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勝負論

⭐️⭐️⭐️⭐️
(星の数でこの記事のオススメ度を
5段階で評価しています)

今回のタイトルは
「勝負論」

そう書いてしまったが
内容は皆さんが想像しているのとは
少し違うかもしれない。

完全な「勝負論」
僕じゃなく
野村監督とかが書くべきだろう。

今日僕が書くのは
「勝負論」というよりは
「僕が幼い頃に感じた勝負論」
というか

もう少し詳しく書くと
「子供と大人が勝負する時
大人はわざと負けるべきか
手を抜かず勝ちにいくべきか」

という話である。



僕が小学校2年生の時、
校内の遊具で遊んでいると
あやまって
高いところから落ちてしまい、

眼窩底骨折という
プロボクサーしかほぼならない
怪我をしてしまった。

外でしばらく遊べなくなった僕は
将棋を覚える事にした。

その時の担任の先生が
プロ並みに将棋が上手く
皆に教えていたからだ。

僕もすぐに覚えた。

その当時の担任はよくプロ棋士がやる
1対複数人で
同時に対局を行うやつ
(あれの名前わからん)

を休み時間に行っていた。

僕たちが小2ということもあってか
まず勝てない。

初心者の先生なら
勝てたかもしれないが
先生も上級者だ。

絶対に勝てない。

そんな日々が続いていた。


しばらくして
あることが判明した。

僕の
父、
父の弟である叔父、
父の父である祖父、
母の姉の子であるいとこのお兄ちゃん

計4名の親戚が将棋を打てるということが
判明したのだ。

なるほど

これは当分遊べるぞ。

僕は家族との
数々の対戦を楽しみにしていた。

まず1人目
父親

将棋盤や駒を百均で買い、
実家のリビングで対局開始

父親は対戦前に

「お前勝ったら500円やるわ」

と僕に宣言した。
(賭博ではない)

500円というのは
小2にとってはかなりの大金である。
(賭博ではない。単なるお小遣い)

僕は全力で挑んだ。

そして序盤で気づいた。

「パパ弱いな」

小2でも気づくのだから相当弱いのだろう。


序盤で
かなりの戦力である
「角」と「金」
を奪った僕は20分ほどで勝利を収めた。



「ほな次3000円でいこか」

父親が言った。

まさかの再戦!?

しかも6倍???

普通倍とかやろ!
ええの?

僕はそう思ったが
小2にとっては思いもよらぬ
チャンスだ。

3000円?

お年玉やん。



2戦目スタート

まさかの父親
全く同じ作戦
僕小2ボロ勝ち

え?
なんでそんな弱いの?

2戦目も20分ほどで終わった。

僕小2にして
時給3000円以上達成

23歳の僕より小2の僕の方が時給が高い。


その日からの僕は
家族3人が
リビングに集う時でも

母親と
僕と
将棋弱いやつ

という認識で生活する事になった。


数日後

いとこ3人と
母の姉である伯母が家に遊びにきた。

早速
いとこのお兄ちゃんに勝負を挑んだ。

前より時間はかかったが
なんとか勝つことができた。



ただ僕は前よりも嬉しくはなかった。



何か違和感が残る。

お兄ちゃんは本当に
実力で負けたのだろうか


本当にそうか?

自分自身に問いかける。

いや、そんなわけはない。

僕のいとこのお兄ちゃんが
賢いという事は家族の中でも
有名だった。

この頃はまだ入学すらしていないが

彼は数年後、東京大学を卒業する程の頭脳の持ち主なのだ。


もしかしたらわざと負けたのではないか。




数日後
叔父が家にきた。

この記事でもお馴染みのあの叔父だ。

「壱歩、将棋覚えたらしいなぁ〜」

言ってきた。

僕はこれを完全なる
宣戦布告と捉えた。



対局開始

あっけなく負けた。



嘘だろ?
(驚きのあまり標準語)

この時の叔父のドヤ顔を
僕は忘れる事はないだろう。

負けが受け入れられない。

「将棋教えてや」

この日から
僕と叔父の将棋教室がはじまった。


それからまた数日後

僕の実家の特殊な性質上
奇妙な出来事が起こった。

僕の叔父と
いとこのお兄ちゃんが
僕の実家に集ったのである。

これは通常あまりない景色である。


なぜなら
僕の叔父は父の弟であり
僕のいとこのお兄ちゃんは
母の姉の子供だからだ。

僕の周りの謎の将棋ブームにより
2人の対戦がはじまった。

これは熱すぎる。

今までの僕の中の
モヤモヤしたものが
全て解決する気がする。

対局がはじまった。

この2人の勝負は
2時間以上におよび
壮絶なものだった。



結果
いとこのお兄ちゃん win
叔父        lose



え???

