見出し画像

行政、議員、事業者、教育関係者 様々なステークホルダーと語らう防災の夕べ | 風水害24 (後編)

2021年8月30日。防災週間の始まりに『風水害24』というコンテンツを縁に集まった多様な立場の人々と、オンラインで防災について語り合う「防災の夕べ」を実施しました。
後編となる今回は、全国各地、多様なステークホルダーの皆さんにお集まりいただいたトークセッション「体験ゲーム+α必要なこと」の様子をお届けします。
(モデレーター:小菅 隆太 issue+design)

前編 | プログラム開発の背景と、行政の課題解決におけるデザインはこちら

中編 | キートーク「防災への備え」はこちら

スクリーンショット 2021-09-23 10.38.43

ゲームという非日常から学ぶ

笹本
キートークでもお話しましたが、「ゲームだからこそ」学べることがあるのではないかと思っています。普段、真面目に勉強する時には「誰かが死ぬ」「地域住民を置いてきぼりにしてしまう」といったことはなかなか言葉にしづらいですが、ゲームの中だからこそ「私が死んでしまったのはこういう理由で、今後はここに気をつけよう」という話がしやすくなる側面があると感じています。

ゲームに没入して学んだことを改めて日常につなげて考えてもらうこと、学びをそこで終わらせず、それぞれのご自宅に持って帰ってご家族と分かち合っていただくことが大切だなと思っています。
ゲームに参加した6歳のお子さんが、一緒に参加したお父さんに「僕たちは災害が起きたらどこにいくの?」と質問し家族の学びが深まったという声も。ゲームをやったらおしまい。ではなく、その先に何があるの?ということを考えられる提案を心がけています。

神田
ゲームはゲームなんですよね。そのあといかに現実の世界と紐づけられるか?が重要と感じています。
中学校では、ゲーム体験後に防災タイムラインをみんなで作ってみる、ハザードマップを手に実際に地域を歩くなどの活動をしています。
子ども達の「温暖化が心配」という声を起点に、まずは体験会を開催してみる。そこで出てきた「ハザードマップを見てみよう」など子どもたち自身の課題感を学びにつなげていくことを意識していますね。
ゲームでの学びをそこで終わらせず、地域を歩くなど実際の行動につなげること、それでもわからないことは専門家に聞いてみるなどをしながら、住まう地域と結びつけて学びを深めていけるプロセスを大切にしています。

ご家族、地域の人とハザードマップの確認を

重田
キートークでもお話したように、飛騨市は地域の防災力を高めることを重要視しています。地域のつながりの強さを生かした防災対策として、自治会単位で動く場合のキーマンが区長さんになるんですね。この区長さんたちにゲームを体験いただき、自分たちの地域に何が必要なのか?を考える機会にできればと思っています。
小さいお子さんを含め多様な年代の方に防災訓練にご参加いただき、ゆくゆく自分たちがおじいちゃんになる頃には、地域に防災という考え方が当たり前に根付いている、という姿を目指したいですね。

篠田
このゲーム体験を、ハザードマップをみんなで一緒に見る機会として活用して欲しいですね。
実際に風水害が起こってしまうと、その時には既になす術がない状態になっていることも多いです。平時からハザードマップを確認すること、そして周囲の人と一緒に見るということが大切と思っています。

長野
島根県の人々は、出雲大社、中国山脈に守られているという認識の方も多いんですね。実際に台風がやってきても被害が大きくならないことも多いのですが、その時に被害が自分の周りに起きないと自分ごとにならない、ではなく具体的にハザードマップを開いて危険度の確認をするなど、行動に移すことが大切と思っているので、ゲームを体験いただく時にはその場でハザードマップをお渡しすることにしています。

ーありがとうございます。みなさんのお話を受けて、共同主催の本田さんからもぜひコメントがあればお聞かせください。

本田
どんどん身近になってきている風水害をどう自分ごとにしてもらうか?というのは重要な問いだなと思っています。

神戸市では震災から10年というタイミングで、おもちゃ交換と防災の訓練を組み合わせた「イザ!カエルキャラバン!」を実施しました。
防災訓練に出席して、独自の子ども通貨カエルポイントを集め、好きなおもちゃを交換してもらうという仕組みなんですが、当時3歳の長女が色々と体験について語ってくれ、「3歳の子どもでもこんなにたくさんのことを感じ取ってくれるのか」と驚きました。

ゲームというデザインがプラスされることで、本気になって教訓を得られるという良さがあるなと感じています。親が子どもに勉強しろと一所懸命に伝えてもしないんですけどね(笑)「やりたい」と思って自ら熱中して取り組めることが大切だなと思います。

風水害24は自分も体験会に参加したんですが見事に死んでしまいまして・・そこでやっと「あっ、テレビの人と同じことやってる」と気づいたんですね。体感できたからこそ得られる気づき。というものがあると思うので、その体験する入り口をどう作っていくか?が重要だなと皆さんのお話を伺って改めて感じましたね。

自宅で台風接近時の24時間の行動をシミュレーション

小菅
風水害24というゲームは、おかげさまで全国各地で開催されています。しかし、まだまだ実施されていない地域があったり、そもそも様々な事情からイベントに参加すること自体が難しいという方も大勢いらっしゃるかと思います。
自分自身で考えて選択をする重要性、をもっと多くの方にお届けしたいという思いで、この度神戸市さんと共同でインターネット上でこの世界観を体験できるWEBサイトをオープンしました。

佐藤
巨大台風が接近している、というニュースを耳にしたとき、「ニュースで情報を確認する」「避難所を確認する」「家で過ごせるように備品を揃える」などいろんな選択肢があると思うんですよね。
ここにはその時の天候やタイミングといった要素も絡んでくるので、刻一刻と迫ってくる台風とその状況変化に応じて、今どんな行動が必要なのか?を考えてみる、確認してみる機会にしてもらえたら嬉しいです。

本田
通常、動画というのは一方向で視聴するものになってしまいがちなんですが、今回は選択肢(行動)次第で未来が変わるというマルチエンディングムービーの形式を採用しています。映像を見ながら行動を選択していくことで、自身の避難行動について考えられるというのは新しい視聴体験になると思います。

動画を制作しようと思った一つの理由に、実際のゲーム体験への動線を一つでも増やしたいというのもありました。まずは気づきのきっかけとして気軽にWEBムービーで体験をしていただき、そこで関心を持たれた方がさらに学びや気づきを深めたいと思った時に対面での体験会に参加。ハザードマップを読むなどの実際の行動につなげてもらえたら嬉しいなと思います。

ーありがとうございました。
名残惜しいところですが、本日のイベントはこれにて結びとなります。
今後も風水害24プロジェクトの取り組みにご期待ください!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?