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「余計なことを話す」のが英語!”一発で仕留めようとしない”のがテレビ会議での英会話のコツ!ITエンジニアのための英語術 パート❷

英会話を勉強している人のなかでダントツに多い悩みは「世間話というのがどうも苦手」ということです。仕事や授業などで何か特定のトピックについて議論する場合はそれなりについていけても、友人やクラスメイトと二人きりでたわいもない話をする場合、うまく英語が話せないという悩みを持つ方は多いと思います。

日本人は「空気を読む」のが得意で、逆にその”空気”がないと話ができません。”空気”というのは相手と自分の”関係”です。つまり、自分が年上なのか年下なのか、仕事での共通点あるいは相違点は何か、相手の社会的な地位など、とにかく相手と自分の関係をはっきりさせないと何も話ができないということがあるのではないでしょうか。だからこそ、ビジネスではまず名刺を交換し、学生の場合は相手の学校や年次、バイトの情報などをまずは聞く。その上で話が進みます。これが「空気を読む」という行為です。

でも英語での会話は自分が思っている以上に「自由度」があるということを理解してください。端的に言えば、何を話しても構わないということです。日本人の傾向として、「聞かれた質問には一発で回答するべし」という考えがあるかもしれませんが、もっとスタンスを広くして自由に発言してもよい、というより「そうすべきだ」と考えてください。

この考えを理解しておかないと英語でのテレビ会議・オンライン会議での議論にうまく乗っていくことはできません。

"Think out loud"を実践する!

具体的な話で説明します。

前回同様、こんな簡単な質問に答えてみてください。

「昨日の晩御飯は何を食べましたか?」

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「昨日は焼き鳥を食べました」
I had.....

昨日は何を食べたか聞かれたのだから「食べたもの」を答えるのが正しいと思うでしょう。でもここで「焼き鳥って英語でなんて言うんだっけ?」と詰まったらどうしますか?「chickenじゃ単純すぎるし、roasted chickenじゃ鳥の丸焼きみたいだし、なんだろう…」などと考えているうちに時間が過ぎていきます。パート1で解説した「動詞ドリブン」でI had ... までは言えたものの、そこでストップです。

「昨日の晩御飯」にはもうちょっと複雑な”ストーリー”があるはずです。例えば、「昨日は仕事が長引いて残業し、その後同僚と夕食に行ったな。ネットで店を探してからレストラン街に行ったけど、結局焼き鳥屋に入っておいしいつくねを食べたんだっけ…」のような状況を思い出すはずです。

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「何食べた?」と聞かれているので、仕事がどうだったとか、ネットで探したとか、そんな余計な事を話してどうするの?と思うでしょうが、それでOKなのです。質問や議論に常に”一発回答”できればよいのですが、実際はそう簡単ではありません。複雑なトピックになるほど、「話しながら考える」(英語ではthink out loudと言います)というのがとても重要になってきます。これをしないで一発で仕留めることだけ考えていると口数がグンと減ってしまう結果になるのです。

余計なことを話すから「話せること」が見つかる!

「話せないんだから、”話しながら考える”なんてできるわけない」と思った方。実際は逆なんです。考えながら話さないと、話せることが見つからないのです。

もっと具体的に説明します。

昨日の晩御飯に至る風景を思い出しながら、次のような細切れの事実をリストして、その中からどれが英語でパッと話せるか考ええてみてください。

● 残業をした
● 同僚と夕食をたべることにした
● ネットで店を探した
● レストラン街に行った
● 焼き鳥屋を見つけて
● 焼き鳥を食べた
● おいしかった

細切れにして考えると自分でも話せることが出てくるはずです。

● 「昨日は残業した」⇒ I worked late (or overtime) yesterday.
● 「同僚と夕食することに」⇒  We decided to have dinner together.
● 「ネットで探した」⇒ We searched a restaurant online.
● 「レストラン街に行った」⇒ We went down to a restaurant area.

「焼き鳥」に詰まってアー、アーと言っているよりも、「焼き鳥を食べた」と言う時点までで次のように話ができます。

Yesterday? I worked late and decided to go out for dinner with my coworker. We searched a restaurant online and went down to a restaurant area... 

