5歳息子が突然「お母さん、いつもありがとう」と言った理由は
在宅仕事の日は、自転車で5歳息子をお迎えに行く。
息子は大抵、自転車には乗らず、走りたがる。なので、走る息子を自転車で追いかける。一見、不思議な構図。
笑顔でダッシュ・ダッシュ。弾丸ライナーのように走る息子。
その後ろを「もっと端っこ寄って~!車来るで~!」なんて言いながら、追いかける私。
後半になってくると、ペースダウンをして、息子は歩き始める。
そうすると「今日は保育園何があったん~?」なんて言いながら、ゆっくりと並走するのだ。
そんな、とある日の保育園からの帰り道。
ダッシュの後、歩き始めた息子が突然、私の方を見てこう言った。
「お母さん~。いつもありがとう~!」
えへへと照れ笑いしながら。夕日に少し照らされながら。
え。何ですか。突然。
と……尊い……!
なんという破壊力。心のシャッターを連打したいさせてくれ。何なんですか、可愛すぎるんですけど。天使が舞い降りたんか。(親バカの極み)
「え、え~~!どうしたん急に?なんで?」
トキメク鼓動を押さえながら、息子に問いかける。
「なんか~園長先生がお母さん・お父さんにちゃんとありがとうって伝えないとあかんでっていう話をしてくれてん」
「あ~そうなんや。さすが園長先生やなぁ」
「いつもご飯作ってくれて。お仕事も頑張ってくれて……ありがとう!」
またしても照れた顔で伝えてくれる。おいおい、こちらこそありがとうだぜ。毎日駆け抜けている自分が報われるぜ。
我が子が通う保育園の園長先生は子どもを子ども扱いせず、一人の人間として接してくれる。そして、いつも大切なことを教えてくれている。感謝しても感謝しきれないくらいなのだ。
帰り道に突然、息子から感謝の言葉をもらえた。心が一気に温かくなる。
2人でニコニコ(私はニヤニヤ)笑いながら、家路についた。
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そして、その日の夜、お風呂に時間に息子が話し始めた。
「“ありがとう”の反対はなんやと思う?」
ありがとうの反対?
「え~なんやろ~」
「“ありがとう”の反対はな、“当たり前”なんやで」
息子の言葉にハッとする。確かにそうだ。
「園長先生がな~そう言っててん。当たり前なことなんて何もないんやでって」
「ああ~。確かに。そうやなぁ」
「お母さんがいてくれることも、当たり前じゃない。ちゃんと“ありがとう”を伝えないといけない」
「本当にそうやな~。うん、ほんまそう。〇〇〇(息子)は先生のお話をちゃんと聞いて、覚えていてすごいなぁ。“ありがとう”はちゃんと伝えないといけないやんね。お母さんも忘れる時あるからなぁ……」
そう伝えると、息子は満足したように頷いていた。
園長先生は5人の子どもの母親(数名は独立している)だ。さらに、里親制度にも登録しているそうで、家庭で過ごすことができない子どもを一時的に預かったりもしている。
だからこそ、思うところがあって、子どもたちに伝えてくれているんだろう。
小さいから、まだわからないかな?伝わらないかな?そう思ってしまうことがある。
しかし、同じ目線で、心から話す言葉はしっかり子どもの中に入っていくんだなぁ。
園長先生のことも、先生たちのことも心から信頼できて、娘も息子も本当にこの保育園に通わせて良かったなぁと思っている。
素晴らしい園なんだよ!ということを、ここで主張したい訳ではない。
何が良いと感じるかは人それぞれ違うから。ただ、そう思える園に出会えたことが、幸運だと感じているのだ。
今8歳になる娘の中にも、園長先生が伝えてくれた言葉がちゃんと残ってるなぁと見てとれる瞬間がいくつもある。
息子の中にも、そうやってずっと残っていったら良いな。
「ありがとう」はちゃんと伝えよう。
「ありがとう」の反対は「当たり前」。
「当たり前」のことなんて、何もない。
私だってついつい忘れてしまう。忘れないでいたいから、定期的に読み返そうと思って、書いてみました。
何かができるようになるよりも、きっと、もっと大切なこと。
……いやはや、保育園が大好きすぎて、息子が後1年半弱しか通えないと思うと、今からすでに泣きそうな私です。ああ、寂しくて震える。
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