短編小説 私の人生を救った音楽家 〜ステルス・メジャー 平沢進〜

 私が人生に苦しんでいた時、周りに弱音を吐けなかった。人嫌いであるが故に、人に頼るつもりが毛頭なかったのだ。何度も自死を考えて、社会への絶望に打ちひしがれていた。

 そんな時に、ふとYouTube上を漂っていた時に見かけたのが、P-MODELの平沢進であった。聴いた楽曲は、庭師king。壮大なメロディに、伸びやかな声質が乗り、まるで自分自身が現実から乖離したような感覚を得た。

 それ以来、彼が作曲した曲を聴きあさり、一気に彼の世界観に惹かれていった。そうしているうちに、私は生きる理由を見つけたのだ。

 直接会って、話をしたいと本気で思ったのだ。

 そのために、私は生きている。志半ばで倒れることなどないように、しっかりと毎日を生きている。

 いつか、同じステージに立てれば、それは素晴らしいことだろうと思いながら。

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