなで入力し,適切な漢字かな交じり文を選択すると,翻訳された英文を入力する翻訳IME「Konjac」を開発した.機械翻訳をIME(Input Method Editor)というインタフェースで提供することで,ユーザはどんなアプリケーションでも煩わしさを感じることなく自然に外国語を入力できるようになる.この翻訳IMEの開発

          翻訳IME「Konjac」とInput Method抽象化レイヤ