どういう事?????

僕の頭の中は
?で一杯だった。

どういう事?

僕がいとこに勝って
僕が叔父に負けて
いとこが叔父に勝った

なにこれ

じゃんけん?

この時の叔父の
負けた顔を僕は
忘れる事はないだろう

いとこのお兄ちゃんは
無表情だった。

飄々としていた。

しかし
小2といえども
このカラクリに
誤魔化されるような僕ではない。

僕はツッコミだ。
おかしい事には
はやめに気がつかないといけない。

いとこ家族は
家に帰ろうと支度を始めた。


いとこのお兄ちゃんの表情は
僕との対戦と
叔父との対戦で全く違う物だった。



やはりいとこが最強なのだろうか。



その後さらに驚くべき展開が起こる。

さっき説明しておくべきだったが
僕の実家は
1階と2階が父の経営する会社、
3階が僕と父と母が生活をする
スペースという構造になっている。

この会社では
父、母
父方の祖父、祖母
母方の伯母(この話のいとこのお兄ちゃんの母)
などが働いており

今負けた
父方の叔父も関連した会社で
働いているのだ。

そのような特殊な状況から生まれた
この対戦だったが

更に熱い対戦がはじまる。

ふらっと祖父がこの場に
現れたのだ。

「強いらしいなぁ。
1回やろか。」

帰ろうとしているのを完全に無視し
宣戦布告

まさかの対戦

父方の祖父
vs
いとこのお兄ちゃん
(母の姉の息子)

偶然が偶然を呼んだ
この世紀の対戦

普通ならば
実現しないだろう。

対局開始

前回の対戦を
凌ぐ熱い戦いがはじまった。


結果
いとこのお兄ちゃん lose
父方の祖父      win


もはやなにが起こっているのか
わからない。

結局おじいちゃんが一番強いのか?



いとこは複雑な表情を浮かべていた。

何か無念といったような

家族を守るために自分の信念をねじ曲げて
犯罪に手を染める男のような

やりたくないことを
無理やりやらされている感じが
滲み出ていた。




数年後

僕も大きくなり
いとこのお兄ちゃんは
東大に入った。

僕はその時思った

いやいや、やっぱり
めちゃくちゃ賢いやん

その後
お互いある程度大きくなった状態の
僕たちが会った時
いとこのお兄ちゃんから
衝撃的な発言を聞いた。

「昔ポケモンの
カードゲームした時あったやろ?」

確かに
そんなことが小2より前の
もっと小さい頃にあった。

「大体いつも壱歩が勝ってたやん?」

確かに
大体というか全勝だった。

「あれいつもわざと負けてたんよ。
だから将棋もわざとやで」



やっぱり

僕の長年の疑問が解決した気がした。

いとこのお兄ちゃんは
その後囲碁部に入り
全国大会に進んだ。

(将棋ちゃうんかい)

将棋において
本当に誰が一番強いのか
今対戦したら誰が勝つのか

それはわからない。

ただわかったことがある。

僕は本当に小さい頃、
家族や目上の人との
勝負の時
ほとんど負けたことがなかった。

もちろんほとんど
わざと負けてもらっていたのだろうが
これは僕の人格形成において
非常に良い効果をもたらしていると思う。

なぜなら
僕は今色んな勝負事において
まず
負ける気がしない

まあ勝てるやろ
というポジティブな考え方が
できている。

この思考は
小さい頃の周りの人間が
負けてくれたからに
他ならない。

明後日
僕たちフリックフラックは
Mー1の一回戦を迎える。

ライブなどがどんどん
延期や中止になっている状況の中、
通過基準は高くなり
突破できるかどうかは
正直わからない。

なんの収穫もなく
負ける気はしないが
不安もたくさんある。

結果は全くわからない。

ただ一つ
定かであることがある。


僕の父親は
将棋が弱い。

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