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星野源『兄弟』/この世からいなくなるということ

先日、私が源さんの10年来くらいのファンだという話をあげさせてもらいました。

最後に源さんのどこか好き?と聞かれた時、「源さんの書く歌詞が好きだ」と即答する、と。

今回は源さんの『兄弟』という曲の歌詞の話をしたいと思います。


源さんの昔のアルバム『ばかのうた』は、死生観について触れたような歌が、歌詞が非常に多いと感じる。

源さん沼にずぶずぶにはまっていていくきっかけになった『フィルム』に出会った時、私は父を亡くして間もなかった。優しくて不器用だった父。急に訪れた死だったので、全然消化できず、受け止めることもできず日々過ごしていたのだ。(正直今も受け止めたか?と言われるとそんなことはない)そんな中、『フィルム』は私の心に優しく染みた。

続いて聞いたアルバム『ばかのうた』の中で、『兄弟』という歌がある。この歌を聴いて、当時の私の心は少し軽くなった。何度も何度も繰り返し聴いて、心を落ち着かせようとしていたことを思い出す。

この歌は、生まれるはずだった、しかしそれが叶わなかった源さんの妹に向けた歌だそうだ。歌詞のこの部分。

もういない 気がつけばどこへ行っても    もういない 眠るしか 夢でしか       逢えないようにできている          逢えないようにできている

夢でしか逢えないようにできている。あぁそうか。そういう風にできているんだな、と何度も何度も言い聞かせていた。

決して暗い曲調ではなく、軽やかな歌なのだ。暖かな陽だまりを思わせるような曲。

源さんの歌詞には、ストーリーがある。それにいつも引き込まれる。

昔放送された佐野元春さんの『SONGS』に星野源が出演した時、佐野さんが源さんのことを「ストーリーテラー」だと表していた。(うる覚え)

共感しすぎて、首がもげるほど頷いた。

側にいるよ どんな時でも 淋しい夜も    ひどい朝も   悲しい日々も 苛立つ日々も 丸く収める 謎の兄弟

この世からいなくなるということは、夢でしか逢えなくなるということ。


どんな時でも側にいてくれるのであれば、父親は私が結婚して、2人の子どもが生まれたことももちろん知って見守ってくれてる、と信じることができる。

死は嘆くもの恐れるものではなく、誰しもにいつか訪れるもの。そういう風にできている。

この世に生まれなかった命に向けた源さんの歌詞に、父を亡くした当時の私は救われていたのだ。

今も大好きな歌です。

#思い出の曲


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