マガジンのカバー画像

浜通り滞在記

28
福島県浜通りにある富岡町に滞在し、インターンシップを行う学生のみなさんが書く滞在記です。
運営しているクリエイター

2024年2月の記事一覧

vol.01_好奇心と期待

3日前、初めて福島に上陸した。 大きな好奇心と期待を抱いて。 好奇心 今まで育ってきた地とは全く違う環境下で、 私はどうなるんだろう。 知らない人と関わり、見えない気持ちに触れて、 私はどうなるんだろう。 楽しむ? 嬉しむ? 悩む? 苦しむ? いずれにせよ、刺激を沢山うけて、自分の感情が揺さぶられるといいなって思う。 期待 私にとってこのインターンは挑戦だ。 自分の実力を試したいからだ。 「今まで学んできたことを活かしたい」 「どんな状況下でも楽しめる自分を信じ

【インターン記録.4】頭を抱える

わからなさ 切り取って、見せること、 切り取って、ことばにすること。 その暴力性に足がすくむ。 インターンを始めてもうすぐ2週間が経つ、かたちにすることってこんなに難しいのかと壁にぶつかる。 わからなさに向き合うことは時に楽しくて、時に苦しいような。 一度インターン先から関西に戻った。 関西にいる時、あまり空を見上げることはなかった。無性に、ふだんそこまで食べることのないチェーン店のドーナツが食べたくなって、1つ食べた。 得ようとしていなくても自分の目に飛び込んでく

富岡の砂を配達します

福島県の浜通り なので富岡町には海がある うん、それはみんな知っていると思う だけどね、砂が ここはすごい 知ってた? 砂時計のあの砂 粒が細かくて手のひらからこぼれ落ちる感じ それにね、どこまでも沈んでいっちゃうんじゃないかと思うほど抵抗感がまったくない すごく身体に馴染む だからあの砂になら沈んで行ってもいいと 身を委ねてしまう 常にポケットに入れておきたい それでずっと手を入れて触っておきたい 甲子園の球児が砂を持ち帰る気持ちが少し違う意味で  で

震災から未来へ

今更ながら、 インターンの初日へ戻る。 インターンに現地入りしたその日から、 富岡町から葛尾村へ。 2日間にわたり、アーティストさん、 デザイナーさんなどと双葉郡を巡る Nadegata Instant Party「Back to the Future」 ツアーに参加した。 アートデザインの世界に疎い私は、 自分の知識不足にどうしていいかわからず。 しかしこのような方々とここに来れたことは、 また違った見え方に繋がった。 いわゆる「被災地」と呼ばれる場所には、 私が

猫に

福島県の浜通り 私はここにいながら1週間前に会った彼女に想いを馳せている  それは猫 家にいるだろう猫 おそらくこたつに あのふわふわの毛並みを 窓を開けるとすんすんと匂いを嗅ぐしぐさを まるまってお腹が上下に動くさまを 爆睡していると聞こえるあの変な寝息を 私がここにいる間 彼女はひとりで寝るようになった 私がここにいる間 玄関の鍵の音に敏感になった 離れていながら 私が彼女に影響を与えているかと思うと ひどく嬉しい どうか  帰ってやらないんだから

富岡町散策 #2

【インターン記録.3】ここは道がまっすぐで

どこを見て歩くのか 右目の下にちょっとワイルドな傷ができた。 歩いて移動している時に、枝が引っかかってきて、目の下に小さな小さな、傷ができた。 道が直線だったから、ぜんぜん前を見ていなかった、かもしれない。荷物が重たいなとか、考えながら下を見ていたかもしれない。でも時々、空が綺麗だからと上を見たりもした。記録用にとスマホのカメラを通して、何かを見たりもした。 いつもどこをどうやって見て歩いてたんだろう。 ふと、そんなことも考えた。150cm弱の自分の視界から切り取るものと

富岡町散策 #1

富岡町を歩いてみた。 だんだん慣れてきたけれど、 まだ見慣れすぎてない今だからこそ、 気づくことがたくさんあったり。

富岡の風

福島県の浜通り 磯の匂いがまったくしない 柔らかくて冷たい海風 この風によって 電車がよく止まる 「今日の風は大丈夫だね」 「これよりさらに強かったら止まってたね」 「夜にこの風が吹いていたら富岡には着けなかったね」 何があろうと 常に富岡にふぶく風 身体感覚にのみ残る 富岡に住んでいる証 住んでいた証 今の私たちと 過去をつなぐ共通の感覚 私は1カ月の滞在で、この風に対する感覚を持ち帰ることができるのだろうか ここに来なければ、滞在しなければ分かるはずも

【インターン記録.2】出会う人々とことば。

意外と人がいる 富岡町に、双葉郡に来て2日たった。意外と人がいる。そう思った。それはあちこちに連れて行ってもらっているからかもしれないけれど、みんなそれぞれに生活を営んでいる。ここにいる理由が、ここにいなければいけない、あるいはここにいたい理由がそれぞれにあるのだと思う。 変な感想だけれど、率直にそう思った。 表現する、あらわされることば 出会う人々から、たくさんのお話をお聞きする。 ある人は、東京の育ちだけれど、こっちにボランティアや仕事で通って、 「なんか、他の土

【インターン記録.1】

note、はじめました 今回、福島県の浜通りでインターンをさせてもらうことになったので、これを機に、自己紹介よりも何よりも、先にインターン記録から始めてみちゃうことに。 いざ富岡へ 関西出身のため、新大阪→品川経由→富岡町という形でやってきた。 いよいよここで、インターンが始まるんだ NPO法人インビジブルで、1ヶ月インターン生として受け入れていただけることに。 インビジブルについてはこちらから↓ 富岡町に、福島県に来るきっかけとなったこのインターン。それもおいお

被災地の今と向き合う

東日本大震災から13年が経とうとしている今。 私は改めて震災と向き合おうとしている。 卒園式の少し前。 雪がちらついていたあの日。 帰り道、幼稚園バスが大きく揺れた。 地震?津波?全部の言葉がわからなかった。 ただ、すごく怖かった。 その程度の記憶しかない私も大学生になった。 そして初めて双葉郡に足を運んだ。 お店があるのに、開いていない。 家があるのに、人が住んでいない。 そんな世界を見て、言葉が出なかった。 でもそんな中で出会った人たちは、 ずっと前に進み続けて