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【symposium2】(Part.5)「クバへ/クバから」_第2回座談会(レクチャー2)上演記録「『クバへ/クバから』の写真群と沖縄写真史をめぐって」

(Part4はこちら

出版企画そのものの配置・構成

山本 今回のプロジェクトで言えば、倫理性や当事者性や加害性といった問題が、いかなるかたちで個々の写真(撮影行為)と絡みつつ、写真集において成立するのか。ある写真をどういうものとして見せるのか。どのように見せれば、見ている側においてなにかしらのクオリティが担保され、表現として受け止められ、多様に使用可能な技術を立ち上げうるのか。さらにはその判断はどのように生まれ、吟味されるのか。そのあたりのコンセプチュアルな操作をめぐる判断が重要になってくるところだと思う。

鈴木 (三野に対して)単純にテキストをキャプションのように配置したりとかというのは考えていますか?

山本 写真集において、写真のすぐそばに文字情報をたくさん入れていくかどうかってこと? 直接的にか間接的にかはわからないけれど、少なくとも写真集総体で見れば、ものすごく文字情報の多いものにはならざるをえないと思う。

三野 『太陽の鉛筆』の形式は参照先としてはわかりやすいですね。一定の量の「群写真」が載った連なりがあった次のページに、文章も一定の量の連なりとしてある。この形式はわかりやすいし、参照しやすいかもしれません。

 タルボットの『自然の鉛筆』の形式も、一枚、文章、一枚、文章と反復される構成だけど、この流れもまたよくある形ではありますね。

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写真家・舞台作家の三野新と、いぬのせなか座による、沖縄の風景のイメージをモチーフとした写真集を共同制作するプロジェクト「クバへ/クバから」…

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