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子どもの宿題に「おもしろい方が良い」を持ち込む親

“お母さんがギャーッと叫んでいておもしろかったです”って書いても良い?」

ある日、娘が宿題の日記を書きながら、そう質問をしてきた。


一体どういうことなのか、少し説明しよう。

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この日、友人家族と一緒に能勢にある『冒険の森』へ行った。


「大きめのアスレチックかな?」くらいの認識で、友人に誘われ予約もしてもらい当日現地に着いた。受付を済ませたくらいから、「ん?これはただのアスレチックではないな……」という気配を感じ始めた。

5歳110㎝から体験できるというチャレンジコースに、5歳になったばかりの息子と8歳娘と夫、そして私、友人家族で挑むことに。

高いところが苦手な私。そのコースを見て1番びびっているのは、間違いなく私だった。

森の中、結構な高さ(マンションの3階くらい?)にさまざまなコースが設定され、そこに果敢にチャレンジしていく我が子たち。5歳の息子も頭と身体を使ってぐんぐん進んでいて感心させられた。


そのコースの中にジップライン(※)が3カ所ほどあった。(※)渡されたワイヤーロープを滑車にて滑り降りる遊び

その1ヵ所目を滑る時、びびった私は思わず「ギャー!」と叫びながら降りていったのだ。


そのことを娘は言っている。

我が名誉のために言っておくと、1回目でどういうものかわかったので、2・3回目は楽しむ余裕もちゃんとあった。高いところはすこぶる苦手なのだが、慣れると自分でクリアしていく楽しさが勝った。『冒険の森』は、子どもたちの雄姿を拝めたし、私も森の中で身体を動かせて、非常に満足度の高いものだった。

*****


少し説明が長くなった。

冒険の森でジップラインを滑り降りる私の様子がおもしろかったから、それを宿題の日記に書いて良いか?と娘は聞いている。


「日記に?…………うん、良いよ!」

「え?良いん?」

お母さんのことは書かんといてよ~とでも言うと思ったのか、娘は少し驚いているようにも見える。

「良いよ!いいやん、おもしろいやん」

「うん、わかった。…………う~ん。やっぱり、“お友達がキャーっと滑り降りていました”にしようかな……」

「え~!そこは“お母さんがギャー!”の方が絶対おもしろいって!おもしろい方が良いやん!」

はい、出ました。娘の宿題に「おもしろい方が良い」を持ち込む親。



これ、以前もやった記憶がある。

昨年夏、淡路島に旅行をした際、ホテルのプールにスライダーがついておりそれをエンドレスリピートで滑り続けていた我が子たち。そのこと出来事を、夏休みの宿題で絵日記に書いていた娘。

スライダーをたくさんすべってたのしかったです。


それを見て私はひっかかってしまった。

「ここ、“たくさん”じゃなくって具体的な回数にした方が良いで。もう50回くらいは滑ってたから、“スライダーを50回くらいすべりました”って書いたら?そっちの方が文章が活きてより伝わるし、おもしろいで」

それを聞いて、娘が書き直していたことを思い出す。

日記系の宿題を見ていると職業柄もあり、私の中の“大阪魂”がうずき始めるのだ。


ちなみに、文末が「おもしろかったです」やら「たのしかったです」で終わっているものも気になる。以前に1度、「そういうありきたりな表現じゃなくて、もっと感じたことをそのまま書いた方が良い。具体的に自分の言葉を使った方が響くから」みたいなことを言った記憶がある(少し難しかったかもしれない)。一度伝えたので、それ以降はあまり言わないようにはしている。

それでもやはり、「おもしろかったです」「たのしかったです」と日記が締められていることも多い。
それを見る度一言言いたくなるのを、「ぐぬぬ……」と堪えている。別に質問されている訳でもないし、あまり言ってしまうと自分で考えなくなるのも困るから、塩梅が難しい。自由に書く、というのも大切だと思うから難しい。


今回は、娘が自ら発信してきた“お母さんがギャー”だったので、全力で推させていただいた。

「おもしろいやん!」と言ったものの、そこまでおもしろいかは謎ではある。しかし、文章がキラリと光ったことは確かだ。

娘の宿題に全力で「おもしろい方が良い」を持ち込む親。それは私。これからもこの癖は治らないような、そんな気がしている。

#国語がすき

#子どもに教えられたこと

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