「春夜」より「春あけぼの」が清々しく未来を感じさせる
二十四節気では立春が過ぎて、雨水、啓蟄、そして春分と続く。春分の頃ともなれば桜が見ごろである。今年は少々早く見ごろを迎えるようだ。ライトアップに照らされ桜の下では賑やかなシーンが目に浮かぶ。
清少納言は「枕の草子」のなかで、四季の、それぞれの特徴を一言で表している。春なら「あけぼの」、夏は「夜」、秋は「夕暮れ」、そして冬は「早朝」というように。春の夜明けは確かに美しいものである。
一方、中国北宋の政治家で文人でもあった蘇軾(そしょく)は、春といえば「夜」としている。春の夜は、ひとときでも千金の値があると思えるほどすばらしい、という想いを「春夜(しゅんや)」という詩で綴っている。もの悲しい季節として春の宵を「寂寂」とした情感を醸し出す内容にしている。
それが、ご存知この詩である。
春宵一刻値千金
花有清香月有陰
歌管樓臺聲細細
鞦韆院落夜沈沈
春の夜は、ひとときでも千金に値するほどすばらしい
花は清らかに香り、月はおぼろにかすんでいる
歌声や楽器の音が鳴り響いていた楼閣も、今はかすかに聞こえるばかり
ぶらんこのある中庭では、夜が静かにふけてゆく
春の夜は、管弦を聴き花や月を愛でていると寂寂なる感情が湧き出てくる。それが春の宵の千金なのかもしれない。
もうすぐ桜の季節、枝に蕾が芽吹き春の訪れを知らせてくれる。満開ともなれば陽射しに照らされ、新しい門出を祝うかのようにキラキラと耀く。
春夜のように月はおぼろにかすみ管弦を聴きながらふけてゆくのも情感あふれるが、日本ではやはり、枕草子の春はあけぼのがいいように思うが・・・さて、いかがなものか。
トップの写真は、「朝陽にてらされる尾道水道 」(写真/栗山主税)
リポート/ 渡邉雄二
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