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それホンマに大事やった?

⭐️⭐️
(星の数でこの記事のオススメ度を
5段階で評価しています)



僕は人生の中で
釣りというものに行ったことが
ほとんどない。


おそらく2、3回


2、3回しかないのにも関わらず
ハッキリ覚えていないということは
本当に記憶が曖昧かつ
昔すぎるのだろう。


そもそも釣り自体が
あまり好きではないのかもしれない。


その数回の中でも唯一ハッキリ覚えている
思い出がある。


この思い出が
僕を釣りから遠ざけた要因になっているの
かもしれない。





小学校低学年の頃、
なぜかは分からないが
父と2人で白浜方面に
出掛けたことがあった。


僕の父は釣りが好きで
会社仲間などと定期的に行っていた。



それにたまにはついて行きたいと
思ったのかもしれない。



父の車に乗り、2人きり
2時間程かけて目的地に着いた。



準備をする。



僕はその時確か8歳くらい


釣りのことなど全く知らない。



なので最初は
父の釣り姿をただただ見ていた。


正直全然楽しそうには見えなかった。


「楽しい?」


思わず聞いてしまった。


「あのな、釣りっていうのは
ほとんどの時間が楽しくない時間やねん
魚が釣れるまでただただ待つねん。
でもこの時間が大事やねん。」




そんなことを言われても
理解できるはずがない。


8歳は楽しい時間にしか興味がない。


過程などどうでもいい。


しばらく父の釣り姿を観察するだけの
時間が続いた。



一向に釣れない。



父は釣りが下手なことは
幼い僕でもなんとなく分かっていた。


家に持って帰ってくる
魚の量が
力量を物語っていたのだ。



「釣れへんなぁ」



どちらかが言った。



「1回やってみていい?」



ついに僕が動いた。


なにか流れが変わるかもしれないと
勝手に感じたからだ。


「ええよ。」


許可を得たが僕は餌を取り付ける作業などは
全くしたく無かったので

普通に釣れる状態まで
父に用意をしてもらい、
生まれて初めて釣り竿を握った。


釣竿の先端にはルアーがついていた。


細かくは覚えていないが
100均とかでも簡単に買えるような
ちゃちいやつだったと思う。



「ん?なんか今ちょっと動いた気がする。」


手に微かな震えを感じた。


「なんやこれ」


父に釣竿を渡し、
ここからの作業を再び任せることにした。


父が釣竿を引き上げる。


「あれ?ルアーは?」


さっき釣竿を投げる前、
確実についていたルアーが無くなっている。


「ないやん!ルアー
ルアーどこ行ったん?」




人生で一番ルアーと言った日



「あーどっか行ってもうたなぁ。」


「え、どこ行ったん?」


「多分底とかに引っ掛かったんやろ」




この時の父の顔は
今でも鮮明に覚えている。


まるで親の形見を無くした時のような
そんな哀愁漂う横顔を
大きな建物などに遮られることのない
綺麗な夕日が照らしていた。


申し訳ないことをしてしまった。


当時の髙橋壱歩少年は思った。



しかし、今冷静に考えるとどうだろう。


それホンマにそんな大事か?



なんの思い出もないやろ
そんなルアーに



なんでそんな悲しそうな顔してん!



トラウマなるわ



これが僕が唯一ハッキリ覚えている
釣りの思い出である。


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