こんな簡単な英語でもって相手に晩御飯の”ストーリー”を伝えることができています。繰り返しますが「何を食べたか聞かれているので、残業がどうのこうのとか余計じゃないの?」と考えるのを改めてほしいのです。実際のオンライン会議などでの議論も実に余計な発言がいっぱいです多くの人がthink out loudを実践しているからです。会議の参加者が英語をペラペラと話しているのを聞いて単純に圧倒されてはいけないということをしっかりと理解してください。

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英語は”ライフル”ではなく”散弾銃”で仕留める!

上記の例でレストラン街に行ったところまで話している間に「焼き鳥をどう表現するか」を考えます。結論から言うとそこに単純な正解はありません。形を表現するならchicken skewers(鳥の串刺し)でしょうし、調理方法にこだわるならroasted chickenでしょう。本当の串鳥を見たことがない人にはどう説明してもわからないので、Yakitori chickenでも十分です。相手にとってそのディテール(詳細)が重要ではないなら、「単語は何だ」と悩むことは意味がありませんよね。

それよりも、「晩御飯のストーリー」を話すアプローチでは簡単な英語で晩御飯がどんな状況だったかをきちんと伝えることができます。しかもしっかりと英語を話しているではありませんか!

Yesterday? I worked late, so I decided to go out for dinner with my coworker. We searched a restaurant online and wend down to a restaurant area. But we walked into a Yakitori house we found there and had Yakitori, chicken skewers. They were really good!

繰り返しますが、英語を話すというのはスナイパーのようにライフルでもって一発で仕留めるイメージよりも、散弾銃でドバーっと打つイメージを持ってください。

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頭の中にいっぱい付箋を貼ろう!

具体的な例でもう少し「余計なことを話す」コツを考えていきます。次の質問に答えてみてください

「来年コロナが収まったらどこに旅行に行きたい?」

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ここでピンポイントでどこに行きたいかという答えを考えるのではなく、そこにまつわるポイントをいくつも考えてください。イメージとしては「話せそうなポイント」を付箋にして壁にペタペタ貼っていくような感じです。

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例えば頭の中でこんなことを考えたとします。

「行きたいところは台湾!去年たまたま孤独のグルメを見ていて台湾の夜市の屋台が出てきて、そこの麺類がめっちゃおいしそうだった。だからずっと行きたいと思っていたんだけどコロナでおあずけ。だからコロナ開けはまず台湾に行ってみたい」

これを一気に英語にして言おうとしたらフリーズ状態になります。なので、ここから細切れでポイントを並べます。

● 去年テレビで台湾の夜市を見た
● そこでの食べ物がおいしそうだった
● 今年行こうと思ったけどコロナで断念
● だからまずは台湾に行ってみたい

ここでのコツは、付箋でポイントを考える時に、話を単純化させることです。例えば「孤独のグルメで見た」とかのディテールはどうでもよいでしょう。「テレビで見た」で十分ですよね。麺類とかもfoodでOKです。そうすると「話せる付箋」が見つかってきませんか?

● I saw Taiwan night markets on TV. 
● Food looked really good!
● I was going to go there this year but gave it up because of Corona. 
● So, I want to go to Taiwan 

もし「昨年行こうと思っていた…」が複雑ならその付箋はパスしてください。

I saw Taiwan night markets on TV last year. Food there looked really good. So, I want to go to Taiwan. 

これでも十分。簡潔に台湾に行きたい理由を伝えています。しかも超簡単な英語だけです。

文法を気にしているとthink out loudはできない!

英語をスピーディに話せない理由には完全な英語を話そうとしすぎているというのもあります。拙著『ITエンジニアが覚えておきたい英語動詞30』でも詳しく解説しましたが、ITの現場には様々な国籍の人がいます。言ってみればほとんどの人が”外人”です。もちろんきちんとした英語を話す人はいっぱいいますが、不完全な英語を話す人も大勢います。現場で重要なのは「英語をどう話すか」ではなく、「英語で何を話すか」なのです。そこで英語の不完全さに臆して英語を話さないというのは全く意味のない行為だということをよく理解してください。

付箋で細切れにしてそこから話せる英語を見つけていくアプローチだと文法的なプレッシャーも自然と緩くなります。パート❶で説明しましたが、「長くて複雑な日本語を一気に英訳して、それをドバーっと話す」ようなアプローチから早く脱却してください。それを心がけるだけで、単語やフレーズなど覚えなくても、今の英語の知識でコミュニケーション力をアップさせることは十分にできるのです。


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