「野田クリスタル」研究~コンテスト三冠の先にあるものとは?
2020年に「M-1グランプリ」にて優勝した、マヂカルラブリー。そのボケを担当しているのが、野田クリスタルさんです。この野田さん、実はかつて放送されていた『学校へ行こう!』に出演していました。高校1年生の時に「セールスコント」というコンビ名で出ており、同番組のファンだった人にとっては、野田クリスタルさんの活躍ぶりには胸に迫るものがあるのではないかと思います。
この野田さん、ゲームのプログラミングが大得意。そのスキルは、2020年の「R-1ぐらんぷり」で周知のものとなっています。個人的には、三角関数のエピソードが好きです。ゲームのプログラミングには三角関数が必要になるようですが、勉強が苦手な野田さんは三角関数について苦戦したそう。
三角関数をどうしても使いたくて挑戦はしたんですけど、だめでした(笑)。アクションゲームでのジャンプの軌道は三角関数を使うんです。僕にはさっぱりわからないので、野田ゲーではジャンプ“風”に動いています。
R-1王者野田クリスタル ゲームからお笑い盛り上げる奇才クリエーター | ENCOUNT
三角関数なんて、専門的な仕事に就いていない限り使わない知識。しかし、この稀有な芸人兼プログラマーには、その知識が必要になったようです。まあ、野田さんはストイックな性格のようなので、いずれ三角関数もマスターするのではないかと思いますが…。
この、三角関数に苦戦しつつも挑んだ姿勢からもわかりますが、野田さんは目標達成欲が非常に強いのではないかと分析しています。それは「キングオブコント」への意欲にも表れています。野田さんのコメントは以下。
3冠が見えたらゾクゾクする。もう一度ゾクゾクを味わいたい
マヂラブ・野田クリスタル“論争”再び!? 今秋キングオブコントで史上初“3冠”へ
こちら、まさに目標達成欲が強い人の発言ですね。キングオブコントに限らず、筋トレに関しても以下のように発言しています。
筋肉系の仕事がなくても、仕上がった筋肉を誰に見せるわけでなくても、僕は鍛え続けると思います。自分のために課題を一つずつ解決するのが楽しいから。
筋肉図鑑 vol.37:野田クリスタル(お笑い芸人) | Tarzan Web
課題を一つずつ解決するのが楽しい――。これこそ、目標達成欲の強さが出ている証拠です。プログラミングに関しても、三角関数のエピソードでもわかる通り、とにかく「壁」を突破してやろうという強い意志が感じられます。
しかし、こういう人は往々にして達成することが目的になりがちです。大学受験や資格試験を思い浮かべるとわかりやすいですが、達成欲が強い人は、それを達成してしまうとその後何をすれば良いのかわからなくなる傾向があります。いわゆる「迷子」になり、喪失感すら味わうのです。私は専門家ではないので明確には書けませんが、「燃え尽き症候群」のような症状が出る人もいるかもしれません。
それを防ぐには、何のために大学受験や資格試験をしているのかを明らかにすることが必要です。大学に合格することや、試験に受かることだけを考えるのではなく、その先にあるもの(例えば「どんな仕事に就きたいか」など)をはっきりさせることが求められます。このような自己分析は、移動時間や寝る前などのスキマ時間にもできるので、時折振り返ってみるのも良い習慣だと思います。
野田さんには会ったことはありませんが、メディアでの発言を見ていると、M-1、R-1、キングオブコントを制覇して「三冠王」になることだけが目的になっているような気がしてなりません。芸人にとっては、三冠王になることが目的ではなく「売れ続けること」そして「視聴者に笑いを提供すること」が真の目的であるはずです。野田さんには、芸能界でどのように売れ続けていくかの展望と、芸人としての究極の目的をぜひ発信して欲しいと感じております。それが、私のお笑いファンとしての思いです。